ユメを通して自分自身と向き合っていく、ファンタジー児童文学
- ★★★ Excellent!!!
とある神社の池には、古くから言い伝えがありました。満月が丸く映り込む夜に、願い事を唱えれば、二人の子どもが現れて、依頼者の願いを叶えてくれるのです。
二人の子どもは、ユメカイ使いの影斗と、鬼道使いのあかり。ユメカイ使いは、依頼者のユメという将来の夢や希望と引き換えに、願いを一つ叶える役割を担っていて、鬼道使いは、カラスや猫などの動物に憑依する力を駆使しながら、依頼者が夢を諦めずに最良の選択をする手助けをします。光と影のような表裏一体の力を持つ二人は、満月の晩が巡るたびに、さまざまな依頼人の願いと向き合います。
人間関係の悩み、利己的な望み、勇気を試される瞬間……私たちが大人になるまでに通り過ぎていった出来事や感情が、物語のいたるところに散りばめられていて、悩める子どもたちの言葉を通して、鮮やかに蘇ってきました。
あのとき、こうしていたらよかった……と後悔するときが、誰しも生きていたら必ずあると思います。この物語の中にも、そんな痛みが描かれていました。そして、転んだときの立ち上がり方も。子ども向けのお話であっても、世界の暗がりから目を逸らさない力強さから、作者さまの覚悟と読者への真摯さも感じました。
どんな闇の中にだって、光を見つけられるのだと信じたくなる、読み応えのあるお話でした。面白かったです!