憧れの萌葱色
花森遊梨(はなもりゆうり)
新姓は宮田 シン姓は緑田 これなーんだ?
(株)宮田家の 子供・ウン◯製造ラインチーフ・
ついでに(株)宮田家は本日をもって解散、同時に
(株)緑田家として再出発することとする。
新姓は宮田 シン姓は緑田、そう、好きな人は大好き、Re婚である‼︎(タイトル回収)
始まって四行で離婚だが、自己紹介させてほしい、わたしは緑田萌葱。
その時、世界はお日様みたいなウイルスが蔓延し、それに伴う愉快な人災に見舞われ、マスクのつけるつけないを巡って起こる殺人に暴行がウイルス蔓延前の二十倍
、あとはマスクについて注意した落とし前として金品や貞操を強で始まる犯罪で奪われる悲劇が時間と場所を問わずに日本中で頻発していた。
そんな中で離婚した母は、前から受給していた生活保護は母子加算でさらに増額された。医療費は無料。そして乳飲み子(という設定で乳離れさせてもらえなかった)を抱えて仕事も夫もないというわけで、コロナに伴う生活保護対象の補助金、育児手当、コロナウイルスに伴う助成金に給付金、あらゆる国からの援助を総なめにして、この数年でわたしが高校から大学に行く資金まで蓄えてしまったのだ。
「高知県なんか、すごいのよ〜!あそこで一番大きな会社は、生活保護!あれだけお金払える会社、ほかにないのよ」
コストコで買ってきたファミリー寿司、それを1人ひとパックずつ、それをまるごと貪りながら大声で話せる肝っ玉。
「で、生活保護受ける人は貯金なんて知らない、意味ない人だから、未来さえ置き去りにして、きっちり毎月全額を私たちみたいに最低限度の文化的な暮らしで使ってくれる。それで高知県の経済は回っているの、素晴らしいでしょ?」
それを聞くわたしは、生まれて6年。複雑な気分のアダルトチルドレンだった。
「なんで離婚したはずの主人と普通にかんけいをもっているんですか?」
母に質問したこの赤セーターの女児は母子加算をさらに増やすために新しく作ったり、近所の子供劇団から雇ってきた子供ではない。今まで続く友人の赤井丹(当時6歳)である。なお、半年前にうちに来るまで栄養失調の影響で壁伝いではないと歩けなかったのはここだけの話。
「離婚後もパートナーとして関係を続けているのよ!芸能人みたいでいいでしょ?」
凛と煌めく母の視線は迷いなく幼子の目を貫いていた。彼女は父が生活保護を認めさせるために連れてきた女弁護士の実の娘なのだ。なんでこんなのを家に住まわせているのか…?
「ごちそうさま、もうお腹空いてないから」
「萌葱、ならばこれ読んどきなさい!私が小学校の時に読みたかったすごい本なのよ?」
それが
「ちゃお」との出会いだった。
「おまえたちはみんな、うめどくの?どろ…の、ひとごろし?」
「それはね、
「えっと、『おまえたちはみんな、梅毒の、泥棒の、人殺しの、貧乏人だ。そういっていたおばあちゃんはじんじゃのえんのしたでしにました。ほかのおじいちゃんとかさなりあってしんでいました』」
「ちょっとお母さん!「西のぼくんち」なんか音読させちゃだめ!にいろにはこっちの『実録アタックブラック家族―空から落ちてくる
今考えると家にある本が「ちゃお」を除いておおむね子供向けではなかった。というか、家のどこを探してもヤバい本しかなかった気がする。
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