第3話

「マジ……なんでここにいるの!!!すごい!!サインほしいっ!!」





名前も知らない紗枝の友人が、そんな声を上げて席を立つ。


他のみんなも我先と席を立って、いつの間にか、

座ったままなのは私と隣の彼だけだった。





「びっくりしたでしょ?知ってる?結構CMとかたまにスポーツニュースで出たり…。ほら、この前の代表戦も、」






別に、私はミーハーなわけじゃない。


それに、テレビだってあまり見ない。




だけど、そんな私でも、


彼のことは……知っていた。






「ほら、席座ろう!女の子たち、隣に座るのは順番ね~!!」





幹事が声を掛けてやっと席についた皆は、相変わらず興味津々な目で彼を見る。


10人掛けのテーブルの真ん中に座った彼は、ゆっくりとサングラスを取る。




さほど眩しくないくせに


目を細めた彼は、小さく息をついて、






「三島響人です。えっと、オフで…3週間ほどこっちで過ごすから…まぁ、コイツに無理やり引っ張られてきたってわけ。まぁ、よろしく。」





明らかに愛想笑い、胡散臭い笑顔を浮かべた。







合コンは、終始彼中心で回り、結局カップルらしいカップルなんてできるわけもなく。


やっと時間が来たと思えば、もう二次会の話をしていた。

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