幼稚すぎる愛
桃口 優/最愛を紡ぐ作家
幼稚すぎる愛
僕は幸せだよ。
と、平気で言えていたから
今こんな結果になっていると
僕はやっとわかった。
「君のことを思っている」
「君のことは大事だよ」
そんなの全部自己満足だ。
僕はいつも大切な何かが抜けている。
「君は今幸せ?」と直接聞いたこともあった。
でも、その質問はひらりと本音を隠された。
僕は彼女のことをわかった気になっていた。
好きだから、一緒にいるから。
そんな表面的なもので
どうしてそんな思い上がれただろうか。
あの日、彼女が突然泣いた。
「本当に、私のこと好き?」
「もちろん、好きだよ」
「それなら不安にさせないでよ。
あなたの気持ちがわからない。
私のことをちゃんと見てよ」
ボロボロと流れる涙は、僕の心を何度も揺らした。
彼女の『好き』は、未来を見据えていた。
僕のがどれほど幼いものだったかわかった。
一度失った信頼は、簡単なことでは戻ってこない。
彼女にもう一度信じてもらえるようになるには
僕がどう変わったか見せるべきだと思った。
僕はそれから彼女のことを
第一優先で考えることにした。
愛情表現も前よりするように意識した。
僕が彼女の代わりにできることは
全てするように変えた。
あれから彼女は涙を流さなくなった。
僕はどうにか彼女を失わずにいられた。
今後も彼女のことを想い続ける。
「君は幸せでしたか?」と
聞く勇気はまだないけど
いつか聞いてみようかな。
幼稚すぎる愛 桃口 優/最愛を紡ぐ作家 @momoguti
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