第二条 不純異性交遊禁止
「魔法少女をしている」
脳内にひとことがハウリングする。
ごじゅう、さんさい、だんせい、まほう、しょうじょ
「どこもかしこも少女じゃねぇじゃん!!」
「ははは、良いツッコミだ。元気でよろしい」
ついツッコんでしまった。俺は頭を下げる。
「きっときみは魔法少女に出会うのが初めてなのだろうね。いいだろう。説明しよう!」
京極さんがホワイトボードを持ってきていた。
「我々魔法少女には使命がある」
なんだかアニメみたいな説明が始まった。
「近年、都市部では深刻なチャイルドスリープの発生が観測されているのだ。それに対処するのが私達日マのお仕事だ」
チャイルドスリープというのは魔術師が無意識に放出した素子(魔法の素みたいなやつ)が発動失敗した術に作用して実体を持ったり悪夢を見せたりするやつだ。大体が夢に出てくるから夢魔とも呼ばれる。
「魔法少女……本業なんすか……」
「いやいや、慈善事業のようなものだよ。私は、普段は小さな会社を経営している。京極くんはこう見えて税理士だ」
「ええ……」
社長が魔法少女してるの……?
「なんで、女の子の格好してるんすか……」
「これか?趣味だ」
女装癖
初対面の大学生に性癖をおっぴろげないでいただきたい。
「ああ、変態性欲とは思わないでくれたまえ」
ホワイトボードが裏返ると大量の研究資料が貼られていた。
「私達はチャイルドスリープが現実世界に与える影響を抑える研究から産まれた」
「抑える?」
「夢魔は夢に付着し夢を食べて育つ。それを防ぐため夢魔を狩りに夢に入る。他人の夢に入る以上なるべく記憶に残らず夢っぽく去らねばならない。そこで考案されたのがこの魔法少女システムだ」
「し、システム?」
「君も、一度くらい思ったことはないかい?顔を隠すアバターくらい美少女が良いと」
「っ……!」
「そして助けてもらえるなら、可能なら美少女が良いなと」
確かに、ソシャゲの主人公キャラは女を使っているし、そういう感覚なら全く分からなくはない。
「でも何で男限定なんですか?女の子だって、って言うか女の子が魔法少女の方が自然なんじゃ……?」
「それはね……魔法少女が可愛すぎるからさ」
「???」
貴澄は真剣に力説したが俺には刺さらなかった。
「考えてみなさい。夢の中で苦しんでいる中、可愛カッコいい魔法少女が助けてくれたら……好きになっちゃうだろ」
「いえ、別に……」
「残念だ。君はプリカルライトを振らないタイプの人種か……まぁそれはいい。魔法少女にはストーカーがつきやすいんだ」
プリカルライトは確か日曜日の子供向けアニメの映画で振られるおもちゃだ。振るんだ、この人。
「なるほど、夢魔狩りでストーカー被害者が出ないように……」
「中身がおっさんだと知ると9割は諦めてくれるからね」
「え」
残りの1割は……?
「後は万が一構成員同士で色恋になっちゃうと面倒だから、日マはオーバー18、男のみを徹底している。成人男性なら、まぁ、お互い話し合ってくれれば何とかなるさ。後はイエス、ロリータ。ノータッチだ。健全にいこうね!」
「いや、もう発想自体が不健全だろそれ」
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