第24話 専門店
タツミさんは、呪いについて教えてくれた。
それは祝福と似ていて、同時に全く反対のモノ。
祝福は、単純に道具の性能を向上させる。同じ製法で作られたにも関わらず、他とは比べ物にならないほど、高性能になる。祝福は、まさに天からの
一方で呪いは、なにかしらの
そういった特徴から道具としては使い難いとされ、販売価格も高くはならないらしい。
「呪いの装備を専門に扱っているヤツを一人知っている。さっき、テルと話してて思い出した。フウカだ。ギラゼルで店を出してる。早速行くぞ!」
そういって立ち上がったタツミさんの横を、ちょこちょことついていった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
その店はギラゼルの路地裏にあった。
大通りから脇道に入って、悪い人が悪い取引をしていそうな薄暗い細い隙間を抜ける。その先にある迷路のような場所が続いていた。自分一人では絶対に戻れなさそうな複雑な道順を辿る。そうしてやっと、そのお店にたどり着いた。
「タツミだ、入るぞ」
「──テルです。失礼します」
店の中は道具の手入れに使うようなアイテムが置いてあった。
でも、武器や防具といったものはひとつも置いていない。ボクは不思議に思いながらも
お店の中を見渡した。タツミさんも、軽く店内を見渡し、それから。
「フウカ、いるか?」
タツミさんの声に、気だるそうな声が返ってきた。
「うるさいヤツだなぁ。そんな大声出さなくても聞こえてるよ」
そういって奥から、身長の低い筋肉質な女の人が出てきた。
その様子から、たぶん
「よっ! お久し~。元気してた? スランプは抜け出せた?」
「おお。防具はまだダメそうだが、武器の方は感が戻ってきてな。ちょっとずつ上向きって感じだ」
「それはよかったね。なにも作らないタツミはただの
「相変わらず、興味ないものは外見しか見ねぇよな、フウカは」
「
「
「──チビゴリラ? 久しぶりにキレちまったよ。表出ろ」
「完全にゴリラの思考と行動じゃねぇか」
そんなタツミさんとフウカさんのやり取りを見て、ボクは思った。
──この2人、絶対仲がいいよな。
すごく似た者同士感がある。
仲の良い2人の
「冗談はさておき、だ。フウカに頼みがあるんだ。こっちの
フウカさんはボクを見ると。
「私は
「
「テルはタツミの弟子かな?」
「いえ。キリさんの弟子です」
その言葉に、フウカさんはかなり驚いたようだった。
「フウカが弟子!? マジ?」
「マジだぜ。あのキリが弟子を取ったんだ。スゴい話だろ」
そこでボクは、気になったことを聞いた。
「フウカさんとキリさんは、どういった関係ですか?」
「私はキリの
そういって一度言葉を切った。それから、真剣な表情に変わって。
「呪いの方がテルを気入ればね」
「どういうことですか?」
「呪いは扱いに注意が必要だ。みんな、忌み嫌うけどさ、使い方次第なんだ。誰かにとっては使いようのない道具でも、誰かにとっては、最高の道具だったりする。そういう意味で、呪いは人を選ぶ。だから、テル。ここではテルが選ばれる側だよ。それを忘れないように」
フウカさんの言葉に「はい」と返した。
「よろしい。じゃあ
そういって、フウカさんは店の奥に行った。
ボクとタツミさんは言われた通りについていく。
フウカさんは床に膝をつけ、手を置いた。そうして短く呪文を唱えると、床から扉が浮き上がった。
「呪いの道具はヤンチャだからね。地下で一括で管理してる。ここから先は呪いの影響が少なからずあるから、なにか異変を感じたらすぐに戻るよ」
フウカさんは、ボクを見ながら言った。
「覚悟はいい?」
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