第20話 滝川のお手柄

この日、滝川は何気なくコンビニに立ち寄った。普段はあまり利用しないのだが、このときはどういうわけか店中を見て回りたい気分になったのだ。安くておいしそうなお弁当やスイーツに目を輝かせ、ぽいぽいと買い物かごへ入れていく。カードを持っているのでお金の点では不自由しないのだが、誘惑や欲望が増えすぎるのはどうなのかと思いながらお菓子コーナーを眺めていると、レジで異変が起きた。


「金を出せ」


ひとりの男が店員を包丁か何かで脅しているのは明らかだった。強盗だ。

近頃は物騒な世の中になった。

それに包丁は食材を切るもので人を傷つける道具ではないと滝川は嘆いて嘆息し、矢のように移動して強盗の背後を取ると一瞬で絞め落とした。

クタッと倒れこむ強盗を一瞥し、彼の手から刃物を離させてから呆気にとられている店員に言った。


「警察に連絡をお願いします。それと、ロープを貸していただけませんか?」


気絶している間に強盗をロープで縛って駆け付けた警官に引き渡す。

こうして賊を退けた滝川は店員に深く感謝され、お礼に商品を半額で購入することができた。公太へのたくさんの土産を手に持ちながら、滝川は喜んで帰宅するのだった。

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