第16話 お姫様抱っこで移動教室へ

その日、滝川たちのクラスは移動教室があった。次の授業まではあまり時間がないのだが長い廊下を渡って階段を上がって教室へ行かなければならない。公太も急ごうとするのだが足が遅いのでゆっくりとしか移動できず、急ごうとして何もない床につまづき、体勢を崩しかけた。転びかけたところを支えたのは滝川だった。完璧な動作で支え優しい微笑みで安心させようとする。


「大丈夫? けがはない?」

「う、うん。ありがとう」

「あまり時間がないから今は私に任せて」


滝川は爽やかに告げるとひょいと公太をお姫様抱っこした。

公太は彼女のセーラー服に掴まる。

騎士は風のような速さで廊下を移動し、女子生徒から黄色い声、男子からは驚嘆の声を浴びることも気にせず階段を一気に駆け上がって教室へ到着。

席の前で公太をゆっくりおろして服の埃を払う。


「間に合ったね」

「恥ずかしいよ……」


俯いて顔を赤くする公太だったが、その表情はまんざらでもなかった。

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