第2話映画館デート
デパートに併設された映画館の前にきた滝川麗と夜桜公太(よざくらこうた)は上映されている作品リストの前に立っていた。
「公太君は何か見たいものがあるかな」
「僕は別に、なんでもいいよ……」
「そっか。じゃあ今日は私がわがままを言ってもいいかな。ずっと観たかった映画があって」
滝川が指さした映画は子供向けのアニメ映画『スーパー魔法ガールズ』だった。
作品名とポスターを見た公太は彼女を見上げ。
「意外。滝川はファンタジー映画のほうを観そうなイメージがあったから」
「フフッ、そうかもしれないね」
滝川は公太を先導しながら歩き、流れるような動きで高校生用のチケットを選択。
「あの、自分の分は出すから……」
「君とふたりでお金を分け合って出すことになるね。より素敵な思い出になりそう」
「滝川は大げさだよ」
チケットを買ってから滝川は「私の趣味に付き合ってくれるお礼」としてポップコーンと飲み物を買って公太の元へ戻ってきた。
「こっちの牛乳は私で、公太君のは紅茶だよ」
「……ありがとう」
「どういたしまして」
会場に入る前に滝川は花を摘みに行った。公太が心配なのでできるだけ早く用を済ませて戻り、入れ替わりに彼もトイレに行かせて、自分が先導して公太を映画が上映される部屋まで案内する。
ふたり並んで座って上映が始まる。
滝川はさりげなく後ろを振り返る。背の高い彼女は後ろに誰かいて、自分が映画鑑賞の邪魔をしていないか気になる性質だった。
彼女の思った通り公太は目を輝かせスーパーヒロイン達の活躍に見入っている。
やはり自分から先に上映作品を言ってよかったと滝川は思った。
自分は騎士であり、最愛の人である公太の喜びを最優先する。
彼の喜びが自分の喜び。
子供のように目を輝かせている彼を見るだけで自然と頬が緩む。
自然と滝川と公太の手が重なった。
「薄暗いと思いがけないサプライズがあるものだね……」
「滝川、何か言った?」
「なんでもないよ」
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