第6話 モンスターハウス



「あー、なんの用ですか?」


「なんの用だって?昨日のことだよ!」



最悪なことにこいつも俺に気づいてるらしい。

というかそんな恨みを買うような事をした覚えはないのだが。


「はぁ、昨日のは俺が先だったからですよね?」


「だからなんだよ!」



「…もう終わった事だしどうでも良くない?」


意味不明な事でキレられ、面倒くさくなってきてた俺は吐き捨てるように言った。


しかしそれが相手の恨みをかったのだろう、さらに激昂し詰めてくる。


「お前!二度と俺の攻略の邪魔するなよな!」


「あー、はいはいわかったよ。」



大きな声で男が叫ぶものだからかなり注目されていて、まだ冒険者なのをバレたくなかった俺は適当に流しさっさと教室に戻った。



「はぁ、ただいま。」


「おかえり、どうしたの?自販機行っただけなのになんか疲れてるね。」


「ああ、なんかまあ、絡まれてな。」


「ふーん?」


先程自販機であったことを説明する。


「え、嫌な奴だなそいつ。」


「にしても学校同じって運が悪いね。」


「それな、学生冒険者ってそんな多くないと思うんだけど…」


「変なやつと縁が出来たなぁ…

これが羽場さんなら良かったのにな、あ、その場合は俺にも紹介してもらうけどな?!」


「ま、まああればな?うん。」


「蒐人も結局それ目的なんだね…」


「い、いやそんなことないけど?!」


「おいおい、蒐人、それはないぜ…」


「裏切るなよ!」


俺の下心がバレてしまったことと変なやつに絡まれたこと以外は平和に昼休みが終わり、授業を終えた俺はそのままダンジョンに向かうことにした。


アンプ達に会いたい、というのもあるがもし大会にでるならもう少しカード集めたいからだ。


それに朱里達に渡す分も考えるとFランクを最低3枚は集めたかった。


あの後詳しく調べると大会では控えも含め7匹まで登録可能らしい。


つまりEが一体にFが2体の今、交代要員がいないのは大会に出る上で少し心許なかった。


とはいえコスト制限もある上によく応募事項を見たら冒険者ランクがDランクのものまでしか出られないらしいので、Gランクも戦力カウントできるだろう。


あくまでビギナー用の大会ということだ。

もちろんそれでも俺では優勝までは難しいだろうが…


さて、ということで今回はカードを狙いにダンジョンに向かっている。


Fランクが欲しいことを考えると前回と同じGランクには行く意味が薄い。


GランクダンジョンではボスでしかFランクが出ないため効率が悪いのだ。

なので今回行くのはFランクのダンジョンだ。


伊都島にある猫の島ダンジョン、伊井塚にある封印の牢獄の二つだ。


とはいえ今日中は無理なので今週中にこの二つのダンジョンを攻略し、カードを手に入れることを目標に動くのだ。



という訳でまずは伊井塚の封印の牢獄ダンジョンに行く。


このダンジョンは普通のダンジョンと違う特性がある。

具体的にはこのダンジョンには廊下や道がないのだ。


どういう事かと言うと、入るとボス部屋と同じ個室に飛ばされ、勝てば次の部屋というのを繰り返し、決まった回数勝てばボス部屋に行く。

ちなみに外には魔物を倒した状態の部屋ならいつでも出れる。


階層という概念のない珍しいダンジョンだ。

Fランクでこのタイプなら…ボスも含め15回ほど戦えば攻略のはずだ。


もちろん途中途中休憩を挟むので時間は相当かかるが。


そんなこんなで色々封印の牢獄について調べながら移動しているとダンジョンに着いた。


封印の牢獄はその特殊性故に他のパーティと鉢合わせることは絶対にない、なのでその点でも気に入り、今回は来たのだが…


「あ!お前…昨日の!」


「…色々言いたいことはあるけど、なんで1人なんだ?」


あいつが居た。

名前も知らないのにもう三回目の遭遇だ。

ダンジョンですれ違った時も含めたら4回目、異常である。


「お前のせいで追い出されたんだよ!」


「は?」


要約すると、昨日のボス部屋前の騒ぎによりパーティの面々に愛想を尽かされた、ということだ。


まあ店員さんに横柄な対応をするやつは嫌われるのと同じだな。


「…いやそれのどこが俺のせいなんだよ?」


「お前が大人しく譲ってたらこんな事になってねえんだよ!」


「俺にどうして欲しいんだお前は…」


「お前のカード譲れよ、それで許してやる。」


とんでもない事を宣う男。

流石にカチンときた俺は男に向かって叫んだ。


「調子にのんな馬鹿!」


まさか怒鳴り返されると思ってなかった男が呆気に取られてるうちに俺はさっさとダンジョンに入った。


もうちょっと冒険者やめようか悩むくらいウザかったがグッとこらえ、中に入った瞬間ベドラ達を出す。


そうそう、まだ俺には関係の無い話だがダンジョンでは1人が出せるモンスターには上限があるらしい。


大体7体が限度らしいので俺にはまだまだ関係ない。

理由は諸説あるがダンジョンが制限を掛けてるのだとか。


ダンジョンでモンスターに遭遇する時も特殊な状況を除き7体を超えることは無い、というかほぼほぼ4体以内だ。


何故いきなりこんなことを話してるのかと言うと…



「ベドラ!目の前にファイアブレスだ!

アンプも魔法で牽制!モンスター達を遠ざけろ!

ラルフは俺の近くによって、周りに隠れてるやつが居ないか探知!」


そこには10体のモンスターが居た。

先程言った特殊な状況、その一つであるモンスターハウスだ。


これは基本7体を大きく超えないがそれでも少ない数のモンスターでは太刀打ちできない数のモンスターに囲まれるためこれに出会った冒険者の死傷率は非常に高い。


Fランクダンジョンにはボス以外でEランクはいないしFランク以外にもGランクも混じっているため強さならこちらが有利、しかし油断など以ての外。


「ベドラ!アンプは協力してモンスターを分断して!

ラルフは孤立したモンスターを狩っていけ!」


俺は一応短剣を抜き周囲を警戒、少しづつ壁により壁を背にすることに成功する。


「ラルフ!あんまり前に出るな!

アンプは闇魔法で妨害にまわれ!

ベドラは俺を守りながら遠距離から攻めてくれ!」


攻撃に特化したベドラ、妨害のアンプ、奇襲のラルフで確実に数は減らせているが俺の護衛もあるため攻めきれないところがあった。


「このままじゃ埒があかない、ベドラ、アンプ!攻めにまわれ!」


「ラルフは俺の傍に!」


俺の身の守りを無くし攻めさせることにした。

まあベドラ達の体力がもたないっていうのもある。


一転攻勢にでたベドラ達の勢いは凄まじく、一気にモンスターを片付けていく。


俺はラルフと共に守りよりにモンスターを退けていた。


「うぉ、あっぶね、!」


ラルフの横をすり抜けモンスターが俺に襲いかかってきた。


短剣を相手に向かって振ったが全く効かず、噛みつかれそうになったところをラルフに助けられた。


それ以降は危ないとこもなく、なんとかモンスター達を倒しきった。













長くなったので1度ここで切ります!すいません!

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