第2話 ダンジョンで初戦闘

そうそう、ダンジョンに行きながら話すんだが、Eランクへのランクアップ条件はEランクカードが1枚、Fランクカードが3枚必要だ。


もちろんありえない金額かかるのでもう1つ、カードの枚数が足りなくてもランクアップできる条件があり、それがFランクダンジョンの攻略である。


(まあ俺が今から行くのはGランクダンジョン、ボス以外はGランクモンスターしかでない簡単なとこだから関係ないんだけど。)


今の俺の戦力ならFランクダンジョンでも下手したら攻略できる、それを踏まえると少々弱気な気がしなくもない。


だが、ガチャガチャをしたせいでGランクのカードを買えなかった俺は手数があまりにも少なく、モンスターは強いが俺を守りきれず俺が死ぬ可能性もある。


そのため今日はあわよくばGランクのモンスターカードが落ちてくれないかな、という下心もあった。


俺が住んでる福丘県にもダンジョンはいくつかあるがGランクで駅近となると絞られる。


(まあ今回は無難に天仁の大狼の小洞窟かな)


狼系の魔物がでてくるダンジョンであり、俺に足りない戦力を補うのにうってつけの場所だ。



電車に乗ってダンジョンに着くと土日ということもあってかなりの人数がダンジョンの入口にいた。


(わかってたけど、パーティで潜る人も多いんだなぁ…)


Gランクダンジョンにくるのは冒険者になりたてのひよっこサモナーが多く、強いカードも少ない、その為複数人で潜りお互いの短所をカバーするのだ。


周りが即席でパーティを組んだり、持ち物の最終確認を済ませたりしているなか、俺は先程買った皮鎧、短剣、そして腰に装着する型のカードホルダーを装備し、家から持ってきていたドロップアイテム収納用の大きめの鞄を背負いダンジョンに入る。


「うお、聞いてはいたけど中広いな…!」


ダンジョンは物理法則にとらわれない、入口からは分からないほど大きな草原がそこには広がっていた。


「早速召喚してみるか、でてこいベビードラゴン、インプ!」


俺がカードを持ち、名を呼ぶと、オレンジ色の小さなドラゴンと30センチ程の悪ガキがでてきた。


「おお、ほんとに出てくると感動するな…」


「キヒヒッ!」


「ガウ!」


「おー、よしよし、よろしくなインプ、ベビードラゴン、って長いな、名前でも付けるか。」


インプはまだしもベビードラゴンはいちいち呼ぶ時に長いので名前を付けることにした。


モンスターカードには進化という概念があり、名前を付け、進化条件を整えることにより進化できるようになる。


(まあその代わり、俺専用になるから売れなくなるんだけど、最初の仲間を売る気もないしな。)


そう、一応名付けをすると名前をつけた本人以外召喚できなくなるというデメリットもあったが、売る気は無いので問題はない。


「名前は、ベビードラゴンがベドラ、インプは、難しいけど、悪魔族のインプだからアンプかな?」


単純だけど覚えやすいしこれでいいか。


「キヒヒッ!」


「ガウ!グルル…」


ベドラもアンプも喜んでるようなので良かった。


べドラなんか喉を鳴らしてスリスリしてくる。


「見た目はちょっと怖いけど可愛く見えてきたな。」


出来ることの把握も含めてステータスを確認することにした。(モンスターカードを見ることで確認可能)




名前 アンプ 種族 インプ ランクF Lv.1


HP 120/120 MP 200/200


物攻 20

魔攻 40

物防 15

魔防 30

俊敏 35


スキル

・闇魔法Lv.1





名前 ベドラ 種族 ベビードラゴン ランクE Lv.1


HP 300/300 MP 300/300


物攻 50

魔攻 50

物防 60

魔防 55

俊敏 50


スキル

・竜魔法 Lv.1





「公開されてるGランクのステータスと比べるとやっぱり高いな…」


Gランクのモンスターは高いのでも20、低いと1桁まで有り得るくらいに弱い。

べドラとアンプのステータスを見比べてもわかるがやはりランクの差はデカイ。


アンプの一番高いステータスである魔攻のステータスですらベドラは勝っている。

まあこれにはドラゴンだからというのもあるが…

その後もアンプ達のステータス、出来ることを確認していく。


だがいつまでもそんなことしてる訳にもいかない。

後は実践で確認することにして先に進むことにした。


「一層で出てくるのはウルフとコボルトか、このダンジョンは五層だけど、できれば今日中に攻略したいな…」


「キヒ?」


「初めて攻略したダンジョンにはボーナスがあるんだよ、いくつか種類はあるけど、どれもそのランクで手に入るものとしては破格なんだよ、道中の宝箱、モンスターからのドロップアイテムと攻略報酬をあわせたらそこそこ稼げる、と思う。」


アンプが不思議そうな顔で見てくるので答える。

ダンジョンの宝箱にはポーションなども入ってるので運が良ければそこそこ稼げる、が、言ってもGランクだ、できればさっさとFランクにいきたいので今日中の攻略を目指すことにした。



ランクの割に知能が高いのかこちらに積極的に話しかけてくるアンプとべドラと話しつつ(といっても向こうの言葉は分からないから雰囲気だ)歩いていると、とうとうモンスターが現れ、向こうもこちらを見つけたらしく警戒しながらも近づいてくる。


「あれは…コボルトか、よし、アンプ、闇魔法で視界を奪え!」


「キヒヒ!」


「ワフッ?!」


「今だ!ベドラは爪で首を切り裂け!」


「ガウ!!」


アンプの手のひらから黒い霧のようなものがでるとコボルトの視界を奪い、その間にベドラが鋭い爪でコボルトの首を切り裂いた。


「お、思ったよりあっさり終わったな…」


未だ心臓はドクドクと爆音を奏でている。

初めてモンスターを倒した興奮、そして遅れてやって来た少しの恐怖。


「あ、ドロップアイテム…」


そこに落ちていたのはコボルトの魔石だった、Gランクの為あまりお金にはならないが初めてのドロップアイテムであり、重要な換金アイテムである。

しっかりと回収し鞄になおす。


「グル?」


「あ、気にしないでくれ、ちょっと興奮してるのかも、死体も消えてマジで冒険者になったんだっていう実感が湧いてきててさ。」



初戦闘のため、少し休憩をし、先に進むことにした。

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