花すみれ 🌼

上月くるを

花すみれ 🌼



タワマンの空の深さよ鳥帰る

ハンカチを敷き坐れよと花菫


膝掛の縁を編み足す木の芽冷

黒犬の蹴散しゆけり犬ふぐり


玄関をまもる鶏二羽沈丁花

桑解く宮の石積ゆるみなし


春光に透き通りたる草と木と

鰻屋の暖簾出てゐる土佐水木


図書館の地下なる古書の日永かな

春分や書庫にしやがんで跨がれて


春昼やウェブ会議のアップ濃し

春暖やライブのチラシ貰ひ来る


半地下のジャズ喫茶なり黄砂降る

これやこの終の棲み家に菜種梅雨


流氷や安くて軽いカップ麺

百均の肩こりほぐし花粉症


一つづつ物を減らせる遅日かな

われといふ容れ物ふしぎ蜃気楼


手に馴染む辞書の歳月シクラメン

ちよとここで絵文字の飴や朧月




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

花すみれ 🌼 上月くるを @kurutan

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ