百合ビッチに惚れた僕のBSS
万和彁了
僕が先に好きだったのに
部活の帰り、僕はふっと教室に忘れ物をしたことを思い出した。夜の教室に向かいドアを開こうとしたら中から声が聞こえてきた。
「あ……だめ……んっ……あ!」
「あら?ここが弱いのね。かわいいわ」
二人の女の声が聞こえたので、ドアの隙間から中を覗き込んだ。するとそこには幼馴染のユイナと友達のリリハが身体を密着させ合って互いの身体をまさぐっていた。百合エッチ……。僕は衝撃を受けた。
「そ、そんな……」
幼馴染は嬌声を上げていた。僕はその艶姿に興奮しつつも怒りを堪えていた。こんなの……裏切りじゃないか……。僕以外の誰かとエッチしているなんて。僕は愕然として、そのままフラフラと家に帰った。
次の日、幼馴染は何事もなかったかのように隣の家から窓伝いに僕の部屋に侵入してきて、僕を起こした。
「おはようタカアキ!今日も元気にがんばろうね!」
幼馴染の芸能人なんかよりも綺麗な笑みがとても美しい。だけど昨日見た風景を思い出した。昨日こいつはリリハと百合エッチして顔を快感に歪めていたのだ。僕はそれを思い出してむかむかしてきた。
「……元気に見えんのかよ」
「どうしたの?機嫌悪いの?なにかあった?話してよ」
ユイナは僕を心配そうな目で見詰めている。こいつは自分が僕への裏切りを働いたくせに、僕への後ろめたさは一切ないらしい。許せない……。
「昨日見たんだ」
「何を?何を見たの?」
「お前がリリハとエッチしているところ……」
それを聞いてユイナは顔を青くする。そしておろおろとして何か言い訳めいたことを言い出した。
「あ、あれはね!あくまでも友達同士のじゃれ合いだから!」
「でもエッチじゃん!」
「違うの!ただのお友達のふざけ合いっこだから!」
僕は言い訳をするユイナを睨む。
「あんなことしてさ。ユイナの気持ちわからないよ。俺がどんな気持ちでいるのかわかるでしょ?なんであんなことしたの?」
「それは……だって……タカアキが最近部活で忙しくて……全然かまってくれなくて……だから寂しくて……」
「それでも!僕が先に好きだったのに!」
僕はユイナに怒鳴る。ユイナはしゅんとして、泣き始める。
「ごめんねぇ……ぐすっ……うう……タカアキの気持ち知ってたのに……でも他の男の子とかは嫌だから……リリハに誘われて……女の子なら裏切りじゃないって思って……」
「なんで断れないんだよ……俺、悔しいよ……ううっ……」
「でも!でも!男の子とは経験ないから!まだ私処女なの!ねぇ……タカアキ……抱いて……私たちやりなおそうよ。これからあなたのこと一筋だから」
そう言いながらユイナは服を脱ぎだす。可愛らしいピンクの下着姿になった。だけどそんなことされても僕の怒りは晴れない。
「え?」
「ん?」
「なんでお前いきなり男性経験について語りだすの?文脈おかしくない?」
「いやいや!だって男の子って好きな子の処女大事でしょ。だから言ったんだけど」
「は?」
「へ?」
「たしかにさ。好きな人が処女だったらすごく嬉しいし、ぶっちゃけそうであって欲しいよ。でも処女だから相手のことを好きになるとかそういうことじゃないんだけど」
「ちょちょちょ!タカアキは私のこと好きだよね?」
「はい?」
「んん?」
「僕はユイナのこと友達としては大事だし好きだけど、恋愛的な意味では特に好きではないんだけど」
「はぁ?!なにそれ!?じゃあなんで怒ってるの!?わたしがリリハと百合エッチしたから怒ってるんでしょ!私のこと好きじゃん!」
「だから!僕が先に好きだったのはリリハなんだよ!この泥棒猫!僕が先に好きだったのにぃいいいいいい!」
「なあぁああああ!リリハが好きぃ?!私じゃなくて?!リリハ?!」
「うん。高校入って色々あって気がついたら好きになってた。結婚したいくらい好き」
「そ、そんなぁ?!」
ユイナが両手を床についてがくがく震えている。
「ていうかさ。まじで僕まだ怒ってるんだけど。リリハを汚しやがって。僕が先に好きだったのに……お前の手でリリハが汚されたんだぞ」
「そんなこと言われても困るんだけど……あれぇ?なんか修羅場なのに方向性がおかしくない?」
「謝れよ!ざまぁさせろ!僕が先に好きだったのに!手を出しやがって!このビッチが!」
「おかしい!絶対におかしい!話の流れが変!ちょっと冷静になってよ!」
「うるせぇ!リリハぁ!僕のリリハがぁ!ううユイナのせいで中古になっちゃったよぅ。でもまだ好きなんだぁ…ち、畜生……」
「あの……その……わたしあなたのことすごくすごく大好きなんだけど」
「すまんけど恋愛的な意味では特に好きではないんで。むしろ今は憎しみの対象だよね。謝れよ!」
「ち、ちくしょぉおおおおおお!!」
そしてユイナは立ち上がる。そして僕をベットに押し倒してきた。
「なにすんだこのビッチ!」
「わたしはあなたが好きなの!あんな女のことなんて忘れさせてやるわ!」
「お前!まさか俺を苦しめるためにリリハを汚したのか?!このびっぃいぃいいぃち!!」
「うるさい!抱かせろ!」
「い、いやだ!……ん?あれ?もしかしてユイナとヤったらリリハと間接エッチしたことになる?!」
僕は覆いかぶさっていたユイナを掴んでベットに押しつける。
「あっ……タカアキ♡」
「ぜってぇ許さねぇ!おら!鳴け!鳴け!」
「あああああーーーん!♡」
パコパコパコパコどぴゅ!
気がついたら一日中エッチしてた。僕はリリハが触れたユイナの身体のすべてに触った。これで僕はリリハと穴兄弟になったようなもんだ。ちょっとだけ嬉しくなる自分がいる。
「はぁはぁすごかった。もしかして一人で練習してた?ふふふ可愛いところあるんだね」
「はい?」
「え?」
「別に僕は童貞ではなかったんだけど」
「えええ?!そ、そんな!?誰?!誰なの?!誰とやったの?!」
僕は指折りしてヤった女の数を数える。10人を超えたところでユイナが僕の指をはたいてきた。
「二桁超えてるの?!信じらんない!私は毎日タカアキのこと起こしにきてたのにいつの間に?!だれ!?だれがあなたの童貞を奪ったの?!」
「なんだよめんどくせーな。相手の過去詮索するなよ。彼女でもないくせに」
「エッチしたんだけど!私たちエッチしたよね!もうこれ付き合う流れでしょ!」
「僕はまだお前を憎んでいる。リリハぁ!汚れてても中古でも好きだぁ!」
「リリハ、リリハうるさい!誰なの?!あんたの童貞奪ったの誰?!」
「誰って……お前の母ちゃん」
「よりによって身内?!どういうことなの?!」
「なんか旦那さんからDV受けてて泣いててそれを慰めたら押し倒されてて流れで……」
「お母さんDVされてたの?!」
「あれは見てられなかったよ。最後は俺がお前の父ちゃんを〆てDVをやめさせたからよかったけど」
「ラノベ主人公みたいなことやってたの?!」
「ほんとさぁ。お前の母ちゃん救ったの僕なのに、娘のお前は僕を裏切ったんでしょ。腹立つよね」
「やめて!いやいやいや!頭がばぐるぅ。なんなのこの状況!話変えるわ」
「好きにしろよ」
「リリハには告白とかしたの?」
「うん。『ごめんなさい。男は恋愛対象外なの。一昨日きやがれ。てか男と会話するだけでキモいからもう話しかけないで』って断られた」
「取りつく島もないじゃん!リリハのことは諦めたら?それで私と……」
「一昨日きやがれってことはまだチャンスあるでしょ!来いっていってるんだから!」
「ノーチャンスよ!どう考えても無理じゃん!」
「でも諦めきれないから。今はまだ」
「そうなの……じゃあさ。明日リリハと話してみない?私がいればちゃんとお話できると思うし」
「お前……いい奴だったのか?」
「ずっといい奴よ!あーもう。もうとりあえず寝る!おやすみ!」
そしてユイナはグーグーと寝始めた。明日はリリハと会える!僕は期待で膨らむのだった。
リリハが僕の家にやってきた。そして部屋に通してユイナと三人でちゃぶ台を囲む。
「で、話がしたいってことらしいけども、何を話すのかしら?」
「この間、僕は見てしまったんだ。ユイナとリリハが百合エッチしてるところを」
それを聞いてリリハは目を見開く。
「そう。ならわかるわよね。わたしはユイナが好き。大好き」
「でも僕が先に好きだったのに!」
「ふふ。だけどわたしがあなたの幼馴染を先に抱いたのよ。ざまぁ!」
「それでもリリハ!君が好きだ!」
「ねぇ。会話が噛み合ってない。噛み合ってないよ。てか私のことが好き?」
「そうよ。わたしはユイナのことが好き。結婚したいくらい」
「え?あれってただ火遊びじゃ」
「わたしは本気だったわ!あなたはあんなことを遊びでやるようなビッチだったの?!そ、そんなぁ!」
「あ、なんかごめんなさい。ぶっちゃけタカアキが構ってくれないから寂しくてついやっちゃただけでリリハのことは大切なお友達だけど恋愛的には特には……」
「うう!そ、そんなぁ!わたしの気持ちを弄んだの?!このビッチ!でも好き!大好きなのぉ!やだやだ!わたしのこと捨てないで!」
「おい。ユイナお前マジでサイテーだな。謝れよ!リリハは傷ついてんだぞ!謝れよ!」
「なにその援護射撃?!なんで私が悪者!?」
「お前は邪悪の権化そのものだろ。自分がいい子だなんて夢に思うなよ。このビッチ」
「私ビッチじゃないし!リリハ。そのごめんね。あれは遊びのつもりだったの。女の子同士だし、誰も傷つけないおふざけっこだと思ってたの。それにね。もう私、タカアキとエッチしたの。彼と付き合うつもり」
「そんなつもりさらさらないんだけど」
「黙ってて!てか責任取ってよ!処女捧げた女に冷たいのどうかと思うんだけど!」
「だから処女だから好きになるわけじゃないって言ったよね。好きな人が処女だから嬉しいんだって。逆だっつーの」
「しょ、処女を捧げた?!ユイナ。嘘でしょ……。タカアキに抱かれたの?わたしが先に好きだったのに?わたしはあなたに初めてを捧げたのに」
「うん。昨日抱かれたよ」
「いやぁあああああああ!ユイナが!わたしのユイナが中古になったちゃよおぉおおおおおおおおおおお!!」
「リリハ。辛いよな。僕もその気持ちすごくよくわかるよ」
「はぁ?納得いかねぇ……何この茶番」
「それに付き合うって……それってもうわたしとはエッチしないってこと?!」
「うん。わたしはタカアキ一筋になるから」
「そ、そんなぁ!あの花びらのあごだしがもう味わえないなんて!」
「あごだし?!ちょっと待ってあごだしって言った?!わたしのあそこってあごだしの味するの?!」
「え?お前気づいてなかったの?メッチャコクのあるあごだしだったぞ」
「それって臭いってこと?!」
「いや臭くはないぞ。あごだしのいい薫りがする。僕は悪くないと思うよ」
「そんなのいやぁあああああ!!あごだしとかいやぁああああああ!」
「そ、そんなことよりもタカアキ!これってどういうことなの!?あなたを振ったわたしへの当てつけ?!」
「いや違う。お前とエッチしたユイナとエッチすればお前と間接エッチしたことになるだろ」
「キモ!メッチャキモい!あり得ないんだけど!」
「はっきり言うけど二人ともキモいからね」
「でもわたしは諦めないわ!ユイナがいくら汚されようと中古だろうと愛してるの!」
「俺だってお前を愛してるいくらユイナに汚されようとユイナに中古にさせられてもこの恋は終わってはくれないんだ!」
「ねぇ私を置き去りにして喧嘩するのやめてくれない?てかなにこの三角関係。歪すぎ」
「お前がビッチなのが悪いんだろ!」
「そうよ!タカアキとわたし!二人の間でフラフラしてるからでしょ!」
「だから私を悪者にするのやめて!ああ、埒があかない……ねぇリリハは私が好き。わたしはタカアキが好き。タカアキはリリハが好き。じゃあさ。三人で付き合う?」
「「なにそのビッチな発想?!」」
「でも仕方ないじゃん!二人とも頑固なんだもん!でもお互いが好きな人といっしょにいるにはこうするしかなくない?」
「たしかにそうかもしれないわね」
「仕方がないのかもしれないな」
そして僕たちは右手を差し出して互いに重ねる。
「「「我等三人、生まれし日も性別も違えども、死ぬまで一緒にいることを誓います!」」」
こうして僕たちは三人で付き合うことになったのである。(完)
---作者のひとり言---
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('Д')<よめうわをよろしくぅ!
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