第9話 作戦
「くるぞ!」
竜は真っ先に俺の方へと飛来して爪を振り下ろす。
ガキャァァンガンガンガギギギギ
剣と爪は激しく音を立ててぶつかり合い辺りには火花が飛び散る
「クッ この前のとは桁違いの強さだ、制限解除でパワーを強化してるとしてもこの威力とは」
「マナブラスター!」
ドドッ
飛んできた光弾を竜は空へと飛び上がり躱した
「ほう、魔法使いの方もなかなかの魔法を打つじゃねぇか、ならこっちも魔法で行かせてもらうぞ。 スフィーダ、竜星群」
竜は数十発の火の玉を吐きこちらへと飛ばしてきた
「マズイ」
ガガガガガガギギギギ
炎を切っているとは思えない金属音が鳴り響く
「炎が、、、重い⁉︎」
「そうそうこの子は自分の炎に自身の歯を忍び込ませて放つんだ、下手な装備で防いでたらいつか折れちまうかもな。」
俺は剣で火の玉を弾き返すが一際大きな一つの玉に体勢を崩された
「ヤバい!」
俺が終わりを確信したその時、
「マナバスター!」
横から竜めがけて一筋の光が飛び出し、竜に直撃した
紛れもないムミルの攻撃であった。
あたりには黒煙が立ち上り炎が燃え盛る。
「危なかった、助かったぜ」
俺はムミルに駆け寄った
「チャージまで間に合わないかと思いましたが、何とか耐え忍んでくれましたね」
ムミルは安堵した声で話す。
「あぁ」
俺たちが話しているとムミルの顔が突如青冷めた
「ん、どうした?」
俺は尋ねる
「ありえません、焼き払ったはずなのに、、、」
「おい、どうした⁉︎」
「煙の中に大きな魔力の気配が」
「いってーなクソが、今のは流石の俺も死んだかと思ったぞ。」
声がする方に目を向けると煙を薙ぎ払い、スフィーダに跨ったジェラールがいた。
「どうして、あの魔法をモロに喰らったはずなのに」
俺が不思議に思うとムミルは話す。
「おそらくさっきMPを消費したせいでしょう」
「どういうことだ?」
俺は尋ねた
「私のマナバスターはMPを全消費して放つんですがその時の威力は使用したMPに比例するんです。つまりMPを使用するとチャージ時間も減るんでさっき間に合えたんですがその代わり威力も下がるんです」
「ヤバいぞもう攻撃手段が残ってない」
「さぁ焼き殺してやるよ!」
ジェラールが叫ぶとスフィーダは炎を吐いてきた。
俺は咄嗟に移動速度に制限解除を使いムミルを抱えて近くの岩場へと逃げ込んだ。
俺らが屈んでいるとムミルは話しかける。
「イツキさん、あなたの制限解除ってMPの上限解除にも適用できるんですか?」
「できるけど、、、」
俺は不思議そうに答えた
「私にそれを使ってくれませんか?」
「分かった」
俺がムミルに制限解除を使うとムミルはポケットから薬を取り出す。
「何だそれ?」
俺が尋ねるとムミルは
「これは緊急事態に備えたMPを10回復するポーションです。MP10で〈ドレイン〉という魔法が使えるんですがこれは相手のMPを吸収したり、漂う残留魔力を回収することができるんです。これで一気に大量の魔力を回収してアイツにぶつけます。」
「残留魔力って?」
「まぁ、魔法を打つとそれに応じて魔力が散乱するんですけどその魔力を残留魔力と言うんです」
「へぇ〜」
俺がそんなことに驚いていると
「おい、いつまで待たせるんだ⁉︎さっさと出てこいよ!」
外からジェラールの大声が聞こえる。
「私が残留魔力を回収して魔法をチャージしての打つまで時間が結構かかるので合図があるまで何とか堪えてください。」
「分かった」
唾を飲み込み俺はムミルにサムズアップをすると岩場から外へと身を乗り出した
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