第5話:ディール劇場
オフホワイトハウスでの
「
「
口元に笑みを浮かべた
会談に先立ち、大統領執務室前のテレビスチールカメラ用の応接セットでのマスコミ公開の形で、ごく形式的な雑談が交わされる会見が始まるはずだった。。。テレビカメラの前で公開された会見時間は50分であったが、最初は穏やかな会話に終始していた二人であったが、40分を過ぎた辺りから険悪な雰囲気が漂い始め、暗雲が一気に立ち込めてくることとなった。
屈強な国務長官が、二人をテレビカメラの前から遠ざけるべく、大統領執務室に二人と関係者を押し込むように追いやる。その間にも、テレビカメラが二人のただならぬやりとりを捉え続ける。マスコミも政府関係者に押さえつけられ、部屋から排除されようとしているが、この絵を取れなかったら
「テメェ、中精子爆弾をウチがオタクの国にぶち込んでもいいんだぞ!俺はな、あんなグズグズ3年もチンプンカンプンな戦争ごっこやる
「やれるもんならやってみろ!そしたらな、世界の終わりだ。この惑星での『不文律:中精子爆弾の使用は禁止禁欲』はあんたも分かっているはずだ!!」
「お前の国に情報収集機関はあんのかよ、
これ以上、この醜態を晒すのはマズイとみたスタッフ一同が神輿でも担ぐかのように二人を押し包み、大統領執務室へと完全に押し込み、扉を閉める。フリーのジャーナリストとして会見場に来ていた私も、どさくさに紛れて、大統領執務室の中に滑り込む。誰も気付かない。
主席報道官が大統領執務室で血相を変えて、二人に耳打ちする。
「
胸倉を掴み合いながら
「おい、
「当たり前だ!俺はやると言ったらやる!
モニター画面にわずかに左に15度ほど、そして仰角がわずかに上がるように砲口の角度が調節される。間違いなく
「いいか、国務長官、俺がPushと言ったら押せ。本当は俺が押してやりたいところだがな、生憎、俺の両手はこの馬鹿野郎の胸倉を捩じり上げているので塞がっているもんでな。いいか、これは大統領命令だ。躊躇なくやれ!」
突然、国務長官の右手が緊張で大きく震えだす。しかし、国土防衛の責任感から、国務長官は胸元から扇子を引き出すや、一閃扇子を引き裂き竹串を数本引き出すや、震える右手に数本竹串を突き刺し、震えを止める。発射準備が整った。
緊迫した瞬間だったが、微かな既視感に囚われ、私は眩暈を瞬間覚える。
胸倉を掴みあった両者だったが、頭を押し付け合い、目と目がくっつきそうなくらい鬼の形相で悪態をつき続け、こんな侮辱を受けたことのない
「おい、二人とも愚かな争いごとはやめろ!」
両者の頭と頭が何度もぶつかっていた、その反動で両者がそれぞれの後方にもんどりうってのけぞり、椅子にそれぞれ打ち付けられるように座る。
「おい、今こそ、作戦
すると
日本語だけの世界で過ごしていたせいか、私はなぜか不思議なことに脳内で日本語名に変換し始めていた。
えっと、Knight is philosophy.。。。えっまさか「内藤 哲也?」眩暈がする。そして、Est Villaggio Saee。。。えっと、ワインでEST EST ESTってあったから、たしか「ある!ある!ある!」かVillaggioは村だから。。。えっまさか「有村冴?」
そう思って眺めていると、女性が叫び始めた「イヤッ、ヤメテー!」男性が逆にその言葉を聞いて嗜虐性を強めながらどんどん衣服を剥ぎ取りながら吠える「なりふり構ってられないんだ。オラオラ!こうしてくれる!」
更なる既視感で倒れそうになると、呼応するかのように
「であえー!そんなちょこざい、ワシ自らが返り討ちにしてくれるわー!と顔を真っ赤にした
“Mr. President, look at me, please!"
そう言うと、これまた何とも美しい女性がイエローのジャケットを脱ぎ捨てるとオレンジ色のブラウスのボタンを自ら開け始める。ブラは付けていないようだ。透き通るような白い胸元が見え始めるが、見えそうで見えない究極のチラリズムショーが展開される。脱ぎ捨てたジャケットのネームプレートを見ると、Old February Milletと書かれている。もはや、すぐに変換できた「
さらにMilletの口元から顎、胸元にかけてヨダレが垂れ、床に崩れるようにゆっくりと艶かしく横になり、見えるか見えないか絶妙な感じにスカートが捲れると、
よく聞き取れなかった国務長官が確認の声を上げる。
"Say it again, please! Did you say 'Push'? Is it right?"
二人の大統領は絶頂、いや、直射砲発射とそれを迎え撃つPatriot配備に夢中だった。先制攻撃を仕掛けた
"What kind of tonic drink is it?"
"It's F.D.A unofficial ultra super tonic, 'Magnum 44'!(アメリゴ保険局非公認のウルトラスーパー強壮剤「マグナム44」よ!)"
さすがF.D.A非公認強壮剤、パワーが違う。恐らくMilitary用に開発された戦場でのアドレナリンをMAX値以上に一気に引き上げる興奮剤だ。成分の殆どはコカイン、いや、麻薬に近いのではないか!?急速に絶頂感が高まってきた。
「うぉー!!」二人の興奮が最高潮に達し、雄叫びを上げ合う!
その時、オフホワイトハウス執務室に
「オイッ!二人ともバカな真似はよせ!わ、分かった、戦争は止めだ。
「あん!?それは本当か?どうせ
「
「いや、核戦争半歩手前までお前ら行ったんだぞ!分かってんのか?」
「俺たちはあと0.5秒で核兵器発射だったのにな。」
「そんなヤツらとは今後、暫く付き合いを御免こうむりたい!あとで、調印文書を電子署名付きでお前ら二人と国際機関に送っておく。それで確認してくれ。
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実は、喜劇役者出身である
40年振りのコンビ結成で事前打ち合わせする間もなかったが、二人のコンビ最初の練習に練習を重ねたネタだっただけに、打ち合わせがなくともすぐにお互いの調子を合わせられた。
二人だけになった今、二人は40年振りにファーストネームで呼び合う。
「
「
「ハハハ、そうか。それなら、良かった。それにしても、お前のところのスタッフも優秀だったな。どこで見つけたんだ。
「そうさ、二人とも将棋界出身でな。女性の方はさらに名人経験者さ。二人とも読みと難局を乗り切る力が並みじゃない。お前の美人スタッフもなかなかじゃないか?」
「こっちも将棋の棋聖経験者かつ量子力学のスペシャリストでな。機転が利くし、狙った獲物は手段を尽くして必ず仕留めるんだ。今回の成功報酬で約束どおり来月から彼女は、主席報道官さ。」
「お前が間に合わないかと思ったが、あのスペシャル強壮剤が迫真さを増して、あれで
「おぉ、そうだ、あの強壮剤、良かったら持っていけ。効くぞ!あの強壮剤、実はな、
「ありがとう、遠慮なくもらっていくよ。ところで
「いや、
「実はオレもだ」
「お主もつくづく
「お主もな!」
二人合わせてガハハと笑い、滋養強壮剤をカチリと合わせて乾杯。
その後、
一方、
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