二十六本目 弓と斧
溶岩に満たされた灼熱の世界、雪に覆われた極寒の世界、木々の覆い茂る樹海の世界など……
その内情は様々だが、それでも冒険者は
一つは
また、
――それは、
※ ※ ※
『————』
槍を構え、高速で突っ込んでくる蛇皮の男―――
「伸びろ——『
地面から生えてきた樹木が折れ曲がり、
「オォッ!!」
ステップを駆使して、
『——!』
「甘い」
振り下ろした大斧を、筋力で無理やり引き上げながらヘリオスは一歩を踏み込み、巨大な斧を使っているとは思えない速度で攻撃を仕掛ける。
「……
ギリギリヘリオスの猛攻を回避し続ける
その数三本。
「…………」
セレストは、接敵しているヘリオスに構わず弓に矢を番えて――撃ちだす。
『————!!』
その矢は、
「ナイスセレスト!!」
『——ッッ!?』
同時にヘリオスが斬り込み、
「浅いんだよ馬鹿」
しかし、その一撃は直前で逸らされてしまい、致命傷には至らない。
『——』
「…………」
ヘリオスはそんな
『——!』
次の瞬間、
「斧は振り切っても……拳は自由だッ!!」
そして、畳みかけるようにヘリオスの拳が
「よっし……!」
通常の生物なら、死に至る状況に追い込んだヘリオスはガッツポーズを作る。
「油断すんなヘリオス!!
「……確かに」
だが、セレストの言葉でヘリオスは眉をひそめる。
この灼熱の世界で
『——』
答えは『否』だ。
「……近接戦は厳しそう」
「ちょっとだけなら平気だろ。―—だが、アイツを斬りすぎたら……逆に武器が壊れるだろうな」
「だね」
冷静に相手の状況変化を観察するセレストとヘリオス。すると——
『————!!』
再び怪物は高速で移動する。
「チッ……」
「うざってぇ!!」
真っすぐ突っ込んでくる
『————』
首を捻るだけで回避されてしまい、矢のないセレストへ
「…………」
セレストは冷静に周囲を確認して——振り下ろされる
そして――
「守り抜け——『
セレストの前に生えてきた樹木が、しゃがんでいるセレストを包み込んだ。
『——』
その上から斧を振り下ろした
『——!!』
「鬱陶しいか?」
「でもいいのか? ――目を離すと危ないよ? ウチの相棒は」
「砕き貫け——」
刹那、樹木の盾の中から
『——————!?』
「『
まるで飢えた狼がその鋭い牙を剥くように、セレストを包み込んだ樹木がゆっくりと開き――
一層強い冷気を帯びた氷の矢が、しゃがんでいたセレストから射出された。
『~~~~————ッッッ!!』
冷気を周囲に振りまく極冷の一矢は、
「おわぁっ!?」
ヘリオスのギリギリを通過して、周囲の溶岩を凍らせながら遥か彼方の大地へ突き刺さった。
「人型の割には大したことねーな」
セレストは空色の髪を手で払いながら、弓を折り畳んだ。
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