第16話
「え!そうなんですか!?」
「ああ」
高級茶葉にテンションが上がり、美少年さんに色々質問してしまった
短文だけど、意外と答えてくれる
嬉しくなり小さな笑いがこぼれる。
「あ、この紅茶ってどこで買ったんですか?」
「フランス」
「フランス!?」
そんな会話を続けているうちにガチャリとドアが空いた
「夏咲さん待たせてごめ……。え、」
茶髪王子がピシャリと固まる
「えー!!じゃあ、フランスからお取り寄せしたんですね!?」
「ああ」
茶髪王子が部屋に入ったことに気づかずに美少年さんと話していた
それに、茶髪王子だけでなく数人の男が入ってきたことも気づかないまま。
「うそ、だろ。」
この光景に誰かが息を呑む
とても美しく絶対的なオーラを放つ美少年になんてことの無いかのように無邪気に絡む女の子。
そんな紬希の恐れを知らない様子に男達が驚きを隠せなかった。
「美少年さん、どうし……。」
チラリと扉の方へと視線を向けた美少年さんにつられて私も視線を向かせる
すると、ドアの前で目を大きく見開いて固まっている茶髪王子と目が合った。
「あ!!!すみません!話し込んでしまって!」
夢中になってて気づかなかった
「俺らが遅かったし大丈夫だ。」
茶髪王子の優しい声色とは違う懐かしい声が聞こえてきた
え。おれ、ら?
声のする方へパッと向く
「…っ」
赤々しい茶髪の男を見て思わず目を見開いた
嗚呼、似てる。
ずっと、会いたかった人に似てる。
でも、こんな所にいるはずがない
だって、お父さんもおじいちゃんもみんなあの子は、
でも、本当にあの子だったら………
『柚希、ごめんな』
あの子の懐かしい声、あの日の悲痛な声や表情が次々と溢れ出てくる
「オネーサン。」
「へ、」
「
思考を遮るようにジッとこちらを見ながら私に尋ねた
「知り合いじゃないぞ?リュウヤ。」
一瞬の間も開けず新と呼ばれた男が答える
「…あら、た。」
小さく呟く。
アラタって呼ばれてた本当に
会えて嬉しい、すごく嬉しい…!
でも、知らないふりをしなければならない
だって、私はあの美しく恐ろしい日本庭園の家の子供だとバレる訳には行かないから。
自分が傷つかないでいいように。
ジッと新の顔を見て涙が零れそうになるのを我慢した。
──────本当に、新なんだ、と信じられない気持ちでいっぱいになりながら。
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