第9話

「カラフルだぁ…」


教卓に立った瞬間、思わず本音が漏れた。


私立南高校に転入した私は、今まさにクラスメイトになる人……。

いや、"カラフルの男達とパンダのような女達"の前に立っていた。


拝啓お父様。

あなた過保護じゃなくて"悪魔"なのでは?


「おーい、夏咲。挨拶しろー」


私の絶望なんてまったく気にしない、だるそうな声が聞こえてくる。


このだるそうに壁に寄りかかっている男が担任、朝日あさひ剛琉たける、化学教師。


ちなみに、顔は整っている。


───イケメンなんて滅びろ!!







「はぁーい。」


すーっと深呼吸をして、前を見る。


「夏咲紬希です。家庭の事情で転入してきました。よろしくお願いします」


にこり、と笑う。


その瞬間、


「「おおおおぉー!!!」」


……雄叫びが上がった。



こっっっわ。

カラフルどもが一斉に叫んでる………!!!



「夏咲、すげぇ顔になってるぞ。まあ、座れ。席は一番後ろ、窓際だ」


「わかりました」


ビリビリするような視線を背中に感じながら、私はそっと席に向かった。



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