第7話


南雲と別れ、私はひとりでダンボールの整理をしていた。


「…だいたい片付いたかな」


それにしても、本当に驚いた

まさか、二人がこんなに豪華なマンションに私を住ませるなんて。


新しい家は大きなマンションの最上階。

お父さんもおじいちゃんも超過保護だし、セキュリティの良い家に住まわせるだろうと思っていたけど……ここまで過保護とは。


それに、家具はほとんど揃っている


「まあ、買う必要が無いのは楽だからいいけど」


そう呟きながら新しいソファーに腰を下ろす。



朝早くから準備や移動が続いていたから、さすがに疲れたなあ。


そんなことをぼんやり考えていると、ふと気づく。


「…静かすぎる」


こんなに静かなのはいつぶりだろう

いつも私の周りには、誰かがそばに居てくれた


「南雲……。」


特に南雲はずっと私の傍にいてくれた。

会いたいなあ。数時間前に別れたばかりなのに、もう会いたいと思ってしまう。



『お嬢、目立たないように過ごしてください。俺たちは、こっちが落ち着いたら必ず迎えに行きます』


最後の挨拶は短かった。

長居出来ないからだろう。


笑って送り出すなんて、できるわけがない。

あんなに南雲の辛そうな顔を見るのは、あの日以来だった。


ダメだ。考えれば考えるほど、どんどん暗闇の渦に飲み込まれてしまう。


それに、今はひとりだ。

ぎゅっと目をつぶる。そうすると、静寂がさらに私を侵食する。




ひとりは──、

─────こんなにも寂しいものなんだ。








「あぁもう、だめだめ!こんな暗いことを考えない!」


夏咲なつさき紬希つむぎは強い女の子なんだから。」


頬をパチンと叩く。


明日からは新しい生活が始まる。

こんな気持ちでいたら、いずれボロが出てしまう。


不安はある。

でも、期待もあるのだ。


"どうか、目立たないように過ごせますように。"



窓の外に広がる夜空を眺めながら、静かな部屋にそっと願った。

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