第3話
「
静けさに包まれた日本庭園の家で、
祖父───
あまりにも突然だった。
だけど、この人の言葉には逆らえない
逆らえない理由は、私はよく知っている
「…おじいちゃん、分かったよ」
本当は聞きたかった
私が足でまといだから?
女だから?
諦めきれないから───?
喉まで込み上げてきた疑問を、必死に飲み込む。
「紬希、そんな顔をするんじゃない。じいちゃんは、お前に幸せになって欲しいだけた」
私の心の揺れを読んだかのように、祖父はそう言った
間違ってる言葉ではない
でも私は知ってる。
おじいちゃんが、“九十九 勇”がそれだけで決断する人じゃないってことも。
────私が"オンナ"だから。
それ以上考えてたら泣いてしまいそうだった。
「紬希向こうでは絶対に無理をするな」
おじいちゃんは、先ほどよりもずっと真剣な目を向けてそう言った。
「…うん、わかった」
「紬希元気に過ごすんだぞ」
「おじいちゃんもね」
大きくて、ゴツゴツした手が、乱暴に──でも優しく、私の頭を撫でた。
その仕草は昔と少しも変わらなくて、私は思わず涙を堪えるために、ぎゅっと唇をかんだ。
おじいちゃんは優しい目のまま、静かに私を送り出した。
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