第3話 とあるギルドでは

 酒場で女性が、泣きながらやけ酒をしていた。


「あのバカ、なにがこいつの牙で君に指輪を贈るだ…死んだら意味ないじゃない」


 仲間らしき四人に慰められながら、その後も潰れる迄飲んで去って行った。


「かなりの痛手を与えたらしく、山の方に逃亡したですか」

「ちょっとまずくないですかね、逃亡先が」


 受付らしき女性二人はそう言うと、上の指示を仰ぎましょうと、片方が立ち上がり報告へと向かった。



 はい、現在俺死(間違ってない)ホント死ぬかと思いました。

 治療のために山で休息してた奴なんですが、一瞬でコンガリからのバクッ!ですよ。

 今度の宿主様は、火を吐くようです、後俺バレてるみたいです。


『うーむ、レイスなのか、なんなのかわからんが、口から出てもらえるかのう』


 なんか思念ポイの来たー。俺もできるかな。『えーと聞こえますか』


『おお、会話できるのか、それで出てくれんかのう』

『ええと、体生成しないと動けないので、生成していいですか』

『む?そなた、種族は何なのじゃ』

『ええと、ピコア?らしいです』

『ふむ、聞いたことないの、うむ、出るのに必要なら仕方ない、よいぞ』


 許可も下りたので、動く最低限だけ身体を生成して、頑張って隙間から外に出ます。

 すっげー、頭でか!見えればいいなとその頭の鼻の先にちょこんと、停止しました。


『出たようじゃが、ふむ、魔力的に鼻先か』

『むむ、見えませんか、徐々に大きくしますので見えたら教えてください』


 スタート時位のサイズに成ったら、認識してもらえたようだ。


『スライム?なのかの?コアが見当たらんが』

『なにやら、スライムのコア部分?だけの存在で、それがものすごく小さくて認識できないレベルのようです』

『ふむ、何故あそこにいたのじゃ、あれもお前が口の中に居なければ、我に襲われなんだが』

『ええと…』


 気づいたら、スライム状態で、水に浮いてたら捕食されて、移動も大変なので、そのまま勝手に居座ってたと説明した。


『なんと面白い、では口の中を綺麗にしたり、治療が出来ると』

『ええ、そうみたいです』

『うーむ、よかったらやってもらえんかの、中の方も行ける所まで』

『口よりさらに中もですか、やった事無いので心配ですが』

『なに、肉体部分を刺激しなければ、大丈夫だとは思うでの』


 断ると、命が危険かもしれないので受け入れた。現在竜?の肺に到着したんですが、向こうは違和感すらないそうで、戻って他の部分に行くか、肺から血流の方に混ざれそうなのでどうするかと聞いたら。


『血に紛れられそうだと、面白いやってみようではないか、なあに長生きしてるで、事故で死んでももう後悔もありゃせん』


 ゴーサイン出た、なのでいざと混ざってみたんだけど、血がサラサラじゃない、ドロドロってことはこれあれか、ごみとったら調子よく成る奴か?聞いてみよう。


『あの、血って子供の頃とか、同種の幼いものは、さらさらしていますか』

『ん、そうじゃな。大人になるにつれ、水みたいな状態から泥みたいになるの』

『固まってたり、どろどろになっている部分って、吸収して大丈夫ですかね』

『ほう、やってみるんじゃ』


 よし、とりあえずこの辺を…あれここの瘤取れ、中に何かいやがる。包んで、それ毎吸収して、あ、その下血管傷ついてるっぽい、補修補修治療治療。


『む、今何かやったか、最近その辺りが鈍かったんだが、解消されたぞ』

『後で説明します』


 ふむ、不調になる奴かあれは、じゃあガンガン行くかー。取り敢えずこの辺のどろどろ解消て、流れてるから解消しても後ろから勝手にドロドロ来るな。

 うーん、一部を台所の三角コーナーのネットみたくして、ここを通ったのはどろどろの原因を消化させつつ、体生成で繋げたまま、本体は全部めぐってみるか。

 超広いというか、長い…血自体は、一旦サラサラになったっぽいんだけど、また来ると、ドロドロにってことは、まだどこかに原因があるっぽいが…


『あの、綺麗にしても、戻ってきた感じのがまたドロドロでして、逆走してもいいですかね』

『?好きにしていいぞ』


 どうやって逆走するか、あの網バックモニターみたいにして移動させられないかな。

 ん、おお出来そうだ。ん-ア、これダブルモニタで、二点同時操作するときのあれだ。少し慣らそう…ん-おお、((慣れてきた?))というか思考が二重に成ってねえ?ステータスさーん!



 名前:(未設定)

 種族:ピコア(ユニーク)

 スキル:ステータス、消化吸収、魔力変換、体生成、浄化、治療、修復、精製、火耐性、雷耐性、多重並列思考

 解説:何でも消化吸収が出来るが、消化吸収には体が必要。サイズが小さすぎて、範囲攻撃以外が当たらない。ただし運悪く当たれはダメージを食らうと思われる。ユニーク種の為、今後どのような変化をするかは未知数。

 加護:心優しき女%神の見守り


 あ!やっぱり。んーでもこれ難しいな。ふむふむ、お!これがやりやすそうだ。

 俺統合体メインコアにいます、俺並列A順路担当だ、俺並列B逆走担当だ。

 それぞれの方向に、思考を付けて、頑張らせて、コア担当はそれ見てるだけで済むわ。しばらく進んだところで、交代しろとか言われた。変わったけど、あれださっきまで一つでやってたから大変だったが、これならすいすい行けるな。

 お、分かれ道か、コア担当に連絡して、ここで右と左に分れたのを生成、思考もそれぞれにつけた。

 おー、うんうん。これ最後戻る時どうなるんだ。まあ、コア担当が考えるだろ。

 おっと、交代らしい、今度は後ろ担当だが、後ろの分かれ道待機か。


『おぬし、異常に増えているようだが、大丈夫か』

『ちょっと、戻った時どうなるかわからんとです。これも実験です、ゲームオーバーかと思ったら、コンティニューできたようなもんなので』

『ならいいのだが』


 そんなこんなで、全部回ったよ。あの変な瘤、あと普通に塊、たまに何か霊的なもの?もあったけど、浄化、消化、治療、修復の前にはすべて無力だったよ。

 あと、合体したんだけど、また思考が一個に戻った。一個ではないか、メイン、サブ1と2、それのサブ1と2、みたいにいつでも別れられる。

 統合時は記憶領域に全部しまわれるだけで、思い出そうと思えば、再生できるみたいな?

 そんなわけで、常時メインと、サブ1と2、サブのサブ1と2の7思考体制で行くことにした。メインは会話とか、サブたちは、視覚を六面体で分けて全方位にして各板を担当みたいな。

 とりあえず、血液は全部サラサラになったので、肺からまた戻ったよ。あとちょっと圧力が強すぎたので、戻るのに苦戦した時に許可もらって、血液自体も少々頂いた。


『うむ、すごいのう、十万歳は若返った気分じゃ』

『十万!?』

『で、今度は内臓だったか、この調子でどんどんいこうではないか』

『了解しました』


 というわけで、ゴール地点から出ようとしたら、慌てて止められて、自分に浄化をかけてから戻れとの指示に従って、スタート地点に戻り口の中も掃除してから鼻の穴から出ました。そうそう、鼻毛あった!ぼうぼうすぎる!それで、鼻息が出来ないというので、頼まれて、梳いた。

 百年ぶりぐらいに、鼻から呼吸できたらしい、その時の一言。


『くっさー!我こんなところで生活してたの!?ここも全体掃除してくれんか!』


 というわけで、今度はその塒?を…の前にふと思ったので聞いてみた。


『ふと、呼吸って必要ですか?』

『十日ぐらいしなくても平気じゃな』

『全部覆うので一度息止めてもらってもいいですか』

『ふむ?止めたぞ』


 というわけで、体生成で塒をドラゴン?毎埋め尽くして、ゴミや老廃物など余計なものを全部一気に、浄化、消化!で、体を元のサイズにまで戻した。


『すごいのう、おぬし確実に、普通のスライム系とは別じゃな』

『ですよねー』



 名前:(未設定)

 種族:ピコア(ユニーク)

 スキル:ステータス、消化吸収、魔力変換、体生成、浄化、治療、修復、精製、雷耐性、多重並列思考、分裂、統合、ブレス、熱無効、消臭、芳香

 解説:何でも消化吸収が出来るが、消化吸収には体が必要。サイズが小さすぎて、範囲攻撃以外が当たらない。ただし運悪く当たれはダメージを食らうと思われる。ユニーク種の為、今後どのような変化をするかは未知数。

 加護:心優しき女%神の見守り


 ブレス!?熱無効!?消臭?芳香?うーん?


『うえ!?ドラゴン様の体表の老廃物とか、その辺のごみ取り込んだ影響だともうのですが、熱無効、ブレス、消臭、匂い消す方です。芳香、匂い出す方です。がつきました』

『ほうほ…う?ちと芳香てどんな香りが出せるんじゃ』

『えーと、今までに取り込んだことがある香りみたいですね』

『おお!ちょっとこれを取り込んでもらえるかの』


 おう言うと俺の前に黒い空間が開き、一つの果物が落ちた。

 取り込んで消化したら…!?美味!?zzうぇsxdrctfgヴゅ。

 気絶した。


『む、いかん!どこじゃ?とりあえずさっきおった場所より少し広めに結界!』

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