第10話 国治編 / 碧緑の倭
人知れず
2人の男が
1人は
もう1人は
顔に
描かれた
(かなり大きな戦だったのか)
あたり一面
亡骸は
この数の
獣だけでは足りないほどだ
肉は腐り
辺りには頭痛と吐き気を
立ち込めていた。
若者「
ここには何かが居るようだ」
マタギ風の男は
「そうかぁ?
こんだけ死体があれば気持ちも悪いし
俺はお前より長く賢牛様に支えてるが
何を考えてるか全くわからん
皆は神様だというが
俺は疑っている。
神様なら何で何にもしないんだ
何であんなに
国治はマタギ風の男を見た
雑面のせいで表情を読み取ることはできない
「
それに
誰が聞いてるか分からない
僕も賢牛様が何をしていて
何をしていないか知らないが
あんなヨボヨボの牛に何ができると言うのだい?」
兵吉は下を向き笑うと 嬉しそうに国治を見た。
兵吉「俺お前のそういう所 気に入ってるんだ」
「若いの 暗くなる前に帰った方がいいぞ
この場所には
鵺様は
兵吉は振り返り老人を見た。
兵吉「礼とは? 俺らは
その礼が分からんのよ
うっかり怒らせてしま うかもしれない」
老人「鵺様の姿を見ぬ事 鵺様の
国治も振り返る
老人は少し焦った様子で目を伏せた」
農夫「賢牛様の所の式様でしたか」
国治「ご老人 なんで鵺様の怒りを買う
農夫「いや、昔からみんな言っているさ」
国治「私は
方を見るのははじめてです
なんにせよ、鵺であれ鬼であれ
魂の法を
裁かねばなりません」
老人は目を泳がせた
「それでは私は仕事がありますので」
3日前
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2人とも
「最近、問題なく過ごしていたから、
久しぶりの仕事はキツイ
軽めの仕事お願いしますよ」
兵吉は腕を頭の後ろに組み、
国治は
御簾の奥には三つ目の牛のミイラが置いてある
国治とは違う色の雑面の青年が
青白い
置物と思えた牛はゆっくりと目を開き
賢牛「これを見てどう思う?」
兵吉「色はくすんでおり
大きさからして
賢牛はやれやれといった風に首を横に振った
国治「表面がザラついている これは
死んだ大人の魂の
賢牛は国治を見て
国治「何のために?」
賢牛「それを2人に調べて欲しい 場所は
そんなに遠く無い戦跡」
賢牛は尾を一振りすると眠りについた
兵吉は大きなため息を付くと部屋をでていった
国治も片膝を付き立ち上がると
部屋を出ようとした時、背後から声をかけられた
賢牛「ついでに1人連れてきて欲しい者がいる」
振り向いて賢牛を見たが、さっき寝入った
姿のまま、動いた様子はない
賢牛はこうして直接話しかけてくる
国治(きっとあの牛の姿に何の意味もないのだろう)
国治はそんな事を思いながら
覇情(はじょう) 夢楽亭 六瓜 @yumerakutei-rokka
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