第5話 保憲編 岸郎

かつて母が使っていた部屋のかぎあけけて入ると

幸子が下を向いたまま近づいて来て保憲の横顔を平手打ひらてうちした。


「何なのこの部屋 装飾そうしょくした牢屋ろうやじゃない!!」


 幸子は鉄格子てつごうしの付いたいまど指差ゆびさした



「あんた最低さいてい外道げどうよ 鬼悪魔おにあくま 地獄じごくにおちろ!


 天城様の名前をあんたなんかが口にして良いと思ってるの?


 一瞬でも良いと思った私が馬鹿だった。」



(保憲は幸子に罵倒される心当などまったく無かったが


 でもきっと自分が考えて分かることでは無いと思った)



幸子は保憲の胸ぐらをつかみさらにたたこうと手をあげたが


保憲はその手を掴み阻止そし


胸ぐらを掴んでるほう手首てくびひねりり上げ手をはずさせた



どいやら隣の部屋の会話をマイクで流していたらしい 



(わざと会話を聴かせてたのか)



保憲は何も無かったかのように 鏡台きょうだい椅子いすを引きせまたがり 


背もたれに組んだ手を乗せた。冷めたい目つきで幸子をみた



幸子「こんな事になったのはあんたのせいよ!」


幸子は制服のスカートの上から3分の一くらいの位置いち両手両手にぎりしめ


少し上げ膝上ひざうえが見える程度ていどに上げている



耳まで赤くしてしたを向いたまま


幸子「好きだっていいなさいよ!」



保憲は幸子をみて固まった


(この状況じょうきょうでついにこわれたかなぁ?)


幸子が真っ赤になり泣きそうな顔でいった



「あんたが私にに好きだって言えば 

 出してくれるって あんたのお父さんがいったのよ!!」



保憲はを鏡台を振り返った そこから見てるのは


分かっている と父につたえたのだ



保憲は大きなため息をついた


「自分で来たくせに全部他人のせいみたいに

 

 冷静に思い出して下さい 父あなたに何と言ったんです」



幸子は考えに考え思い出した言葉を口にする


幸子「保憲を籠絡ろうらくしてみせろ 命だけは助けてやる⤵︎」



保憲 「籠絡•••」



保憲はちょっと吹き出したが直ぐに先程の態度に戻し

 

「幸子さん•••ちょっと触られたくらいで


 そんなに父の言いなりになっていたら


 すぐに自殺する羽目になりますよ 


まぁ 怖いというの分かりますが」


(学生服の3分1あたりを両手で握りしめてもじもじしていた あれで 


 まさか籠絡できると? 哀れになってきた。)


保憲「幸子さん 貴方あなたにはない発想はっそうでしょうけど


   命を取らない と 家に返すは 別話べつばなしですよ


   好きと言わせるではなく貴方が僕にとって


   人質ひちじちとなるくらい執着しゅうちゃくさせろと


   言ったんだと思います。


   貴方をいたぶる事で僕が父ののままに


   暗殺あんさつし続けてられるように」


幸子は青ざめた


幸子「痛ぶるって?」


保憲「そこね 色々ありますが、貴方なら拷問ごうもんするまでもなく


   父の言いなりでしょう」


保憲はベットを指差した


「あれとか?」


幸子はいかりながら


幸子「絶対ぜったいいやよ!そんなのゆるされない!


 お父様が今頃いまごろ警察けいさつ通報つうほうしてるわよ」


 

保憲「幸子さん 今ので分かるんだ・・・・ 大人ですね

  

 残念だけど先の総理そうり暗殺あんさつに僕の父と君の


 お父さんはかかわっています 


 貴方あなた見捨みすてられたのです」


「嘘」


「先の総理の葬式では2人とも笑いを噛み殺してましたよ


 2人は悪いお友達なんですよ」



保憲は椅子から立ち上がった



「仕事の時間です」



保憲は部屋から出てい行こうとした時



幸子は怒鳴どなった 



「あんたのせいでしょ 助けなさよ」



保憲「僕のせいとは思いませんが どうやって?



   今すぐ出せと言うならできますが



   ここから出しても僕が学校に行ってる間に



   幸子さんつかまって殺されるかもしれない。



   穂積のお父様が海外に逃しても、きっと父なら暗殺者を送ります



   では これ以上遅れると寝る時間なくなるんで



今度こそ保憲は出て行った

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