第4話 保憲編 北斗

昼過ひるすぎ校門こうもん馬車ばしゃが来た。


保憲は窓のわくひじをつき頬杖ほうずえをつきながら外を見ていた



北斗ほくと「石井先生の所によりますか」


保憲「いや いい 僕 石井先生 尊敬そんけいしてるから殺したくないんです 


   それに昨日今日きのうきょう計画けいかくできないし 別の所がすでに動いてるし


   僕が殺しに行かなくていいでしょ」


北斗「お父様の機嫌きげんをそこねますよ」


保憲「すでにそこねてるよ」



國破邸くにばていにつき馬車を降りる間際まぎわ 保憲は北斗にむきなおり言った


保憲「ごめんね北斗さん 先にあやまっとくるけど


   僕にやいばを向けるならすばるさんでも殺ろします


   北斗さんがかかわって良いのはここまでですから」


北斗「保憲くん」


保憲「北斗さん 女の子1人でも助けてから


   文句もんくいってください 


   泣きながら死体したいかたずけてるだけじゃ説得力せっとくりょくないので 


   それではさようなら」


すばる北斗ほくとは父が拾って来た孤児こじの兄弟だ 


戦闘せんとう向きの昴は父の暗殺兼護衛あんさつけんごえいをしている


北斗はそれ以外の雑用ざつよう



家に着き無駄むだに大きい玄関げんかんホールを通り抜け


成金趣味なりきんしゅみ華美かびつぼが並ぶ廊下ろうかを通り過ぎて


和風のステンドグラスが20〜30枚はめまれた


かりりのある階段かいだんのぼ



居間いまにつくとお茶とお菓子かしそして父 岸郎が用意よういされていた


保憲「あさひ山城やまじろは?」


岸郎「山城は庭の家畜小屋かちくごや 旭は父さんの部屋で


   寝ずに看病かんびょうしてる」


憲保「うそばっかり 旭は体調たいちょうこわしてないだろ?


   父さんにあずけてたほうがあぶないよ」


岸郎「父さんだって動物くらい育てられるぞ


   昔は飼育係しいくがかりだった。


   さっそくなんだが 穂積くんのお嬢さんとの縁談えんだん 


   反故ほごにしたらしいね 


   せっかく父さんが縁結えんむすびびしてあげたのに」



保憲「好きな子ができたので(いちばんありきたりな理由だろう)」


保憲はわざと照れてみせた


岸郎「誰だね


保憲「清治きよはるおもうと天城あまぎです」



岸郎「ア アマギ だと? 勝算しょうさんはあるのか?



保憲「他人の気持きもちちは分からないのでなんとも


   勝算は知りませんが 一緒に遊んだ事はありますよ


   山城も天城様からたまわった物です  


  (流石の父も 天城には手が出せない 証拠しょうこのない嘘で山城も


   当面とうめんは殺されない後はあさひと幸子か)


岸郎「昴 山城の件ほんとうか?」


昴「私は存じ上げませんが、確かに清治様と


  遊びに行った帰りに」


岸郎「分かった たしかに 天城ならお前の好みだが


  (本気なのか? 近づけるなら好機こうきだが まさか安倍ノ天城 


   陰陽師としての才覚さいかくに溢れわずかか10歳で最高機密機関

 

   陰陽領に属している あのアマギか)


岸郎は疑いつつも


岸郎「穂積幸子はどうする」


若干じゃっかん邪魔じゃまだという雰囲気ふんいきただわせなが保憲は言った


保憲「だから婚約破棄したのです


   お父さんのせいですよ穂積さんは


   お父さんのお仲間なかまでしょ?


   さっさとかえしたら良いんじゃ無いですか?


   その関係に僕を巻き込まないで頂きたい」

   

  (助けようと思ってるなどバレてはいけない


   微塵も感じさせてはならない! いつもの自分を装う


   自然な話のながれで)              



岸郎「それがだね 保憲 


   幸子さん 既にいらしていてねえ


   母さんの部屋で お前を待ってるんだ それに父さんの


   本性ほんしょうもバレてはしまった。」


保憲「ハ〜 記憶でも消して追い出せば


   良いじゃ無いですか」


岸郎「血筋がいいせいか昴のじゅつかなくてな」


保憲「とりあえず 様子を見て来ますよ(あのおんな!)」

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