2025年11月29日「世界一怖い場所に行ってきました」

 それは先週のことでした。

 いつも通り風呂から上がった僕は日課の歯磨きをしていたのです。

 QOLを上げるために買った400円台のちょっといい歯ブラシにクリニカの下から2番目に安いシリーズの歯磨き粉をつけて、ゴシゴシと歯を磨いていたとき


 ズキン!


 …………マジか。

 僕は恐る恐る鏡を見ていました。場所は上歯の一番左奥。ちょうど親知らずの場所でした。

 口をグイーッと広げながら傷んだ箇所を見てみると……

 黒い影。


 あぁ、クソ。

 なんのために、この2年間、歯磨きを頑張ってきたんだ、とため息をついたものです。


   * * *


 というわけで行ってきました、歯医者。

 なんで歯医者って、あんなに怖いんでしょうね。

 そんなことを考えながら診察台に座りました。


 そこで気づいたのが、妙に清潔すぎませんか、あそこ。

 白い壁に白い口をゆすぐアレ、白い口の中を照らすライトや椅子の操作盤などなど……。

 どれも清潔すぎて、逆に恐ろしく感じるという「ミッドサマー」みたいな雰囲気を感じませんか?


 他にも恐怖の原因に気づきました。

 まず、自分から進んで診察台に座るところです。

 まだ引きずられながら座らされて、拘束されるのであれば、叫んだり暴れたりすることで恐怖を体の外に出すことができます。

 しかし、自らの意思で椅子に座り、離れない、ということは自己の決定に責任を持たなければいけないというプレッシャーにさらされることになり、すなわち吐き出せる恐怖を己の中に抱え込むことになるのです。まるで「IT」に精神操作をされているような気分になりまうs。


 さらに、極め付けは治療中。

 治療中は意識があるわけです。もちろん患部に麻酔はされていますが、治療中は覚醒しているわけです。

 そんな中で、ドリルを口の中に突っ込まれる。

 もう一度いいます——口の中にドリルを突っ込まれるんです。

 口の中という、自分では見ることができない部分をいじられるわけです。これは「アウトレイジ」に出てくるヤクザも悲鳴を上げるほどの拷問です。

 そして意外にも口の中って敏感なんです。

 ここで話は変わりますが、どうして人類はキスをするのでしょうか。

 実は生物の中でキスをするのは霊長類だけなんだそうです。これは動物同士のコミュニケーションの一種であるグルーミングの進化的名残りなのではないか、という学説があるそうですが、なぜ唇なのか、という疑問には答えられていません。

 おそらく口が人類の中で最も敏感な部位の一つだからではないか、と生物の授業を寝て過ごした学士卒は予想します。

 

 そう、口は敏感な部位なのです。


 そこを見えない状態でいじくり回される。

 もはや、これは拘束プレイ!!


 と、ここまで考えたときに僕は思いました。


 この恐怖を性的興奮に変換することができれば、僕は歯医者無敵マンになれるのではないか?

 しかし、麻酔をしてうがいをした時に、麻酔をした部位から大量の苦い液体が流れ出した時には「あれ? これ本当に大丈夫?」という思いが溢れ出しました。


「じゃあ、そろそろ治療始めますか〜」

(えっ、まだ顎動きますけど、これって大丈夫なんですか? 本当に大丈夫なんですか!?)

 しかし、そんなことを言えるほど僕はコミュ力はなく、ただ「はい」と死刑執行椅子に背を預け——

「では、まず取りやすいように歯を削っていきま〜す。痛くないですか?」

(あれ? 思ったより全然痛くない?)「はい」

「次に歯を抜いていきますね〜」

 ゴリッ、ゴリッ

「はい、抜けました〜」

 あっ、意外と痛くなかった〜!


 幸いにも僕の親知らずは縦に生えていたので、ひどい痛みを感じることなく抜歯することができました。

 けど、あのときの恐怖は忘れません。マジで怖かったんだからな!


 と、ここまで支離滅裂の歯医者珍道中を書いてきましたが、皆さんは歯医者どうですか? 怖くないですか?

 僕はまだちょびっと怖いです。

 今回抜歯した場所以外にも虫歯が見つかったらしくて、来週、再び治療に行ってきます。

 あぁ、怖い。


 というわけで、今日はここまで。


————

 余談

 今日、名無之交響楽団の方で新曲をアップしました!

 タイトルは「カツテ人ダッタモノ」。

 制作の裏話などは後日語ろうと思いますので、ぜひ聞いてみてください!

 URLはこちら↓

 https://youtu.be/gg7TPYd_84M

 

 


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