底上げの舞台

広がる空間、夢の器


その手触りは軽やかで、虚ろ


詰まっているのは、期待か?


いや、それは透けるような空。




値札の笑顔は、無邪気な仮面


据え置かれた数字が語るのは、


増えた空間、減った重み


財布の沈黙に甘える知恵。




「新しいデザイン」「進化の証」


その声は軽やかに響くけれど


詰め込まれるのは中身ではなく、


広がる嘘と、空気の余白。




底の秘密に触れた指先は、


いつしか問いを忘れて踊り出す


空間に魅了される客たちの列


その先に広がる底なしの迷宮。




増えたのは空間。


減ったのは実り。


それでも私たちは笑いながら、


この空を買い続ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る