第35話 今カノはどんなワガママも聞いてくれる

「ほらー、いつまでも横になってないの。せっかく、カラオケに来たんだから、少しは歌おう」


「はーい」


 別に歌などどうでもよく、由乃さんとイチャ付きたいので、二人きりになれるカラオケボックスに来たのだが、まあ金ももったいないし、一曲くらいは歌うかな。


「何に歌おうかなあ……陸翔君は最近、よく聞いている歌は何がある?」


「そうですね……」


 YouTubeとかで、人気の歌い手の歌を聞いたりしているけど、ハマっている歌とかは……。


「もう、また体を触って……」


「はっ! す、すみません。由乃さんスタイル良いんで、つい。はは……」


「絶対わざとでしょう、もう。あん、また胸を……誰か見てるかもしれないでしょ」


 一緒に曲を選ぶと見せかけて、由乃さんの体にまた密着し、さり気なく胸や太腿に触れていく。



 ふふ、普通ならセクハラになるところだが、由乃さんも二人きりの時なら良いと言っちゃったからな。


「はあ……陸翔君がこんなにエッチだったなんてね」


「いや、はは……そんな事ないと思いますけどね」


「絶対あるよ〜〜……私と二人きりの時はまだ良いけど、こういうのクセになるみたいだから、気をつけないと駄目だよ」


「そういうもんなんですかね? 由乃さん以外の人にこういう事をしようとは、全然、思わないですけどね」


「きゃあ! だ、だから、そういうのが駄目なの〜〜!」


 背後から、由乃さんのおっぱいを思いっ切り両手で鷲掴みにしてやると、さすがの由乃さんも悲鳴を張り上げる。


 うーん、柔らかくて大きくて、マジでクセになりそうだな。



「んもう……ほら、いい加減になさい。」


「はーい」


 何か本当に嫌がってそうだったので、この辺にしておく。


 あんまりやり過ぎて、由乃さんに嫌われちゃ敵わないしな。


「すみません、やり過ぎちゃいましたね。今度から気を付けますので、許してください」


「本当よー……さ、そろそろ何か歌おう。あ、採点機能あるんだね」


 取り敢えず、謝った後、タブレットで曲を選ぼうとするが、点数競うのも悪くないかも。




「俺とどっちが良い点取るか勝負しませんか? 負けたら、勝った方の言う事を何か一つ聞くとか」


「どうせ、陸翔君が勝ったら、エッチな事をさせろとか言うんでしょ」


「ちっ、バレたか……大したことはしないですよ。由乃さんのおっぱい見せてくださいっていう位ですから」」


「や、やっぱり……」


 ふふん、というか実際見てみたいんだけどなー。


 ここだと、監視カメラがあるから、流石に脱がせられないと思うが、俺か由乃さんの家で二人きりの時は本当に拝み倒して見せてもらおうかなって。



「駄目ですかー? 俺の裸も見せますので、お相子って事で」


「そういう問題じゃないの。そんな事を言うんじゃ、点数対決はナシね」


「由乃さんが勝ったら、俺が何でも言う事聞きますから。ちなみに、何して欲しいですか?」


「え? うーん……急に言われても困るかな……」


 由乃さんの事だから、恐らく俺に無茶な事は言ってこないはず。


「え、えっと……じゃあ、肩もみでもしてもらおうかな……あ、勝負はしないからね」


「何だそんな事ですか。別に勝負に関係なく、いつでもやりますよ、そんなの」


「ひゃっ! も、もうやらなくて良いわよ」


 やっぱり、由乃さんの頼みは可愛らしく、俺にも全く損はないような事だったので、つい頼まれもしないのに、彼女の肩を揉んでしまう。



 うーん、やっぱり楽しいなあ由乃さんといると。


 奈々子とのストレスもこれでだいぶ解消されてきたわ。


「あ、何でもって言うなら……」


「何ですか?」


「奈々子と仲直りしてくれると嬉しいなーって。あの子と、ずっとぎくしゃくしたままだと、私達の仲にも影響出そうだしさ」


「…………」


 そう来たか……まあ、由乃さんらしいといえばらしいんだが……。



「俺は良いとして、あいつにその気がないのがちょっとネックなんでは」


「だよね……あそこまで、陸翔君の事、嫌う事ないのにね」


 由乃さんも奈々子の方に問題があるってのはわかっているみたいだが、正直、俺もあいつ仲良くするの無理。


 ただでさえ、俺の事を一方的に振ってきた元カノなのに、由乃さんとの仲を妹だからって妨害しやがって。


 どうして、そんな奴と仲直りしないといけないのかもわかりゃしない。


「さ、一緒に歌おう」


「は、はい」


 何か辛気臭い気分になってしまったのを察したのか、由乃さんと一緒に何曲か歌い、時間が過ぎていく。


 カラオケを出るころにはそんな気分も吹き飛んでしまったが、だからといって、奈々子との事が解決する訳ではなかった。



「あ、雨もだいぶ弱くなってきたね」


 カラオケを出るころには、雨も小降りになってきており、傘を差さなくても大丈夫なくらいになっていた。


 とはいえ、一日中天気が不安定な予報だから、あんまり外は出歩けないか。


「そうだ。ちょっと、夏物の服を見ようと思っていたから、付き合ってくれる?」


「いいですよ」


「ありがとう」


 店を出た後、二人で近くにあるショッピングモールにある服屋に向かう。


 彼女の服なら、俺も選んであげたい所だが、あいにく、女物の服は疎いからか。



「うーん、どれにしようかな……あ、水着もあるのね」


 服売り場に向かうと、女性ものの水着もあり、由乃さんは興味深そうに水着を物色する。


 由乃さんの水着姿か…….


「これなんか良いかなー……でも、ちょっと大胆かも」


「着ている所、見てみたいです」


「え? で、でも……」


 グリーンのパレオ付きのビキニを手に取った所で、そう言うと、由乃さんも困った顔をする。



 お値段はちょっと高めだが……多分、試着は出来るんじゃないか?


「由乃さんの水着見たいですー。見せてください。てか、泳ぎ好きなんですか?」


「得意ではないけど……泳ぐのは嫌いじゃないかなって……てか、目がまたエッチになっているんだけど」


 ふふ、由乃さんの水着姿を想像したら、そりゃそんな気分にもなってしまうさ。


 ここまで来たら、試着はしてもらいたいし、その姿を写真で激写したいのう。



「お願いします。俺にだけで良いので、見せてください」


「ん、もう……ちょっと待っててね」


 俺が頭を下げると、水着を手に取り、店員に何か話しかける。


 恐らく試着のお願いをしているんだろうが、果たしてどうなるか。



「おっ、試着室に向かったぞ」


 くうう、やっぱりサービスが良いなあ。


 楽しみだなー……と、思いながら、試着室の前で待っているが、なかなか出てこなかった。



「ふう……あ、陸翔君居たんだ」


「あれ、試着したんじゃないですか?」


「したよ。もう着替え終わったの」


 しばらくして由乃さんが試着室から出てきたが、水着姿ではなく普通に私服姿で出て来た。


「じゃあ、会計を済ませるから、待っててね」


「あ、あの……いいんですか?」


「うん。ちょうど、新しい水着も欲しいなって思っていたから、気にしないで」


「いえ……水着姿……」


「もう、送ってるよ。スマホを見て」


「え? あれ、ラインの着信が……」



 いつの間にか、由乃さんからラインが着ていたので、見てみると、メッセージと何かファイルが添付されていた。


「こ、これは……」


 それは由乃さんの水着姿の自撮り写真。


 顔はなぜか隠していたが、全身の姿と胸元をアップで写した写真もあり、


『絶対に誰にも見せない事』


 と、いうメッセージが添えられていた。



「お待たせー。くす、どうだった?」


「いや、凄く良かったですよ。でも、生でも見たかったなって、思いまして」


 会計を済ませた由乃さんが戻ってきてそう言うと、由乃さんも笑顔で、


「それは後でね」


 ウインクしながら言ってくれた。


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