第3話 *「カイ、フレッドとピリ」*

カイとフレッドとピリは、ラースの一番のなかよしだ。トゥーリがラースと出会うよりもずっとずっと前から、ラースが子どもだったときから、なかよしだったらしい。


カイは体が大きくてとてもにぎやかだ。大きな口でがっはっはと笑って、それを見てるとこっちまで楽しくなる。いつもとぼけたことを言って、ラースやフレッドにバカにされて、ピリにもあたまがあがらないのがおもしろい。


フレッドは背がたかくて、いつもねむそうなかおをしているけど、べつにねむくないらしい。かみのけがぴよぴよしてて、よくおもしろい服をきてくる。みんなの中でいちばん年上らしくて、いつもみんなをからかってる。


ピリは体がちっちゃくて、目がくりんとしてとってもかわいい。だけどみんなの中でいちばんつよいんだって!だれもピリにはかなわない。前にカイが、ピリの中にはちっちゃいおっさんが住んでるって言って、すごくつねられてた。


三人は、いつもトゥーリとよく遊んでくれる。

三人が来たときは、ごはんもごうかでたくさんさわいでたくさん食べるから、とっても楽しいのだ。


さわぎつかれて、おなかいっぱいになって、トゥーリがあたたかいだんろの前でうとうとしていると、ラースが三人としずかにお話ししているのがきこえる。


だんろのまきがパチッとはぜる。

ほのおがあたたかくゆらめいている。

かべにかげがうつる。


ふしぎなかげ。ゆらゆらゆれて、ラースたちのあたまやせなかに、つのや、しっぽや、つばさが生えたように見える。体も口もうんとおおきく見える。手もかぎづめがはえたみたいだ。おとぎ話のりゅうみたい。


ラースが何かを言うと、カイが、バカだなあと言う。いつものとぼけたちょうしとはちがう、ひくくてしずかにひびく声。


ラースはバカじゃないよ、やさしいんだよ、トゥーリがねむいのをこらえていっしょうけんめい言うと、みんないっしゅんしずかになって、そしてくすくすとやわらかく、あたたかく笑う。


トゥーリはしぱしぱとねむい目でまばたきする。もうかげはふしぎなゆらめきはやめていた。あたたかいまなざしでトゥーリを見まもる四人のかげは、いつもの四人らしいシルエットでゆれていた。


ピリが、ラースはしあわせものね、と言う。

ラースは、夏の日の木かげのようにひとみをふせて、ああ、とほほえむ。しあわせものだ、と。


よしよし、トゥーリはいい子だな、と、フレッドが大きなあたたかい手で頭をなでてくれると、トゥーリはふわふわとゆめのせかいにおちていった。

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