食事と休息

 村の一角にある、大きめの家に案内された。

 どうやらここが村長の家らしい。


「まぁ、質素な食事じゃが、腹は膨れるぞ。」


 村の長が用意してくれたのは、黒パンとスープだった。

 黒パンは、ゴツゴツしていて少し硬い。スープは薄めの野菜スープだが、温かいだけでありがたい。


 俺は礼を言いながら、すぐに口へ運んだ。


「……うまい。」


 空腹がスパイスになったのか、驚くほど美味しく感じる。

 熱いスープが胃の中に染み渡り、冷えた体を温めてくれる。

 黒パンをちぎり、スープにつけて食べると、程よく柔らかくなり、食べやすくなった。


「お前さん、相当飢えてたんじゃな。」


 村長が目を細める。


「ええ……本当に助かりました。」


 食事を終え、ようやく人心地ついた俺は、改めて村長と向き合う。


「さて、話を聞かせてもらおうかの。」


 村長の言葉に、俺は心の中で息をのんだ。


 ——さて、どうする?


 この村に受け入れられるために、どこまで話すべきか。

 転生者であることは、さすがに怪しまれるだろう。


「俺は……ちょっと旅の途中で道に迷ってしまって……。」


 とりあえず、話を"適当にごまかす"ことにした。

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