最強ご先祖様がチー牛俺に乗り移ったらヤンキーから崇拝されだしたんだが
秋冬
第1話 精霊馬に乗って現れたのは…
今日もベッドで目覚めた瞬間に、理由もなくがっかりする。
昔は、小学6年生ぐらいまでは、こんなに無気力じゃなかった気がする。
俺は地井潮(うしお)、高校1年生。いわゆる陰キャで、俗に言うチー牛だ。
チー牛って何か知ってる?
ヒョロヒョロした体格に覇気のない顔、さらにダサい眼鏡かけて、髪型も安い床屋で適当にカットしたような見た目をした男のことだ。
そんな外見の男が、某牛丼チェーンでチーズ牛丼なるメニューを注文する…という内容のイラストがネット上で拡散されて、いつの間にか俺らみたいな男の蔑称として定着していた。
嫌な世の中になったものだと思う。
俺は真面目に生きているだけなのに、なぜこんなに毎日息苦しくて不安にならないといけないのだろう。
なぜ焦燥感に駆られながら、自己嫌悪に打ちひしがれながら、貴重な青春時代を過ごさないといけないんだろう?
どう生きるべきか明確な指針もないまま、時代の荒波に翻弄されて、気づいたらチー牛と呼ばれていた。
どこで道を間違えたんだ?
引き返そうと思って後ろを振り返ってみたが、来たはずの道は無くなっていたんだ。
ふざけるな!
……そんな感じで、俺は悶々とした高校生活を送っていた。
お盆までは。
いつもと同じように、代わり映えのしないつまらない夏休みを過ごすことになると思っていたのに。
いつもと同じようにばあちゃんの家に泊まり、「面倒くさい」と思いながら何気なく仏壇に飾ったきゅうりの精霊馬が、とんでもないものを連れてきやがった。
何かって?
ご先祖様。
しかも武士と軍人のコンビだよ!
最強ご先祖様がチー牛俺に乗り移ったらヤンキーから崇拝されだしたんだが 秋冬 @haruakifuyu
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