飛べばSF、伏せればメカミリ、走る姿はラブコメディ。

すでに完結している作品であり、ロボット物、ボーイミーツガール物のラノベとしては平成の金字塔。
とにかく作品全体の熱量が半端ではなく、オマージュにしてもギャグにしてもシリアスにしても『読者の心を動かすという事はこういう事だ!』というのを、最初から最後まで、これでもか!これでもか!!こ・れ・で・も・か・っ!!と叩きつけてくる。実にソウルフルな作品。

犯罪組織に狙われるスーパー女子高生と、彼女を秘密裏に守るへの字ムッツリエージェント、という組み合わせから巻き起こされる地雷原の上でのタップダンスじみた秀逸なドタバタで笑い
平和な日常があっさりと覆され壊れそうになりながら逃避行するという、手に汗握るハードでガチな非日常の線上を行ったり来たりするドキドキハラハラに揺さぶられ
そして次第に明らかになる大きな謎に思わず考察させられる……読み出せばすぐ続きが読みたくなること間違いなし。

全体的にはミリタリー要素が濃く、かなりリアルな戦場描写・血なまぐさい要素やどデカい鬱要素もバカスカ出てくるので、今の御時世にはちょっと苦手な人もいるかもしれない……
でもそれをさし置いても、ロボット物や近未来物が好きな人、バディ物なんかが好きな人は絶対読んでほしい。
完全自立AIでありソースケの良き相棒となるアルの存在、そして次第に信頼し合い惹かれあっていくかなめとソースケの二人の“戦友”としての関係がとにかくエモすぎる。
その辺の設定だけでも目から鱗が落ちるほど練り込まれたものがあるし、読めば読むほどきっと好きになるので、是非。

京アニ版のアニメが割と有名だけど、そちらも小説版を読んでおけばより楽しめる。個人的にはふもっふのほうもオススメ。