第4話
本当に嵐みたいな奴だったな。他の奴は知らないけど女神ってあんなに騒がしい奴ばっかなのか?そんな訳ないか、だとしたら3日で世界が終わってしまうな。
だけど、今のところ上手くいってる事を知れたのは大きい。ちゃんと新色の早乙女への好感度は上がっていたのは俺を安心させるのには充分すぎる。
原作からちょっとズレても修正が出来れば上手くいく事が知れた。だが、原作通りにいけるところはいったほうが確実だからこれからも作戦は変わらず原作通りに進める事にする。
原作という軸があるからこっちは行動がしやすくて助かる。これが無かったらアドリブの連続でいつか俺が壊れちゃうかもしれない。俺って今時の子だから言われた事しか出来ない人間だからな。だけど言われた事はちゃんとやってくれる良い子っておばあちゃんは褒めてくれたから別に気にしてない。
そんな事は置いておいて、オリエンテーション合宿に行く事になったけど合宿に必要な持ち物が無い。だから買い物に行かなくちゃいけない。つまり転生してからの初めてのおつかいってやつだ。無事に帰ってこれるのに頑張りまーす。
普通の陽キャだったら友達と行くんだろうけど俺はもちろん1人で行かせてもらう。クラスの奴らと行ってしまうと気を遣いまくるから心が休まらない。1人の最大のメリットは自分勝手に行動する事が出来ることだ。行きたい所を相手の要望も聞かなくちゃいけないのはしんどい。
買い物が終わったら映画観て、本屋行って、ゲーセン行って、中古ショップに行こうと決めてる。買い物なんておまけで後のやつが本番だと俺思ってる。買い物なんかチャチャっと終わらせて時間を作ってエンジョイする。
ついでにここら辺に何があるかとか調べとかないとな。歯医者とか自転車屋とか郵便局とか銀行とかいつか行く所はちゃんと抑えとかないと。
じゃあレッツゴー!
デケー。ショッピングモールってこんなにデカいものなのか?転生前はずっとネットで買ってたから家を出て何か物を買うなんか久しぶりだ。ワクワクしちゃうな、迷子になったらどうしよう!これは一通り巡るしかないな。急に予定が変わっても迷惑掛けないのが1人の良いところだ。
いやー、頼むから今日は誰にも会わずにのんびり出来たら嬉しいなぁ。
合宿に持って行くものはある程度しおりにまとめてくれてるからそれを買えば良いけど、しおりに書いてるのは絶対いる物で、プラスで自分に必要な物を買う。
歯ブラシセットはいるよな?今家で使ってるやつを持って行くのは違うもんな、じゃあ買うか。タオルも買って、パンツも買って、と。
虫除けスプレーも絶対にいるな。虫は別に苦手じゃないけど、足がいっぱいある虫は見るのもキツい。昔はめちゃくちゃ虫を触ってたけど、大人につれて無理になってきた。
関係ないけど俺はカブトムシ派よりもクワガタ派だ。ちっちゃい頃はカブトムシがカッコよかったけど歳をとって急にクワガタ派になった。全然触りたいとは思わないけど。
合宿のイベントで怪我する可能性があるから絆創膏とか消毒液も買っておこう。
「あれ、水野?」
ゲッ。
背中の方から声が聞こえたはずなのに瞬間で誰の声なんかすぐに分かった。ここじゃなかったら絶対に嬉しいはずなのに今は気づいてほしくなかった。
「ワオ!サラサちゃんじゃーん!」
すぐに俺の中にあるスイッチを入れてギアも入れて新色に対応する。危なかった、もうちょっと近くに新色がいたらスイッチを入れるカチッっていう音が聞こえてたかも。
も〜今日は絶対に誰にも会いたくなかったのに〜。でも、新色の私服めっちゃ可愛い。嬉しいけど嬉しくないこの感情が何なのか誰か教えてほしい。
ていうか、買い物来てたまたまヒロインに会うのって主人公である早乙女の役目じゃないのか?どうして親友ポジの俺がたまたまヒロインと会うんだよ。
「こんな所でどうしたの?あ、もしかして俺に会いに来たとか?」
「たまたまいたから話しかけただけだから」
「え〜本当に〜?じゃあこれって運命ってやつだね」
「それは…ちょっと大袈裟」
え、それは怒ってるの?照れてるの?キザなセリフ過ぎて新色が照れちゃった感じ?普通は俺が照れなきゃおかしいのに。
それにしてもちょっとしか大袈裟じゃないのかよ、だいぶ大袈裟に言ったつもりだったのに。
「で、サラサちゃんは何してるの?」
「私はオリエンテーション合宿で必要な物を買いに来ただけ」
俺と同じか。
「俺と同じじゃん!やっぱりこれは運命だよ!見えない何かで結ばれてるよ、きっと」
「そう…、なのかな?」
そんな訳ねぇだろ!オリエンテーション合宿が近いんだから買い物でバッタリ会う事くらいあるだろ!あと、運命は早乙女と感じてくれ。もしかして俺と早乙女を勘違いしてるのか?
これがあるから原作外は怖い。
だけど、新色の早乙女への好感度は確認してるから安心安全だ。新色はちゃんと早乙女の事が好きだ。
じゃあ俺が今やるべき事は私服の新色を堪能する事である。新色の私服って可愛いよりかはかっこいいよりだから、このギャップにやられてしまう。
新色の私服がスカートじゃないの解釈一致じゃない、みたいな声もあったけどテメェの解釈を新色に押し付けるなよ。ってずっと思ってた。
「サラサちゃんの私服可愛いねぇ。どうしたの?この後デートでもするの?」
両手の人差し指と親指で四角形を作って、カメラのようにして覗き込む。おまけに「ピュー」と口笛も鳴らす。
ちょっと待って。こいつキモ過ぎじゃね?俺が思う水野祥太がキモ過ぎる。演じるにしてもキモ過ぎる。
「別にいつもこんな感じだから」
俺に褒められた新色はモジモジしながら自分の服を触る。これは喜んでるのか?こんなので喜ぶって事は早乙女がちゃんと褒めたらイチコロだな。これは俺がアシストして早乙女に褒めさせないとな。俺が言わないと早乙女は褒めないからな、それくらい鈍感主人公だから早乙女は。
言っておくと、別に原作の水野はヒロインの事が好きというわけではない。女の子だったら誰でも褒めるチャラい奴だ。
「オリエンテーション合宿楽しみだね」
「うん」
「同じ班だね」
「うん」
「良い天気になると良いね」
「うん」
「合宿でみんなと仲良くなりたいね」
「うん」
いや、早く「じゃあ私はこれで」みたいな感じで俺から離れていくのが普通だろ。これって俺から切り出さないとダメなの?そんな事したら新色のプライドが傷ついてしまうかもしれないから新色から切り出してくれ!
「サラサちゃんもここのお店に用がある感じ?」
ここには無いって言ったらすぐに「じゃあ俺とはここでお別れだね」と自然に解散できる。俺にしては綺麗なパスを新色に出す。
「うん。私もここに来たの」
「あ、そうなんだ残念。俺もう買い物終わっちゃったんだよね」
甘かったな!二の矢は用意しとくもんだぜ!これで自然にフェードアウトする事が出来るぜ。
「俺は別の所に用があるからここでお別れだね」
勘違いしてほしく無いのは俺は新色と一緒居たくない訳じゃない。新色が俺と一緒にいたい訳が無いから俺から切り出してあげてるだけだ。
ほら、キョロキョロモジモジして早く帰りたそうにしてる。
「私も行く」
「はい?」
聞こえなかった訳じゃ無い、ただ新色の言ってる事が理解出来なかったからもう一度聞き返した。
頼むからさっき言った事が俺の聞き間違いである事を願いながら新色の言葉を待った。
「だから!私も一緒に行くって言ったの!」
…マジか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます