プロローグ(久田遥)
完全にやっちゃいましたよ。もう風邪が酷くて酷くて、立ってられない程だったよ。身体が若いからかもしれないけどもう熱はなくなってたけど。
やっぱり1人だと不安になるもんだな、ずっとネガティブな事考えて、ずっと泣いてた。
だけど、クラスの奴らからめちゃくちゃ連絡もらったおかげで凄く元気をもらった。こんなただの文字でしかない物に元気がもらえるなんて転生前は思ってもみなかった。今日学校行ったらちゃんとお礼言お。
あと、早乙女が家に来て看病してくれた。普段は俺に優しい言葉なんかかけないくせに看病してくれてる時は優しくされて危うく惚れそうになった。ヒロインの気持ちがちょっとだけ分かった気がした。あれはモテるよ。それに、アイツお粥も作り置きしてくれたんだよ。味はそこまでだったけど…。気持ちが嬉しいのよ、気持ちが。
もう大丈夫だけど、まだちょっとだけ身体の怠さが残ってる。だが、今日は絶対に学校に行かなくてはならない。なぜなら今日、また原作が進むからだ。
新色が終わったから今日からは久田ちゃんのお話が始まる。久田ちゃんはとても口が悪いから一見ね、怖い女の子なのかなって思うかもしれないけど、怖いけど可愛いのよ。怖かわ。
ツンデレにしてはツンが強くて人を選ぶヒロインとして人気(?)である。俺は1番ビジュアルが好きなヒロインが何を隠そう久田ちゃんである。
俺は何よりもショートカットが好きで、久田ちゃんもショートカットだからゲームのパッケージで一目惚れした記憶がある。あと、強そうって理由でピアスしてるのがより可愛い。
原作の所だったら普通に話せるけど、原作じゃない所だったら普通に話せるか分からないくらい好き。
いや、全然全員好きなんだけどね、ビジュアルは久田ちゃんが好きなだけでちゃんと全員平等に愛してますよ。
そしてこの前は無事に新色の好感度を上げる事に成功した。それと同時にもう新色は俺との恋愛には発展しない事が確定した。期待してないって言ったら嘘になる。
最近流行りのギャルゲーやエロゲーに主人公じゃない友人ポジやただのモブや竿役とかに転生してヒロインに好かれちゃうやつになっちゃったりして!とか思ってた時もありました。
だけどこれでまた一歩ヒロイン全員の好感度が80%以上が近づいた。と、思う。
だって分からないんだもん!女神の奴が気まぐれでしか見せてくれないって言うからよぉ、こっちはハードモードで頑張る事になってんだよ!どうせずっと暇なくせに。
まぁでも、原作通り進めてたら自然と80%以上になるだろ。
ということで今日も原作通り進めれるように頑張りますか。
***
久田ちゃんは口と態度が悪いせいで一部の女の子から目をつけられて、いじめに遭ってしまう。そのいじめから主人公である早乙女が救うのが今回の原作である。
別に久田ちゃんは怖いだけであって強い訳じゃないから、喧嘩をしたら普通に負けてしまう。まぁそこが可愛かったりする。
で、本当はまだしんどかったから休みたかったけど今日イベントが発生する。だから体に鞭を打って今日は頑張って学校へ登校する。
さてさて、学校に着きましたよ。イベントは校舎裏で発生するから先に隠れてイベントを見守ろ。またイレギュラーが発生するかもしれないからな。
うわー!ここも見たことある!って初見でテンション上げたかったけど、キーホルダー探しでもうあの感動を味わうことは出来なかった。
バレたら大変な事になるから身を隠しつつあっちの様子が分かる場所を探す。良い所があったからそこでイベントを眺める事にした。
…来た。
久田ちゃんとギャルっぽい女の子3人組がやって来た。一見すると仲間に見えるけど、この3人組が久田ちゃんをいじめている。
「何で呼ばれたか分かってる?」
今喋ったのが3人組のリーダーの
「あ?分かる訳ねぇだろ。頭悪いのか」
こわ可愛い。流石は久田ちゃん、めちゃくちゃ怖いけどめちゃくちゃ可愛い。俺は心の中で叫んでるのに聞こえてるんじゃないかってちょっと不安になる。
「お前さぁ、何調子乗ってんの?あんた今の状況分かってんの?」
「ゴミが私に捨てられに来たんでしょ?」
近くにゴミ捨て場があるから3人組をゴミと例えるところに俺は感心してしまう。3対1の不利な場面でも強気なところに俺はキュンキュンしちゃう。
「チッ。もうそんな生意気な口が聞けないようにしてやるよ」
「おい、近づくなよ。お前らクセェんだよ」
他のモブ2人が久田ちゃんを押さえつけようとジリジリと近づく。
ヤバイ!このままだったら久田ちゃんが危ない!…と思うだろ?安心してください。
「おい!何やってんだ!」
ここで主人公の登場です。
やっぱりヒロインのピンチに助けにやってくるのが主人公だよな。そら、惚れちゃいますよ、だってこんなかっこいいんだもん。ついでに顔もかっこいいもん。
ここで登場しない事があるかもしれないから一応確認させてもらった。これまでの事で普通にやってても原作通り進まないのが分かったから。
ちなみにキーホルダー探しが遅れてこの日まで延びてたら絶対に原作通りに進まなかったと思う。だって、イベントが重複するから訳わからない事になってると思う。
「チッ、早乙女かよ。…今回は見逃してやる」
3人組は大事にはしたくないから今回は静かに帰って行った。早乙女は目立つ存在だからこの事に巻き込んだら大勢が早乙女の味方になるのを分かっての行動だ。
「おい!待てや!」
帰っていく3人組に久田ちゃんは呼び止めたけど3人組は聞く耳を持たずに去って行った。ここで戻って来ても久田ちゃんはボコボコにされるだけだから呼び止めない方が良いのに。
まぁその負けず嫌いな所が可愛いんだけどね。
「大丈夫だった?」
早乙女は久田ちゃんに駆け寄る。
「余計な事すんなよ!誰が助けろって言った」
心配してくれた早乙女に強がる。もーそんなにツンツンしちゃってぇ、いつかそのツンツンしたのも取れるんだから。
「でも、やられそうだったじゃん」
「お前が来なかったら私がやってたんだよ」
明らかな強がりかわえぇ。喧嘩なんかした事ないのにその発言は無理があるよ。
「次邪魔したら殺すからな」
「お前さぁ」
俺が来なかったら絶対に負けてたくせに、次も邪魔するなは無いだろ、が含まれた「お前さぁ」が思わず漏れてしまってる。
「もう顔見せんなよ」
「同じクラスなのにか?」
そう、俺たちは久田ちゃんと同じクラスなのである。原作前に久田ちゃんと関わっちゃいけないから見るのも我慢してた。
あれは辛かったな、1人でポツンと座ってる久田ちゃんを見るのを我慢するのは。ずっと頬杖ついて暇そうに座ってる久田ちゃんに何度も話しかけようとしたけど、そこは下唇を噛み締めて寸前のところで耐えた。
「うっせぇ」
久田ちゃんは自分のカバンを持ち、教室に向かって行った。
「何だあいつ」
その場に1人残った早乙女は小さくそう呟いた。
ここで久田ちゃんのターンが始まる。つまりちゃんと原作通りに進んでる事が確認できて安心できた。
だから早くこの場からとっか行ってくれ、もう隠れてるのキツくなってきたから。
早乙女が教室に行ったのを確認して、俺は隠れるのをやめた。同じ体勢でずっと保つのは身体がしんどい。ただでさえ風邪明けでしんどいっていうのに。
さぁ俺も教室に向かうとしますか。
「いたた」
用務員のおじちゃんが大きなゴミ袋を持って腰を痛そうにしてた。
申し訳ないけど俺は早く教室に行って早乙女にデレる新色を拝むんだ〜。デレるヒロインが最も可愛い瞬間と言ってもいい。それを見逃すなんて俺には出来ない。
という事なのでじゃあねぇ〜。
「日頃の行いよ」
そう話しかけられた気がした。
おばあちゃんは日頃の行いをとても大切にする人だった。
「日頃の行いが良いと必ず果報に結びつくからね」
「かほう?」
「良い事したら良い事が自分に返ってくるってこと」
「じゃあ、おれいっぱいいいことする!」
「うん。ヒロちゃんは偉いねぇ」
「えへへ」
昔おばあちゃんとやったやり取りを思い出した。
おばあちゃんは他人のために頑張れる優しい人だった。そんなおばあちゃんが俺は大好きだった。優し過ぎて借り物競走でトースターを貸しちゃうくらい良い人だった。
転生前は日頃の行いなんか気にもした事無かった。けど、今の俺には出来るチャンスがある。
「おじちゃ〜ん大丈夫?手伝うよ〜」
見ててよおばあちゃん。誇れる孫になって会いに行くから。
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