第4話
「…あんたが探している人ってそんなに素敵な人だったの?」
「あ?」
鼻で笑ったコイツの頭の中を今占めているのが行方不明の女っていうのは気に入らないけど、もし私がその人に似ていなかったらきっとコイツと関わることもなかった。そう考えれば悔しいけど感謝で一杯になる。
月明かりがコイツが纏う黒の後ろで光るからいつもより色濃く見えるような気がする。もう日にちも変わろうとしていた。
ただ過ぎていく年に月に日に時間に何も見出せなかった私に唯一楽しみを与えてくれたコイツとの時間を少しでも引き伸ばしたいと馬鹿みたいに思う。
「教えてよ、あんたが探してる人のこと」
「…もう教えただろ」
「もっとだよ!」
その人の代わりになるつもりはないけど、人間として色々と欠けているコイツの心を占める人のことを単純に知りたいと思う。
そして、もっとムカつくコイツとの時間を共有したい。
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