『君が好きな君が好き』

ソコニ

第1話片想いの先に

片想いの先に


「好きな人のことを好きになってしまった人の気持ちなんて、誰にもわからないよ」


そう呟いた瞬間、私の目から涙が零れ落ちた。


高校二年の春、私は同じクラスの佐藤君に恋をした。彼の優しい笑顔と、誰に対しても公平な態度に心を奪われた。でも、佐藤君の視線はいつも、隣のクラスの吉田さんに向けられていた。


文化祭の準備で放課後に残っていた時、偶然二人の会話を耳にしてしまった。


「吉田さん、僕のことどう思う?」


心臓が止まるかと思った。私は本能的に柱の陰に隠れた。


「ごめんね、佐藤君。私には好きな人がいるの」


その言葉を聞いて、私の中で何かが変わった。吉田さんの言葉に、どこか自分を重ねていた。私たち三人は、誰も想いが叶わない三角関係の中にいた。


それからというもの、吉田さんのことが気になって仕方なくなった。彼女の一挙一動に目が離せなくなり、佐藤君と同じように、私も吉田さんを見つめるようになっていた。


彼女の凛とした佇まい、周りの人を自然と笑顔にする明るさ。すべてが輝いて見えた。気づけば私は、佐藤君が好きな吉田さんのことを、好きになってしまっていた。


ある雨の日の帰り道。私は吉田さんに声をかけられた。


「いつも見てくれてありがとう」


突然の言葉に、私は動けなくなった。


「私、気づいてたんだ。あなたの気持ち」


「私は…」言葉に詰まる。


「好きな人のことを好きになるのは、その人の良さを一番わかってるからだと思う」


吉田さんは優しく微笑んだ。


「でも、私にも叶わない恋があるの。だから、あなたの気持ちがよくわかる」


二人で肩を寄せ合いながら帰った放課後。私たちは互いの想いを理解し合える、特別な関係になった。


この恋は叶わないかもしれない。でも、好きになれてよかった。佐藤君のこと、そして吉田さんのこと。この想いは、きっと私を強くしてくれる。


卒業式の日。三人それぞれが新しい道を選んだ。私は吉田さんに手紙を渡した。


『あなたのことを好きになれて、本当によかった』


それは、決して後悔のない青春の1ページになった。

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『君が好きな君が好き』 ソコニ @mi33x

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