私の彼は妖狐さま

涼宮 真代

EPISODE 0 再会

今日も平和な日常が訪れる…。


蓮〜凛〜、そろそろ起きるですよ〜!

今日は転入手続きの日ですから

さっさと起きてご飯食べちゃうです!


「は〜い…。」


タマゴは目玉焼き焼きで良いです?


「うん。オレは…2つね。」


はい、わかってるですよ。

蓮、凛は起きた?


「さぁ…。」


さぁ…って…。

ぎゃあああ…!


ガタン!ドタン!

グシャッ…。


「どうしたの母さん!」


タマゴが割れたです…。


「え…グシャッって握り潰したんじゃ?」


そ、そうとも言うです…。


「というかタマゴ焼くだけで何で散らかるの?」


う、うるさいです…!


「おはよ〜…朝から賑やかだね〜。」


凛、おはよです。

ん?凛…ちゃんと眠れてるです?


「う、うん…。」


(凛…大丈夫か?)

(うん…大丈夫だよお兄ちゃん…。)


あれ?

そう言えば…お父さんは?


「昨日、朝早く仕事の打合わせで出かけるって言ってたよ?」


え…?

おかあさん聞いてないですよ?


「手続きには間に合うから先に行けって。」


そうなんです?


「そう言えば電話の声…女の人だった…。」

「バカ!凛余計な…こと…。」


なんです?

バキバキ…。

女の人からの呼び出しです?


「お母さん…落ち着いて…。」

「笑顔で怖いから!!」


そう言われれば颯真の様子おかしかった気もするですね…。

ちょっと母さんも出かけるです!


「出かけるって…どこへ?」

「手続きは?」


すぐ戻るです!

颯真の気配辿れば行き先はわかるですから!

学校はわかるですよね?


「うん、昨日お兄ちゃんと見てきたから。」

「まあ、気をつけて。」

          ・

          ・

          ・

その頃、颯真は呼出された屋敷の前にいた。

颯真は妖力こそ殆どないが探知能力を活かした悪霊退治を生業としていたが

まともな依頼など殆どなかった。


「でかいな…さすが名家の九條家か…。」

「これなら少し期待できるか…。」

「イヤな気配もある…な…。」


その時勝手口が開いた。

キィ…。


狐塚さまですか?

「はい…。」

お待ちしておりました。

中へどうぞ…。

「ありがとう。」


(中も広いな…。)


そして客間に通された。

こちらでお待ちください…。


「立派なもんだな…。」


「ありがとうございます。」


「え…?」

「颯真さま…お久しぶりでございます。」


声を掛けられ振り向いた颯真は驚いた。

そこには…。


「な…静流さん…なのか?」

「はい、静流でございます。」

「ど、どういう事なんだ?」


静流は今までの経緯を颯真に説明した。


「つまり…転生した…?」

「はい、夜白様やあなたの優しさに触れ魂が浄化されたのでしょう…。」


「いや…だけど何故記憶が…?」

「それは…私にもわかりません…。」


「そうか…また会えて嬉しいよ…。」

「はい、私もです颯真さま…。」


ばっ…!


静流さんが抱きついてきた…。

今まで辛かったのだろうな…オレは…小さな身体を抱きしめていた…。


「ぐす…温かい…人の体温を感じられる…。」


ちょっとあなたは…!

どこから入ったのですか!!


うるさいです!

私は…お客様です!


「この気配は!?」

「いや、気配というかあの声は…。」

「相変わらずなのですね泉水は…。」

「少しお待ちください。」


なんです騒がしい!!

お客様が見えているのですよ!?


「はい、お嬢様申し訳ありません。」

「ですがこの者が…。」

「この方は大切な友人です!」

「下がりなさい!!」

「は、はい…!」


「まったく失礼なやつです!」

「クスッ…失礼なのはあなたでは?」


目の前に現れた少女を見て泉水は涙した…。


「そんな…夢じゃないですよね?」

ニコッ…。

「お久しぶりです泉水。」

「うっうう…し、静流ぅ〜〜。」



だが祓い屋として名のある

九條家のお嬢様か…。


「名のある…ですか…。」

「それは過去の話しですよ。」


今は…衰退する一方ですよ。

ここ何代も妖怪の見えない頭首でしたから

私がまたこの九條家に産まれるまで…。


「また?」


はい…またです。

過去の私は…この屋敷で産まれ育ちました。

15歳で頭首に殺されるまで…。

九條家の家系図からは名前は消されていましたね…存在していた…ことさえ無かったことに。


「そんな…ひどいです…。」

「ツラく悲しい記憶までそのままなんて…。」


あの日、風磨に敗れた私は…何の因果か

九條家の三女として産まれました。

昔の記憶があったおかげでツライ修行もなく

全ての術を会得し…。

九條家始まって以来の天才だそうです。


そう言った静流さんの笑顔は

どこか寂しそうだった。


「オレを…呼んだのは何故だ?」

「小者の妖怪が噂をしていたのを聞いて…。」




おい、聞いたか?

キツネ塚の妖狐がこの町にいるらしい…。

なんだって!?


「その話し…詳しく聞かせください。」


なっ…はい。


「もしやと思い探しました。」

「どうしても…颯真さまにお会いしたくて…。」


「静流さん…。」


「んっんんっ!」


「人の旦那を口説くなです!!」

「そうですね。」


「静流さんは今はなにを?」

「楽しく中学3年生をしていますよ?」


「は!?」


「星河学園中等部3年生です。」

「そうか…星河…。」

「なんか聞いたことあるですね?」


「あ!!転入手続きです!!」

「静流また来るですよ!」

「静流さんまたな!」

「はい…。」

         ・

         ・

         ・

蓮と凛は校門の前で泉水が来るのを待っていた。


「お母さん遅いね…。」

「何やってんだか。」

「てか、校門閉まってんだけど?」


あら、あなた達なにしてるの?

転入生?


「あ、はい…。」


今日は日曜日よ?

誰も居ないと思うけど?


「そうだ…日曜日だよ…。」

「あはは…。」


きみ…面白い気配だね?

「!!?」

(凛…オレの後ろに…。)

(う、うん…。)


そう身構えないでよ…。

私は…仲良くしたいのにな〜。


「……。」


私は…ここの2年生…姫野美姫。

仲良くしようね!

またね!




はてさて無事に転入手続きができるのでしょうか?

怪しげな少女の出現に身構えた蓮…。

人では無いと感じたようです。





EPISODE1につづく…。







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