第17話
「正直なところ、クラスの連中は俺に媚びてきたり、顔色を伺う奴らばかりでな。ここで矢上たちと気兼ねなくバカ話できるのは、新鮮で楽しいんだ」
「カースト上位ならではの悩みも
トリマキーズ達は池田に付いていこうにも特進に落ちたり、俺たちと同レベルの偏差値を良しとしなかったりで進学先は割れ、ほぼ解散状態になったらしい。あの事件で神宮寺に愛想を尽かした一部の女子も、受験は既に終わっていたため泣く泣くオゼウサマ学園に進学したとか。
「それはいいが、ある程度の線は引かせてもらうぞ?お前がいることでやっかみを受けたり、引き立て役にされるなんざ
「平蔵君、またそんなこと言って……」
こればかりは理屈じゃないんだよな。リア充と仲の良い陰キャなんて攻撃対象になりかねないし、池田との繋がりを欲しがる女子に絡まれて、渡りをつけるのが上手く行かなきゃ、恨まれるのも俺たちだ。
「そう卑屈になるなよ。非モテ同盟だったか?敷島は中身はアレだが素材は良いし、真壁も
「ぐぬぬ……されど、二次元はそれがしを裏切ったりは……」
「そ、そうかな?女の子と話すことなんて、ほとんどないからよくわかんないや」
その通りだ。太一はBSS(僕が先に好きだったのに)のせいで恋愛に臆病になってしまっただけだし、竜堂も怖がらずに話してみれば、すごくいい奴だってわかる。池田って、思ったよりちゃんと見てるんだな。
「敷島も真壁も周りへの気遣いとか自然に出来るタイプだし、話してて楽しい。足りないのは自信と経験だ」
「それがしの……自信……」
「話しかけたら女の子が怯えてしまうんじゃ、って気持ちが先に来ちゃってるのは自分でもわかってるんだけど……」
「俺が近くにいれば機会は増える。チャンスだと思ってどんどん俺を利用しろ」
おお、なんという陽キャパワー。さすがリア充の言葉は説得力に満ちている。
「矢上は……まあなんだ、その……頑張れよ」
よし、やはりコイツはヤな奴だ。心の中ではずっとイケメン太郎って呼んでやる。
「大丈夫でござるよ。平蔵殿は我等の中で、真っ先にバレンタインチョコを貰えたモテ男。良き出会いはきっとあるでござる」
「うん、平蔵君の優しさに気付いてくれる人は、必ず見つかると思うよ」
「ありがとう、我が心の友よ……」
俺の手に、そっと二人の手が重なる。大丈夫だ、例えモテなくても、俺には固い絆で結ばれた最高の友人がいるんだ。
「お前らの三文芝居、やっぱ面白れーわ」
黙れ、イケメン太郎。
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