第21話
「僕の6人の恋人」21
喪「それからは病院に通いながら学校に行く形になった…」
喪「専門医の人が言うには多重人格症に効く薬は存在しないらしい…」
喪「代わりに精神安定剤…"レキサルティ"を服薬するように言われた…」
喪「ゆいの学年が変わって…いじめはなくなったけど…もうゆいは普通の人とは相容れない存在になっていた…」
喪「クラスメイトが言った…ゆいはときどき暴力的になるから近づかない方がいいと…」
喪「クラスメイトが言った…ゆいは急にキャラが変わるから不気味だと…」
喪「気づいたら…もうゆいに居場所はなくなっていた…」
喪「ゆいはなぜ自分が忌み嫌われているのか理解できないまま…さらに解離した…」
喪「4番目の人格"アキラ"が生まれた…」
喪「アキラもまた社会の理不尽さに苛立ちを見せていたけど…カーリーと違って冷静だった…」
喪「自分がどういう状況か…どうするべきか…じっくり考えてから行動する…それがアキラという人格だった…」
喪「アキラのおかげでクラスメイトと少しずつ距離を縮めることができた…」
喪「クラスの中に溶け込めるようになったゆいには友達もできた…」
喪「それから何年も月日が経って…気づいたらゆいは君という彼氏を作り…人格たちにも絆が生まれた…」
喪「これで過去の話は終わり…」
喪「聞いてくれてありが…」
喪がその言葉を言いかけた瞬間…僕は喪を抱きしめた。
僕「よく頑張ったな…もう大丈夫だ…きっと僕には君の心の傷は癒せない…だけど…それでも寄り添うことはできる…」
喪「?」
僕には何がなんだかわからない…
抱きしめられてる…?
どうしてだろう…
両親にもされたことないはずなのに…
どこか…懐かしいような…
喪「!!」
そうだ…思い出した…
僕のことを助けてくれた人がいる…!
〜過去〜
???「や〜い!ゆいの泣き虫〜!」
喪「返してよ…僕の筆箱…」
???「おい聞いたか〜?こいつ女なのに自分のこと僕って言ってやんの〜!キッショ〜!」
○○「こら〜何やってんだ〜!」
???「!」
○○「それはゆいの筆箱だろ!早く返せ〜!」
???「やっべ!○○が来たぞ〜!逃げろ〜!」
○○「逃がすか〜!!」
〜数分後〜
○○「ほら、これゆいのでしょ?取り返してきたよ!」
喪「あ…ありがとう…」
○○「・・・」
喪「・・・」
○○「元気出して!またゆいがいじめられたら僕がやり返すからさ!」
喪「あ…うん…」
○○「・・・」
喪「・・・」
○○「ほら、これで元気出して!」
その瞬間…僕は強く抱きしめられた…
僕は唐突な出来事に立ち尽くしてしまった…
喪「・・・」
○○「これで元気出た?」
喪「う…うん…ありがとう…」
○○「そっか!じゃあ僕はもう行くから!」
喪「ま…待って…」
○○「?」
喪「名前…君の名前…」
○○「僕の名前?"秋斗"だよ!」
〜現在〜
そうか…君だったんだね…
僕がいじめられていたとき…
僕を救い出してくれたのは…
つづく…
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