異世界転生:英雄でも魔王でもなく犯罪者として

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第1話

プロローグ – 終わらない闇


俺の名前は琴春レン。

東京都内のとある県立高校に通う普通の高校生だ。特に目立つこともない。裕福でもないし、スポーツが得意でもない。勉強だってそこそこ、特別な才能なんて何も持っていない。


そんな俺は、この学校でただの「ゴミ」だった。



---


「喰らえ、このクズが!」


鋭い蹴りが俺の腹に突き刺さる。


「ぐっ…!」


息が詰まり、体が後方へ吹き飛ぶ。コンクリートの地面に背中を打ちつけ、鈍い痛みが全身を走る。


「はははっ!お前、ほんとに雑魚だな!」


「こいつ、また何も言わずに転がってるぜ!もっとやってやろうぜ!」


「これでも喰らえ!」


拳が、足が、次々と俺の体に叩き込まれる。顔面に拳がめり込み、視界が一瞬ぼやける。次の瞬間には蹴りが脇腹に突き刺さり、痛みで息が詰まる。


俺はただ、うずくまって耐えることしかできない。


「くそっ…」


俺は地面に転がったまま、拳を握りしめる。悔しさと情けなさが混ざり合い、胸の奥が焼けるように熱い。


「おい、こいつの財布見てみろよ。」


ポケットをまさぐられ、無理やり財布を奪われる。


「は?500円しかねぇじゃん!」


「マジかよ、貧乏すぎだろ。お前、ホームレスかよ?」


笑い声が響く。俺の存在は、こいつらにとってただの笑いのネタでしかない。


悔しい。悔しくてたまらない。


でも、俺は何もできない。ただ殴られ、蹴られ、笑われるだけの人生。



---


翌日。


教室に入ると、妙な空気を感じた。周囲のクラスメイトがニヤニヤしながら俺を見ている。


嫌な予感がした。


「みんな、見てくれよ!最高のネタだぜ!」


クラスメイトの一人がスマホを掲げた。


そこに映っていたのは—


裸の俺の写真。


「うわっ、マジでキモい!」


「はははっ!見ろよ、こいつ何も隠してねぇ!まさかの露出狂?!」


「ありえない、こんな奴と付き合うとか絶対ムリ!」


笑い声が、罵声が、嘲笑が俺を包み込む。


俺の体は震えていた。怒りなのか、悔しさなのか、それとも絶望なのか。


教師を見た。助けを求めるように。


だが—


教師は俺を一瞥し、何事もなかったかのように授業を続ける。


(あぁ、そうか。俺には味方なんていないんだ。)


心が折れた。


もうどうでもいい。


この世界がどうなろうが、俺の人生なんてもう終わってる。


「…復讐してやる。」


このクソみたいな世界を、俺をここまで追い詰めた奴らを、全員地獄に叩き落としてやる。


そう決意した瞬間—



---


「…ッ!?」


突然、眩い光が教室を包み込んだ。


「え、何!?」「なにこれ!?」「まぶしい…!」


クラスメイトたちがパニックになる中、光はどんどん広がっていく。


いや、これは教室だけじゃない—


学校全体が光に包まれている…!


次の瞬間—


世界が消えた。



---


目を覚ますと、俺は見知らぬ場所にいた。


広大な大理石のホール、煌びやかなシャンデリア、金色に輝く柱。まるでファンタジーの世界に出てくる宮殿のようだった。


そして、その奥に—


王冠を被った男が、俺たちを見下ろしていた。


「異世界の勇者たちよ、ようこそ。」

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