第35話 私が町長ンゴ
どみん「ええっ!ンゴが町長!?」
イグルが空から子爵を山に捨てた翌日。
領地を国家から独立するとかそういう話になってあれよあれよと『自由都市ベッコニング』とかそんな名前になり、なぜか領民からンゴを町長に推薦する声が多いと今モツナベさんに聞いた。
なぜ?
モツナベ「君がこの旧ギュウシー領に来てからこの領地はどんどん良い方向へ向かって、ついには独立を果たせました。皆口を揃えてどみん殿を称えているのです。ぜひ町長になっていただけませんか?」
どみん「モツナベさんがやってほしいンゴ!ンゴには無理ンゴよ…それに国家から独立とか大丈夫ンゴ?王都から侵略が来るとかそういう…」
モツナベ「あるでしょうね」
どみん「駄目じゃん!?絶対イヤンゴ!さっさと他の街に…でも孤児院があるンゴ…」
モツナベ「安心してください。オリーブ領を初めとした多くの領地が王都へのクーデターを画策してます。声をかければ協力してくれますよ!」
どみん「だからイヤンゴよ!何言ってるンゴ!争いとか巻き込まないでほしいンゴ!」
モツナベ「あなたはイグルに勝って更に七大災厄ネクロパンサーの主、さらに貴方のスキルがあればお金さえあれば兵糧は尽きることはない。これほど頼もしい存在はいないんですよ〜。まぁお断りしてもいいですよ。せっかく集まってきたここの孤児院の子供たちが王都の騎士達に滅茶苦茶にされても…」
どみん「…ンゴが町長になると何が良いンゴ?」
モツナベ「象徴ですよ!支援スキル持ちでありながら神童イグル・シルフィードを倒し、誰にも従わない七大災厄を従えるのですよ!泊がつく〜」
どみん「なんかノリが最初と違わないンゴ?もっと大人しい人じゃ?」
モツナベ「目の上のたんこぶ(クサレイボ子爵)が居なくなったんです!いやぁ〜快晴の空で日の出を拝むよいうな清々しさです。後はこの国の一部の貴族を一掃できればいいんですがね〜。あいつら本当に蛆のほうがマシですよ〜」
どみん「恨みつらみがあるのは解ったンゴ。でもンゴを巻き込まないでほしいンゴ。ンゴが望んでるのは孤児院で慎ましい子供たちとのスローライフンゴ。小さな少年少女たちとキャッキャウフフしたいだけンゴね〜」
ドイン「いやいやスローライフは無理だろファ◯キンボーイ!お前異世界人だろ?」
どみん「ンゴゴ!?なんで知ってるンゴ!?」
ドイン「格好も語尾のンゴもあの最高のスキルもなにもかもこの世界からは逸脱してんだよ!それにあのローザスとか言うデテドのガキ。あいつと一緒にオリーブに来たこともそれで納得がいく。どうせ禁呪の【勇者召喚】で支援スキルだから外れ、処刑とかだろ?あの頭の悪い
イグル「ま、俺はちょっと違うけどな」
ドイン「だったら町長なり何なりなって堂々と構えとけよ。幸いこの街には今お前の料理のためなら命を賭けるネジがとんだ連中が俺以外にもいっぱいいるぜ?」
どみん「食事のためだけに命を賭けるとか、ちょっと理解できないンゴ。それで納得してるンゴ?」
ドイン「おめぇがいた世界ってのは本当に豊かなんだな。この世界じゃな、女を抱く、寝る、他には飯を喰うぐらいしか楽しみねぇんだ。飯を食うって事はかなりの贅沢なんだよ。それなのにあんなインチキみてぇな脳が溶けるほどの旨さ、オリーブ領にいた冒険者がなりふり構わずこっちに来たのは納得だぜ。お前の料理ってのはな、極上の女抱くより、豪華な金銀宝石より価値があるってことだ。皆そのためなら命張るぜ!」
どみん「価値観がンゴの世界とは違いすぎて引いてるンゴ。正直町長って何やればいいンゴ?」
モツナベ「外交やインフラはギルドや子爵の下で働いていた文官にお任せください。貴方は象徴なので、祭典や行事に挨拶してもらえば他は何していただいても良いです。孤児院で食堂をしていただければと思います」
どみん「はぁ、うーん。でもコミュ障のンゴには祭典の挨拶とかキツインゴ〜」
モツナベ「ならイグル殿にやらせればよいでしょう。コミュ障と言いますが、それほど言い答えに違和感が感じませんが?」
どみん「ンゴ?そう言えば最近、人との交流が多くてきちんと話せるようになったンゴ?ちゃんと成長してるンゴね〜…ん〜、町長…引き受けてみるンゴ?」
モツナベ「左様ですか!?ありがとうございます!みんな喜べ!どみん殿が引き受けてくれたぞ〜」
ギルド職員+文官「「おおおおお〜」」
ドイン「ブラザー、公爵家で影響力のある『リョウゴック』や『オリーブ』には俺から話をとおしてやらぁ。国が変わるぜ!すぐに出立してやる。言い返事を期待しな!」
意気揚々と元クサレイボ子爵の屋敷、現ベッコニングギルドから出ていった。
なんか王国とやる気まんまんじゃん?
モツナベ「早速町長として挨拶をお願いできますか?自由都市『ベッコニング』創設町長として。実はもうこの新ギルドの周りに集まってきてるんですよ〜」
どみん「集まってきてるんですよ〜って初めからンゴを町長に据えるつもりだったンゴ!?腹黒いンゴねッ!」
モツナベ「はい。では屋上へお願いします。これカンペ」
どみん「あ、はい、ンゴ」
あれやあれやと屋上に追いやられ、屋上に出た瞬間武道館のライブ会場かと思うレベルの人達が「「「おおおおおおッ!!」」」と歓声が沸き上がる。
この人達はンゴに何を期待してるの!?
仕方がないので冠水流〈擬態〉で演技する。
この技術は演技のために血糖値をコントロールするのが味噌。
ンゴの地方でも選挙に来る議員をイメージしつつ、脳裏を一時的な洗脳状態にする。
しかし、この技術は本来相手を欺く暗殺のための術理なのにエクストラ領を出たときもだが完全に役者のような使い方でじーちゃんや先代にちょっと申し訳なく感じる。
目を開いて背筋を伸ばし、堂々と側に歩いていく。
突然の変わりようにモツナベさんがびっくり。
どみん「こんにちわ!お日柄もよく快晴を迎えることができました。支援冒険者B級の冠水どみんです。この度は町長を任せていただけることと成りました。まだこの領地はスラムや食料、ゴミの放置などの問題が山積みです。しかし元凶となったクサレイボは皆さんとの協力をもって排除されました。この今だからこそ皆さんの力をお借りしてこの自由都市として生まれ変わった領地を皆さんとともに盛り上げてドコよりも良い土地にしたいと思っています!しかしそのためには皆さんの力が必要です!どうか我々に皆さんの力をお貸しください!!」
モブ領民「いいぞーー!!」
モブ領民「新町長イケメン!!(現在のどみんの髪型はオールバック)」
モブ領民「この領地は今日から変わるぞー!!」
モブ領民達「「「ど・み・ん!!ど・み・ん!!ど・み・ん!!」」」
歓声を背に受けながら下り階段を降りると、足がガタガタと震え始める。
どみん「これでいいンゴ?」
モツナベ「完璧です!貴方は為政者として才能があります。いっそ国王になる気は―――」
どみん「いい加減にするンゴ!これ以上はいくら孤児院があっても逃げるンゴ!」
モツナベ「失礼いたしました。でも貴方の下で働けるのは私の幸福です!いくぞみんな!この自由都市を盛り上げるぞーーー!!」
ギルド職員「「おおーーー!!」」
ンゴが町長…ンゴは中卒中退の小卒なんだけど…。
あぁ、なんか胃が痛い。
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