悪の女幹部に魅了されてしまった少年勇者の話

古沢やゆ

【あらすじ(ネタバレあり)】


無駄に長いのであらすじ作りました。

昔ながらのありふれた設定の剣と魔法の世界での勇者冒険物語です。

でも途中で悪の女幹部が登場したあたりから真面目なショタ勇者が悪いお姉さんに落とされてしまう……。


悪の女幹部に落ちつつ魔王を倒そうとがんばる勇者の話。


各話ごとのざっとしたあらすじを作りました。ネタバレありです。

もし気になる展開があれば、途中からでも読んで頂けると嬉しいです。


ネタバレしたくない方はこのあらすじは飛ばして次話から読んでください。




↓ ↓ ↓ ここからネタバレです。











プロローグ

魔王を倒すためには紋章を持つ勇者の力が必要。

勇者は三人いる。

白の紋章・グランドフォース。

赤の紋章・フレイムフォース。

青の紋章・アクアフォース。

グランドフォースが一番強い力。

エレメキア帝国の皇子がグランドフォースの紋章を持って生まれた。



第1話「幼い旅人」

この物語の主人公・少年レキが登場。

レキはフォース(勇者)と、フォースを導く本を探して旅している。本は全部で七冊あって世界中に散らばっている。レキは元々一冊持ってた。

二冊目を“ユタの村”というところでゲット。

なんか星型の石も貰った。



第2話「王女」

セルフォード王国の王女・リオーネと、その騎士フォンの視点で始まる。

この二人もフォースを探して旅している。

立ち寄ったウェンデルという大きな街でレキに出会う。



第3話「未開の地」

ウェンデルの北は未開の地。もしかしたらそこにフォースに関する情報があるかも?

レキ、リオーネ、フォンはウェンデルで出会った他三人の冒険者と共に、合計六人でパーティーを組んで未開の地を攻略する。

モンスターいっぱい倒す。

最奥の遺跡まで辿り着いた! でも遺跡の宝は空っぽだった。しかもモンスターに囲まれた! やっば。



第4話「別れ」

なんとかモンスター全部倒した。

でも怪我をしたレキが意識を失って倒れた。

ウェンデルまで戻って癒しの魔法でレキ復活。

結局未開の地には何も無かったー。

レキはリオーネとフォンの勧誘を振り切ってまた一人旅に戻る。

リオーネとフォンはウェンデルを統治しているレスト城に向かう。

リオーネ達より一足先に未開の地を攻略していたレスト王から未開の地にあったフォースの本を貰う。



第5話「グランドフォース」

生まれながらに紋章を持っているグランドフォースのエレメキア皇子の視点で始まる。

皇子は強くなるためにビシバシしごかれている。

エレメキアの皇子=レキと判明。この第五話は過去の話。

皇子(レキ)がグランドフォースだとバレてモンスターがめちゃくちゃ攻めてくる。エレメキア帝国崩壊。

レキはフォースの本を託され、忠臣と親友によって逃され生き延びる。



第6話「記憶」

過去の悪夢(第五話)から目覚めたレキ。

リオーネとフォンに自分がグランドフォースだと告げなかったのは二人を危険に巻き込まないため。

でもほんとは一緒に旅したかった。ちょっと寂しい。

そしたらカルサラーハという港町で自分がグランドフォースだと名乗る偽物の男・クローレンと出会った。こいつ浮かれて騒いで宴会しててマジやばいな。

でもなぜか一緒に旅することになった。

レキが本物のグランドフォースだということだけは絶対にバレてはいけない。



第7話「ジルカールの罠」

ジルカールという魔法都市に向かったレキとクローレン。そこには未来を見ることができる魔導師がいるらしい。

ジルカールの街をしばし散策。

魔法を使えないクローレンは、ジルカールの店の一つにあった「誰でも魔法を使えるようになる指輪」に興味津々。

試しにはめてみちゃえ~と指輪をはめたら落とし穴に嵌められた。そしてなぜか牢屋へ。

それは魔王直属の臣下・イズナルの罠だったー。

なんか魔法を使えない人を集めてモンスター化してるヤバイ奴らしい。

でも危ないところを未来を見ることができる魔導師・シーラに助けてもらった。

ホッとしたのも束の間、レキ、クローレン、シーラがいた店が爆破される。



第8話「フォース解放」

イズナルがレキ達のいた店を爆破したがシーラの防御魔法でなんとか無事だった。

イズナルはもう用済みのジルカールの街自体を消すつもりらしい。

それを止めようとレキはイズナルと戦うが、闇の魔法が効きにくいレキをイズナルは怪しむ。

一方、クローレンはイズナルをババァ呼びし過ぎて怒りを買い、モンスター化の術を喰らう。

魔物の心を植え付けられてしまったクローレンとレキとで戦闘になる。

一度魔物化すると二度と元には戻らないらしい。

その事実にショックを受けたレキの闘志が消えるが、危ないところをシーラに助けられる。

レキがグランドフォースの紋章の力を解放。

イズナル激怒「やっぱお前グランドフォースかよ!」



第9話「決戦!魔族イズナル」

グランドフォースは死んだと報告を受けていたはずなのに、くっそ~。

でも今度こそ絶対にここで倒す。

激怒したイズナルは最高峰の闇魔法を発動。

でもレキが一瞬で無効化。なにー!?

レキが光の剣で斬りつけイズナル大ピンチ!

レキを道連れに自爆しようとしたけどクローレンに阻止された! イズナル死亡。

クローレンはフォースの光のおかげで元に戻ったらしい。シーラも癒しの魔法で無事。

よかったよかった。

でも絶対にバレたらダメだったのにクローレンにも街の人にもおもいっきりグランドフォースだってバレた……。

しばらくジルカールに滞在。



第10話「覚悟」

シーラはレキの放つフォースの光を研究して、魔物の心を植え付けられた人を元に戻す方法を探る。

レキの光は結界の中に留めておくことに成功したためレキはいつでも旅立つことができるようになった。

じゃあ明日旅立とうと言ったレキの言葉を受けて、クローレンは最後の夜の宴会をするため酒場へ向かう。クローレンがいなくなったところで彼を置いていくつもりだったレキはすぐに出発する。

本気でクローレン置いてくの? 驚いたシーラが急いでクローレンを呼びに行く。

その間にレキはジルカールを発つ。

追いかけて来たクローレンに結局見つかってしまい、覚悟がどうのこうの言われたレキは心を動かされてクローレンと一緒に旅をすることに決める。

本心ではそれを望んでたレキはめちゃ嬉しー。



第11話「闇の追跡者」

視点が変わってリオーネとフォンサイド。

二人はカルサラーハの港町でグランドフォースの噂を聞きつける。

マジで!?と思って食いついたけど、それは少し前にクローレンが偽物フォース騒ぎを起こした時の話だった。

なんっじゃそりゃ。その偽物男、迷惑すぎる奴だなーとか話しながらカルサラーハの食堂で昼食をとるリオーネとフォン。

すると同じ店に少し影のある剣士風の旅人が入ってきて同じく食事をとり始める。

特に気に留めずレキの話題を出したところで、その剣士風の男が興味を持ってリオーネ達の所へやって来る。

どうやらその男は「レキ」という少年を探しているらしい。リオーネ達の話していた「レキ」と自分の探す「レキ」が同一人物なのか確かめ、同じだとわかった瞬間ヤバイ雰囲気を出して高笑いし始める。

その男はジェイルといってレキを探し出して殺そうとしている奴だった。しかもその男の情報からレキが亡国エレメキアの皇子だったと判明。

驚くリオーネとフォンを残して男はレキを追って行ってしまった。



第12話「世界を破滅へといざなう者」

さっきのやばい男・ジェイルの視点で始まる。

ジェイルはリバースフィールドと呼ばれる外界とは隔絶された闇の空間を歩く。

そこへ黒髪でさらに黒いドレスを着た女・プレゼナが現れる。

ジェイルとプレゼナは、魔王“世界を破滅へといざなう者”の直属の臣下。所謂幹部クラスの魔族だった。

ジェイルはグランドフォースがまだ生きていたことを主君である“世界を破滅へといざなう者”=デストロードに報告。

エレメキアを攻め落とした際にしくじっていたことになるが、もう一度チャンスが欲しいとデストロードにかけ合いジェイルはなんとか許される。

ジェイルは再び外界に戻るが、プレゼナは生きていたグランドフォースがどんな男なのか興味津々。

ジェイルより先にグランドフォースに会いたいな~。自分が制圧している「ダンデリオン」っていう街に来てくれたらいいのにな~。ワクワク。

一方、カルサラーハにいるリオーネとフォンは、自分達のせいでレキの生存をジェイルにバラしてしまったことに責任を感じる。

ジェイルがなぜエレメキアの皇子の命を狙っているのかはわからないが、危険が迫っていることを本人に伝えるため、もう一度レキに会おうと探し出すことを決める。



第13話「滅びた街とフォースの花」

レキとクローレンの視点に戻る。

レキ達は次に向かう街をダンデリオンに決めていた。

少し前にモンスター達が攻め込んだという噂がある街なので危険に突っ込んで行くスタイル。

でも何か助けられることがあるかもしれないし!

そんな感じでダンデリオンに着いたけど、元々「花の都」と呼ばれていたダンデリオンは見る影もなくやばいモンスターの街みたいになってた。

構わず突っ込もうとしたけど近くに避難していた街の老人に呼び止められる。

その老人の家系はダンデリオンに何百年も蕾のまま咲き続ける「フォースの花」を管理していたらしい。何か封印されてそうな不思議な花だけど、その噂がモンスターにも伝わってしまって街は滅ぼされた。

でもモンスターが何をしても花は枯れず、今もその花はダンデリオンに咲き続けているらしい。

花を枯らす方法がないかを探らせるため、モンスター達は世代交代した現在の花の管理者・ダリアという老人の孫娘を捕まえてしまった。なんとかその子を助け出して欲しい。

→「オッケー!」



第14話「潜入!ダンデリオン」

ダンデリオンの街に侵入するレキとクローレン。

さすがに一度に大群のモンスターを相手にするのは危険。一度見つかるとどんどん仲間を呼ばれるだろうから、まずは見つからないようにコッソリ進むことに決定。

街の中にはモンスターがうようよしていてさらに空にはドラゴンが滑空している。地上と空と両方の監視の目を掻い潜って先に進まなければいけない。

そこそこ順調に進み、途中で崩れたアイテム屋に身を隠した。そこに何か役に立つアイテムが残っていないかを確認する二人。

クローレンが謎の丸いアイテムを発見!

「これ何だ?」→「うーん、使い道わかんないね」

そこでデジャヴを感じるレキ。

なんか前にもこんなことあったような……?

ふと、ジルカールの街でよくわからないアイテムの指輪を嵌めて罠にかかってしまった時のことを思い出す。

レキはアイテムを使ってしまう寸前のクローレンを止めたが、勢い余ってレキが自分でアイテムを発動しちゃった。げげっ。

アイテムは煙幕を出すものだった。それのせいでモンスターに気づかれる。

やばー! 見つかってモンスター達の大追跡を受けながらダンデリオンの街を疾走。

途中でクローレンと別れてしまったが、お互いにモンスターを撒きながら街の中心部に向かうことにする。



第15話「気まぐれな刺客・プレゼナ」

大群のモンスターに追われ続けたレキは意を決してそれを迎え討つことに決めた。

振り返って戦闘態勢を取ったが、なぜかモンスター達は襲って来ず「管轄外だ」と言って去っていく。

そこはちょうど街の中心部辺りで、元々は大きな花畑だったけど今は焼け焦げて灰の海になってた。

謎の声がレキを呼ぶ。

声に誘われて進むとそこにフォースの花を発見。

レキが花に触れると封印が解けて、焼け焦げた灰の海が七色に輝く花畑になる。

同時にフォースの花の妖精と名乗る女が登場。


一旦場面が変わってクローレン側。

大群のモンスターに追われてマジヤバい。

でも捕まる寸前に奇跡的に枯れた井戸に落ちてモンスター達を撒くことに成功。

そこに囚われていた少女ダリアを発見。


再びレキ側。

フォースの花の妖精と名乗る女に少し違和感をもつ。だけど妖精とはこんなもの?

封印が解けたことで三冊目の本が現れる。

妖精さんがその本を渡してくれたのでホッとしながら受け取ろうとする。

探し求めていた本が目の前にある状況で少し油断していたレキは、急に妖精さんに腕をおもいっきり掴まれて引き寄せられ、いきなりキスされてしまう。

「!?」

慌てて飛び退くレキ。

その瞬間妖精さんが殺気を放つ。

やば、絶対にフォースの花の妖精じゃないじゃん!

女の正体は“世界を破滅へといざなう者”の臣下・プレゼナ。グランドフォースが来るの待ってました~。

さっきのキスは“死の口付け”よ。→げっ。超ヤバそうな響き。なんかの特殊攻撃?

レキに力が入らなくなる。



第16話「戦慄」

クローレンはダリアを救出し、レキと落ち合うため街の中心部に向かう。

中心部に着くと花が咲き乱れて花畑になっていることに二人は驚く。

そこに倒れている人影を発見。

それがレキだと気づき、何か深刻な状態なのかと焦ったクローレンだったがレキはただ眠っているだけだった。

「なんでこんなとこで寝てんだ?」→「えっ、寝てた!?」と起こされたレキもびっくり。

レキはプレゼナに“死の口付け”を受けて、力が入らなくなって意識を失ったはず。

なんで無事なんだ? あれは夢だった? と戸惑う。

そこでダリアがフォースの花がなくなっていることに気づく。

レキが封印を解いたことを告げ、グランドフォースが現れたことにダリアびっくり。

花畑の中にフォースを導く三冊目の本が落ちていることをクローレンが発見。

レキは内心どこまでが現実でどこまでが夢だったのかわからなくなって焦る。

用事も済んだのでダンデリオンを脱出することにするが、ダリアがこの街を制圧したボスについて言及した内容に、レキは自分の身に起こった出来事がいよいよ夢ではなかったと気づいて一人戦慄する。



第17話「指南書」

プレゼナはグランドフォース――レキとの邂逅を思い返しながら満足していた。

レキを昏睡状態に落とした後、いっぱいチューしまくって色んな呪縛を付与完了。

プレゼナに反抗できなくなる呪縛やこの先キスすればするほどプレゼナに魅了されるような呪縛などをレキは知らない内に受けているが、まだ本人は気づいていない。

レキ達はなんとかダンデリオンの街を無事脱出し、ダリアを祖父のところまで送り届けた。

お礼にご馳走されながら、ダンデリオンのフォースの花に封印されていた本の内容を確認。それはフォースの光をさらに上手く使いこなすための指南書だった。

それを熟読して新しい技を覚えるレキ。

ダンデリオンの街にはまだ大群のモンスターが残ったままになっていたため、新しい技を実戦形式で練習しつつ、数日間かけてダンデリオンに巣喰うモンスター達を殲滅させた。

いよいよもう一度ダンデリオンの中心部にある花畑まで戻ってきたが、ボスであるはずのプレゼナは出てこない。

やっぱり前回レキが会った時に気づかずに倒したのか? その時のことで何か覚えていないかクローレンはレキに尋ねてみる。

「キスされた」→「は??」

(グランドフォースにキスしてくるなんて変わった女だな……。でももしかしたらレキは相手の気まぐれで生かされただけかも? 何もされずに無事帰されたわけじゃないかもな……)とちょっと嫌な予感がするクローレンだった。



第18話「絶体絶命」

視点が変わってリオーネとフォン。

二人はレキを探してフィルデラという大陸随一の街に来ていた。

レキの情報やフォースの情報を聞いて回るが、得られた情報はダンデリオンにフォースの花というものが咲いていたが、少し前にモンスターに滅ぼされたという話だけだった。

しかしついさっき、同じくレキを探していると思われるジェイルがこの街に来ていたことを知り、ジェイルはダンデリオンに向かったらしいことも知る。

急いでダンデリオンに向かおうとするが、街のすぐ外で大群のモンスター達を率いていたジェイルに見つかってしまう。

ジェイル&大群のモンスター達と戦闘になるリオーネとフォン。

形勢は悪く絶体絶命になった時、間一髪でレキとクローレンが現れる。

ジェイルはレキが自ら来たことに興奮。

レキがグランドフォースであることを口走り、リオーネとフォンは「え!?」となる。

ジェイル対レキの戦いが始まる。



第19話「再会」

話は少しだけ遡って、レキとクローレン視点。

レキとクローレンはダンデリオンから旅立ち、次に目指す街をどこにするか決める際に、レキはフィルデラに向かうべきだと第六感で告げる。

未来視ができるジルカールの魔導師シーラに感応を受けて勘が鋭くなったレキは、今すぐフィルデラに向かわなければ何かに間に合わなくなると感じ、クローレンと共に全速力でフィルデラに向かっていた。

それによってギリギリリオーネ達の危機に間に合ったレキはジェイルと激しい攻防を繰り広げる。

ジェイルはレキの祖国エレメキアを滅ぼした黒幕で、レキの大切だった親友や忠臣に関する話で挑発する。

それに乗ってしまったレキは重傷を負ってしまうが、トドメを刺そうと近づいて来たジェイルに、逆にカウンターの必殺技を撃ちなんとか撃退した。

重傷を負っていたレキはリオーネの癒しの魔法を受けながら意識を失い、気づいたらフィルデラの宿の一室だった。

レキがグランドフォースだということはリオーネとフォンに完全にバレ、旅について行くと言われる。

が、レキは二人を危険に晒したくないため連れて行きたくない。

しかもクローレンがカルサラーハの街で偽物フォース騒ぎを起こした男だとバレちゃった。

なんてヤバい奴を仲間として連れてるんだとクローレンの同行をよく思わないリオーネやフォンとさらに揉める。

でもレキは絶対クローレンと一緒に行くと譲らない。

結局リオーネとフォンを置いていこうとこっそり旅立とうとするレキに、本当にそれでいーのか?とクローレンが意見し、かなり悩んだ挙句、最終的にはみんなと一緒に旅立つことを決めた。



第20話「新パーティー結成」

レキはクローレン、リオーネ、フォンと一緒にフィルデラから旅立った。

フォースを導く本を集めている話をすると、リオーネ達も既に一冊持っていることが判明。

お互いにそれぞれの本を交換し、書いてある内容を確認する。

リオーネ達が持っていた本には、フレイムフォースとアクアフォースは生まれながらに紋章があるわけではないと書かれていて、その事実を初めて知ったレキは驚く。

まだ本人さえ自覚がないかもしれない残りのフォースをどうやって探せばいいんだ?と悩みつつ、一行は次の進路に決めた街・キャンディールを目指す。

キャンディールはお菓子が有名な街らしい。

街に向かう途中、なぜかクローレンがお守りだと言ってレキにペンダントをくれた。

なんで? ま、いっか。嬉しい。

リオーネはキャンディールでレキにいっぱいお菓子を買ってくれるらしい。嬉しい。

そんな雑談をしながらキャンディールに到着。

キャンディールはお菓子と恋愛の街と呼ばれるところで、この街のお菓子を男女間で渡したり一緒に食べたりすると恋愛が成就するというジンクスがあるらしい。そしてその効果を物理的に高めるために、媚薬の入ったお菓子やまじないがかかったお菓子が大人気だった。

でもそんなこと知らないレキはリオーネにいっぱいお菓子を買って貰う。

そして四人でお菓子を広げて新パーティー結成のお祝いパーティーを開催。

買ったお菓子のほとんどは普通のお菓子だったけど一種類だけゆるい媚薬入りのチョコがあり、それを食べたレキがリオーネに魅了されかける。でもクローレンがすぐに止めてくれたので大事に至らず。

その夜レキは変な夢を見る。

リオーネではない黒いドレスの女と抱き合ったりする夢。……?? なんでこんな夢見るんだろう?


翌日はレキとリオーネ、クローレン、フォンに分かれて街で情報収集。

リオーネはレキに本気で惹かれてきていて、まだ正式に婚約はしていない状態だったが、仮の婚約者としてレキを繋ぎ止めようとする。



第21話「キャンディールでのひと時」

それぞれ別々に情報収集していたはずのフォンとクローレンは街の酒場で偶然会ってしまい、そこでかなり殺気立ったケンカになる。

クローレンがレキの旅についてくる目的が、自分もチヤホヤと英雄扱いされたいという不純なものだということに気づいたフォンは、今日中にレキの前から消えろと言い捨てる。


一方レキとリオーネは一緒に仲良く情報収集を行っていた。

 少しの休憩として可愛らしい茶店に入ってみたが、そこでうっかりとまじないのかかった飲み物を飲んでしまい、意思にそぐわずさらに仲良くしてしまう。

正気に戻った二人はちょっと気まずくなるが、宿に帰ったところでフォンとクローレンの大喧嘩の声が聞こえて驚く。

二人のケンカを必死で止めるレキとリオーネ。

クローレンが旅についてくる目的をフォンがレキに暴露→「うん、知ってるよ」→「は!??」

レキはクローレンの真意をフォローしようとするが、なんだかんだで矛先がレキとリオーネに向いたりしてグダグダ。



第22話「群生地」

レキは再び黒いドレスに身を包む女の夢を見た。

その女はダンデリオンで会った魔族の女・プレゼナだということに気づく。そういえば昨日見た夢の女もプレゼナだったかもしれない。

彼女は「グランドフォースは私のもの」と言っていた……。

不気味な夢を連続して見たことでレキはなんだか眠るのが少し怖く感じるようになる。

翌朝、昨日調べた情報を元に四人はキャンディールの南広場にある石像の元を訪れる。

その石像は“今後行くべき道を教えてくれる”という古い像で、グランドフォースであるレキに反応し、北東にある“ラ・パルク”という町に向かうよう教えてくれた。どうやらその町の近くにフォースを導く本の一つがあるらしい。

ラ・パルクはクローレンの故郷の町。そこに向かうには船に乗ってアルキタ大陸へと渡る必要がある。

キャンディールから北に小さな港町があるが、そこに向かう街道は人喰い花が群生していてかなり危険な場所になっていた。

四人は人喰い花の群生地を進み、大群のモンスター達を蹴散らして港町を目指す。



第23話「勇者と魔族の密会」

なんとか無事に北の港町に到着した四人は一緒に夕食をとった。

その夕食の席でまたもやクローレンとフォンは大喧嘩してしまい、レキが怒ってその場を収める。

その日の宿は四人一緒の同室。連日の夢によって寝不足だったレキは早々に就寝するが、再びプレゼナと抱き合う夢を見てしまい夜中に飛び起きる。

それに気づいて起きたフォンと夜中に少し雑談。

相変わらずクローレンを警戒しているフォンにレキはクローレンと仲良くできないか頼んでみる。フォンは一応承諾。

翌日、一行は船に乗り込みアルキタ大陸へと渡った。航海は丸一日かかるため船の中でも一泊する。

船での一泊でもレキはプレゼナの夢を見てしまった。連日続けて同じような夢を見るのはいよいよ不気味で嫌な予感がする。

アルキタ大陸に着き、その港町「ラカ」ではそれぞれ用事を済ませるために別行動をした。レキは一人で行動していたが、ふとラカの町から郊外へと続く街道に既視感を覚える。

そこは連日夢に見るプレゼナと密会をするあの場所だった。

嫌な予感を感じつつも、あれがただの夢だと証明できれば安心できると思ったレキは街道を進み、まさかプレゼナは居ないだろうと夢で彼女が佇んでいた場所を確認する。

その場所にプレゼナの姿はなく、ホッとしたレキは帰ろうとしたがクルリと向きを変えた瞬間、目の前には居ないことを願っていたプレゼナが立っていた。

「!!?」

驚いたレキは抜刀するが、なぜか拒絶できずにまたプレゼナにキスされる。

そのまましばらく口付けを交わし合うがレキは拒否できずにただ受け入れ続けてしまう。

ダンデリオンでプレゼナに“反抗できなくなる呪縛”や“口付けを交わす度にどんどん魅了されていく呪縛”を受けていたレキは抗えず、プレゼナにたっぷりと濃厚な口付けをされどんどんと魅了される。

やがて夢中でキスするようになってしまったレキは隙だらけだったが、その様子を気に入ったプレゼナに今回も見逃された。

心配したクローレンが探しに来たが、見つけたレキはプレゼナに魅了し尽くされ、敵を好きになってしまったことに呆然とする様子のおかしい状態だった。



第24話「結託」

明らかに様子のおかしいレキに、クローレンは何があったのかと再三尋ねるが、プレゼナに秘密にするよう言われていたレキは何も言えなかった。

一切相談をしないレキにクローレンは怒り、もう見限ると宣言する。

しかしそれは“言わないとめちゃくちゃ怒るぞ!”という風に見せるためのただのパフォーマンスで、クローレンは実際に怒っていたわけではなかった。

それでも何も言わなかったレキにクローレンは、第三者がレキの言動を縛っているような印象を受ける。

状況がダンデリオンの時と少し似ているため、やはりプレゼナは倒せていなかったのか?また何かされたかも?とかなり鋭い考察をみせるクローレン。

その憶測をリオーネとフォンにも共有し、敵と通じてしまった罪悪感から必死に仲間と離れようとするレキを一致団結して捕まえつつ守ることに決定。

また、レキを正常な状態に戻すため、呪縛を解くことができる解呪士を早急に探すことも決定した。


その頃プレゼナは、わずかな状況証拠からレキの状況をほぼ言い当てた仲間にイラつく。

解呪されたら困る。せっかくここまで魅了したのに。

「グランドフォース誤魔化すの下手すぎ……」


翌朝、目覚めたレキはすぐさま仲間の元を去ろうとしたがまたクローレンに捕まる。

仲間を裏切ってしまっている状況に耐えられないレキはどうしても仲間から離れたいが、クローレン達はレキがどんな状況だろうと一緒にいることを決めているので、それを振り切って一人で勝手にどこかに行ってしまうことのほうが一番の裏切りだ!とクローレンに言われてしまう。

レキは離れる選択肢を潰され、観念して仲間の元に留まった。



第25話「サンサルの解呪士」

リオーネとフォンはラカの港町の教会で聞き込みを行い、少し東にある「サンサル」という街に優れた解呪士がいるという情報を掴んだ。

レキには解呪のことは秘密にし、そこに向かうことに決定。

向かう道中に魔物の群れと遭遇しアイスエレメントという強敵にも襲われたが、戦闘時は何故か普段通りに力を発揮したレキがそれを苦もなく倒す。

サンサルには辿り着くまでは3日程かかるが、レキはその間に見た夢でサンサルには行くなとプレゼナに言われる。

3日かけて一行はようやくサンサルの街まで辿り着いたが、直前でレキは街には行かないと言い、街の外で待っていると宣言する。

明らかに様子がおかしいレキが暴れる前にクローレンが強引に気を失わせ、三人は急いでレキをサンサルの有名な解呪士のところに連れて行った。

サンサルの神殿に到着し、レキの手足を拘束したところでレキは目を覚ます。仲間に無理矢理連れ去られた上に拘束されてることに驚愕するレキだったが、さらに呪いを否定するまま無理矢理に苦痛を伴う解呪を受け、再び意識を失う。

いくつかの呪縛は解けたが全ては解呪出来ず「術者の言動に対して拒絶や反抗ができなくなる呪い」「夢に現れ行動を誘導する呪い」「術者と口付けを交わす度にどんどんと魅了されていく呪い」の三つは強力過ぎて解呪出来なかった。

解呪する方法は術をかけた本人――プレゼナに解いてもらうか、その本人を倒すこと。または、さらに優れた解呪士、ラ・パルクにいるサルビアという人物なら解けるかもしれないと教えてもらう。

ラ・パルクはクローレンの故郷のため、その話を聞いたリオーネとフォンがクローレンを見ると「それ、オレのばーちゃんだ!」と驚いていた。

祖母がまじない師という事は知っていたが、優れた解呪士だったことは知らなかった様子のクローレン。

こうして目的地がラ・パルクに絞られたことは良かったが、そこまでレキが大人しくついて来てくれるとは思えず、どうやって行くか三人は頭を悩ませる。

レキはまだ気を失っていたが、もういつ目覚めるかはわからない状態だった。

目覚めたら、無理矢理サンサルへ連れてこられたことや拘束されたまま苦痛を伴って解呪されたことなどを怒っているはず。

レキをどうするか相談していたところで本人が突然目を覚まし、すぐさま仲間の元から逃げようとしたため三人はレキを止める。

しかしレキは抵抗し、さらに頭に響くプレゼナの声が仲間を殺すよう命令した。

なんとかその命令には抗ったレキだったが、仲間を振り切り、サンサルの街を出てプレゼナの元へ向かった。



第26話「プレゼナの真意」

仲間の元から逃げ出したレキは、街のすぐ外にある森の中でプレゼナと再会を果たす。

会った瞬間、息も整わないままプレゼナにたくさんキスをされるレキ。プレゼナはレキが仲間を殺してこなかったことが不満でさらに魅了を深くしようとしていた。

そこへ、レキを追跡してきたクローレンとリオーネとフォンが少し迷いながらも辿り着き、ついにプレゼナの姿を補足。レキがなす術なく骨抜きになっている状態に、かなりヤバい相手だと察する。

ただ、最優先で殺すべきグランドフォースをすぐには殺さず、魅了するだけという魔族としては変わった手法をとるプレゼナは一体どういう思考回路をしているのか?

それが疑問だったクローレンはプレゼナに問いかけてみるが、その答えは「他のモンスターにとっては脅威の存在であるグランドフォースが自分にだけは夢中になってしまって無害」という優越感に浸りたかったからだった。

またレキの容姿もかなり気に入っているようで、グランドフォースを自分のものにすることだけにヤバいほど執着している。この相手からレキを解放するのは非常に厄介だとクローレンは感じる。

ラ・パルクの解呪士を訪ねるまで待っていられない状況になったため、三人は今すぐここでプレゼナを倒してレキを取り戻そうとするが、プレゼナを攻撃しようとするとレキが守るという悪循環に陥り、その状況を崩すことができない。

ただそれでもレキのほうから仲間に対して攻撃を仕掛けることはなく、プレゼナを守るための防戦一方だった。

「それだとダメ、仲間は絶対に私を殺すのを諦めないから、こっちから殺すしかない」とプレゼナが囁きレキは葛藤に揺れるが、結局レキから仲間に攻撃をすることは出来なかった。

痺れを切らしたプレゼナがレキに闇のオーラを注ぎ、今だけ意思を最大限に抑えた人形のようにしてしまう。

そしてもう一度レキに仲間を殺すよう命令したが、フォースを解放したレキはそれでも命令に背き、自分の腹部を刺して仲間を攻撃しようとする自分を止めた。

しかしその傷は深く、血を吐いて倒れたレキはかなり危険な状態となる。

リオーネは治癒魔法を使いたかったが、グランドフォースが倒れたことに怒ったプレゼナによりレキに近づけなかった。

結局リオーネ、クローレン、フォンの三人はプレゼナの呪縛により眠らされてしまい、目が覚めた時にはレキとプレゼナの姿は消えていた。

あのまま連れ回されてはレキの命はない。なのに手がかりがなく追うこともできなくなったリオーネ達はこの状況に絶望するが、クローレンがレキの居場所を探ることが出来る魔道具を唐突に取り出す。

それは以前にクローレンがレキにお守りと言って渡したペンダントの位置を追える魔道具だった。

奇跡的にレキを追う方法が見つかった三人はそれを使いレキの元へと急ぐことを決意する。



第27話「逃避行」

クローレン、フォン、リオーネの三人は魔道具を頼りにレキが居る洞窟を目指す。

プレゼナは特殊な転移をしたようでその洞窟までは歩いて三日ほどかかる距離があったが、睡眠時間を削りつつ三人は先を急いだ。

進みながらプレゼナを倒す作戦を考える三人。

まさか位置を特定されているとは思っていないプレゼナは三人の接近には直前まで気付かないはず。上手く虚をついて攻撃することと、プレゼナの呪縛を少しでも和らげることが出来るよう、突入前に保護魔法をかけることが決まった。


一方その頃、レキは意識なく死にかけていた。

どうせ殺す相手なので死んでもいいと思いつつも、まだ“自分に夢中なグランドフォース”を楽しみたいプレゼナは、一応レキの傷の処置をしつつ介抱する。

しかしその日も翌日もレキの意識は戻らず、傷による感染症で高熱も出てしまい、かなり厳しい状態だった。

プレゼナは何度か声をかけるが反応が無かったため「レキ」と名前で呼びかけてみる。

するとレキは微かに目を開けた。ようやく反応を返してくれたことに嬉しくなったプレゼナはつい甲斐甲斐しく世話を焼いてしまう。

水が欲しいと言われたので水を飲ませようとしたが上手くいかなかったので、水を含んで口移しで与えるとレキは飲むことができた。

そしてわずかにニコッと微笑んでまた眠ってしまったレキを見て、プレゼナは比護欲のような情が湧いて来てしまう。

なんだか本気で死んでほしくないような気持ちになってきたプレゼナはレキに自分の生命エネルギーを分け与え始める。


それからもレキの容体は良くはならず、呼びかけても反応しないことが多かったが、稀に気がついた時には毎回プレゼナに向かってニコッと笑いかけてくれた。

それが嬉しかったプレゼナだったが、所詮それは魅了によってもたらされていることになぜか少し悲しく感じるようになる。

まるで逆に魅了されている気分だった。本当に優しく接してもらえるグランドフォースの仲間が少しだけ羨ましく感じてしまう。

そこでプレゼナは一旦レキの呪縛と魅了を全て解除することを思いつく。

呪縛を解いたところで今のレキは逃げることも出来ないのでまた呪縛をかけようと思えばいくらでもかけられる。

それに、もしも呪縛を解いた途端、レキがプレゼナに対して敵意を向けてくるのなら、躊躇なく殺せる気持ちがまた戻ってくるように感じた。

もちろん勇者の立場の者であればそれが普通なので、そうなるようにプレゼナは呪縛を全て解いた。


するとレキはプレゼナの予想に反し、魅了の呪縛がない状態でもプレゼナにニコッと微笑んだ。

「ありがとう」とお礼を言って笑いかけてくるレキにプレゼナは呆然としてしまう。

結局プレゼナは毒気を抜かれ再び呪縛をかけることなくレキを介抱する。

魅了がない状態に戻ったレキは口移しで水を与えられることにうろたえて最初は拒否しようとしたが、結局自力では飲めず、問答無用で口移しされた水を飲んでしまい魅了されてはいないはずなのにぼーっとなってしまう。

その後は観念してプレゼナの介抱を受け入れた。



第28話「フレイムフォース」

その後またしばらくレキの目は覚めなかった。

必死に介抱を続けていたプレゼナだったが、このままではレキは助からないのではないかと不安に思い始める。

そこへようやくレキの元に辿り着き、気配を消して近づいてきたクローレンが至近距離から剣を構えて突っ込んできた。

直前まで気付かなかったプレゼナは動揺し、ギリギリで防いだが無傷ではなく、さらに追撃してきたフォンの攻撃も受けてしまう。

激痛に耐えながら二人を闇のオーラで一旦後方へ吹っ飛ばし、その隙にプレゼナはレキのつけているペンダントの魔道具に気付いて引きちぎる。さらにはレキを抱えて浮き上がり、絶対に奪われまいと洞窟の中を逃げて追っ手を全て撒こうとする。


しばらく大追走劇を続けたのち、ようやくレキの仲間たち全員を撒いたプレゼナは反対側の洞窟の出口から外に出て、どこに身を隠そうかと考える。するとそこでレキの意識が回復した。

プレゼナが色々なところから血を流していることに気づき、レキは何があったと尋ねプレゼナを心配する。

プレゼナは仲間が助けに来たことを言いたくなかったが、後方から再びリオーネの魔法の攻撃を受け、追っ手を全て撒けていなかったことに気づく。

仲間が助けに来たのなら、レキはそちらに帰りたいと思うに違いないとプレゼナは自暴自棄になりつつあったが、レキが最初にとった行動は自分の仲間達を止めることだった。

プレゼナは話せば分かる相手だと必死で訴えるレキにプレゼナは心を打たれる。

結局、レキを奪われたくないプレゼナと、レキを取り戻したい仲間達とで戦闘になってしまう。

レキはなんとか双方の争いを止めたいが、動くことも出来ず、魅了されていると思われているレキの声は仲間達には届かなかった。

レキがもう魅了されていないことはプレゼナだけが知っている。必死な様子のレキに、プレゼナは「仲間はもう攻撃しない、その代わりに私のお願いを一つ聞いて」とレキに提案を持ちかける。

プレゼナは魅了など無い状態のレキを本当に自分のものにしたくなっていた。だがお願いの内容がそんな事だとは思わないレキは二つ返事で承諾。

結局再度プレゼナはレキを連れて逃げることにし、追走劇が再び始まるが、手負いの状態で攻撃も封じられたプレゼナはあっという間に追い詰められてしまった。

そこで最終手段発動!プレゼナは空間転移して三人を撒くことにする。

ただ、その転移にはデストロードのいる裏側の世界“リバースフィールド”を通らなければならない。

もしもデストロードが待ち構えていた場合、レキはすぐさま捕まって殺されてしまうため危険な方法だったが、何事もなく通り抜けられる可能性もあったためプレゼナはそれに賭けた。

空間転移の球体がプレゼナとレキを隔離して覆い、三人は手が出せなくなる。

クローレンはその空間の先からヤバい気配を感じ、そこにレキを連れて入られたらレキの命はないと直感で感じ取る。

レキを助け出すためクローレンが歪む空間に決死のダイブをし、その際にクローレンは二人目の勇者・フレイムフォースとして覚醒した。

フレイムフォースの光に焼かれて手負いのプレゼナはさらにダメージを受ける。

このままではプレゼナが死んでしまうと思ったレキは最後の力を振り絞って自分のフォースの光でプレゼナを保護した。

そして完全に意識を失ってしまったレキをクローレンがプレゼナから奪い返す。

プレゼナはダメージが大き過ぎ、さらには全開でフォースを解放しているクローレンには敵わず、レキを奪われたまま空間転移していった。

そしてレキはすぐさまオーネの癒しの魔法をかけられたが魔法でなんとかなるレベルを既に超えてしまっていた。



第29話「ラ・パルク」

魔法でどうにかなるレベルを超えていたレキだったが、リオーネの会心の効果を発揮した癒しの魔法によって、何とか生死の境から呼び戻された。

しかしそれからもなかなか意識が戻らず、レキが目を覚ましたのは20日後だった。

目を覚ましたレキは初めは記憶が混濁していて何があったかを覚えていなかったが、仲間たちと話す内に全てを思い出し、あの後どうなったかを尋ねる。

既にレキは仲間たちによって目指していた「ラ・パルク」に辿り着いており、レキの解呪もクローレンの祖母に依頼し終わっていたが、その際にレキには何も呪いがかけられていない状態だった。

プレゼナの死によって解呪されたと思っていた仲間たちは、レキに「プレゼナは死んだ」と伝えるが、レキはその言葉にショックを受ける。

しかし詳しく聞いてみると、彼女にはっきりとトドメをさしたわけではなく、レキが解呪されていたことでプレゼナが死んだと仲間たちは判断していたようだった。なぜ自分が解呪されているかを知っているレキは、プレゼナは確実に死んでしまったわけではないと考える。

プレゼナの身を案じる言葉を呟いたレキに、仲間たちは驚く。

レキは呪縛が解かれた経緯や、プレゼナに対する自分の正直な思いを告げる。

彼女は人に仇なしてきた魔族だが、レキと接するうちに人間に近い感情になってきており、レキの意向も汲んでくれるようになってきていた。

他の魔物とは違う、話せば分かる相手だとレキは言ったが、やはり仲間たちはすぐには受け入れられないようだった。

特にリオーネは、レキが本気でプレゼナに魅了されてしまったのではと疑う。

さらにレキがプレゼナのお願いを何でも一つ聞くという約束をしてしまったという話を聞き、プレゼナのお願いが「恋人になって」というようなものだったらどうするのかと不安を口にするが、そんなわけないよとレキは笑い飛ばす。

そんなレキの様子に、フォンも「相手は魔族なのだから信用しすぎるのは良くない」と苦言を呈するが、それでもプレゼナを心配する気持ちを無理矢理無くすことは出来ないとレキもうなだれる。

そこへ、クローレンの祖母でまじない師であるサルビアが登場。

レキのかけられた呪縛の特性によって、後遺症があるかもしれないという話をする。

魅了中も本人の意思を残したままの呪縛だったため、その時の感情や起きたことはレキの中に事実として残った状態。それによって相手への好感は残ったままになるかもしれないが、ただ、まともな判断力も戻っているため心配は無用だと諭す。



第30話「女難」

それからもレキ達はラ・パルクに滞在し、レキは順調に回復していった。体の動きを元に戻すための特訓にも精を出す。

クローレンは指南書を読み込みながらフォースの光を上手く扱う訓練をしていた。

リオーネは呪いを解呪するための特訓をサルビアから受けており、体の動きが戻ってきたレキもサルビアの魔法訓練に参加することになる。

フォンも個人訓練をしており、それぞれが特訓しながらしばらくの期間を過ごした。


ある日、特訓が休みだったリオーネは、同じく休みのはずのレキと話がしたくて探してみたが、レキの姿は見当たらなかった。

町の中を探していると森の方角から帰ってきているレキを発見。どこに行っていたのか問うと動揺を見せたレキに、リオーネは瞬時にプレゼナ関連だと悟る。

リオーネの追及にレキも観念してそうだと肯定した。レキは手負いのプレゼナが町の近くで倒れていないか、探しに行っていたのだった。

そんなレキにリオーネは不安を口にする。レキはリオーネの婚約者なのだから、もうプレゼナのことは忘れてほしい、と。

だが正式に婚約したわけでもなく、無理矢理“仮”の婚約者となることをリオーネが勝手に宣言しただけの関係だったため、もうその状態はやめようとレキに言われてしまう。

そんなことを受け入れたくないリオーネは、レキのことが好きだと告白しキスをする。

驚いたレキはすぐさま引き離すが、リオーネを泣かせてしまい盛大に焦る。

突き放し切ることが出来ないレキは一生懸命リオーネを慰めようとするが、リオーネは隙だらけのレキに対して唐突に、特訓によって習得した“対象を深い眠りへと落とすまじない”を行使してきた。

「!?」

まさか仲間から攻撃されると思いもしなかったレキは、簡単にまじないにかかってしまった。これじゃあ最初のプレゼナの時と一緒だ……とショックを受けるがどうすることも出来ず、レキはそのままリオーネにたくさんキスをされる。

拒否しようとしたが力が入らず、そのまま深い眠りに落ちてしまった。


それからレキは眠ったまま、わずかに意識があるが抵抗できない状態でリオーネにキスをされ、さらには体を触られ、受けたことがないような快楽に身を落とされる。

その行動はどんどんとエスカレートし、途中で眠りの呪縛は解かれたが、意思に反して既に抵抗できないほど気持ち良くなってしまったレキは、その後も翻弄され続けリオーネになんだかあやしいことをされてしまった。

レキにその知識はなく、自分が一体なにをされたのかよくわからない状態だったが、抗えなかった自分に自己嫌悪を覚えながら呆然とする。


その後家に戻ったレキの様子が明らかにおかしかったため、クローレン達は心配し、再びプレゼナの呪縛がかけられていないかの確認までしたがレキの状態は正常だった。

でもなんかはあったんだろ?と心配するクローレンにレキは何も言えず、大事な話があるとサルビアが招集する夕食の席へと向かった。



第31話「アイスドラゴンの巣へ」

夕食の席でサルビアはレキ達にラ・パルクへ来た目的を問いかける。

もちろんレキの解呪も目的の一つではあったが、そもそもこの町を目指したのはキャンディールの石像に北東のラ・パルクに行くように導かれたからだった。

それをサルビアに告げると、町の北東にフォースに関する封印があることを教えてくれた。

クローレンの実家は代々フォースに関わる封印を守っている家系だったが、その事実を知る前にクローレンは故郷を飛び出していたのだった。

ラ・パルクによる厳重な秘密保持により守られたフォースの封印は、森を北東に進んだ先にある氷の洞窟に眠っているらしい。そこへ辿り着くまでの正確な地図とコンパスも譲り受ける。

ただその洞窟の近くにはアイスドラゴンが巣を作っているらしく、十分気をつけるよう忠告を受けた。

レキ達は早速明日そこへ向かうこととして今日は早く休むことに決めた。

部屋へ戻る際にリオーネに呼び止められた気がしたが顔を合わせたくなかったレキは逃げ回る。

こんなんじゃこの先どうしよう……。というかあんなことしちゃって大丈夫なのか? あんなことすると結婚しないといけないんじゃ……? と知識がないレキはまた悶々と悩む。

その様子を心配したクローレンが「言いたくなったらいつでも相談しろ、必ず味方になってやる」と声をかけ、レキは少しだけ安心した。


次の日、四人は氷の洞窟を目指して出発した。

雑談しながら向かうが、リオーネはレキに話しかけても冷たい返事しか返って来ず、ようやくレキが昨日のことを怒っているのではないか? ということに気づく。

とにかくもう一度よく話したいと思ったリオーネはレキに「二人で話したい」とお願いするがそれさえも聞いてもらえず、雰囲気は最悪なままアイスドラゴンの巣に到着した。

アイスドラゴンはレキ達の姿を確認すると襲いかかってきたが、ドラゴンの氷のブレスはフォースを解放するくらいしか防ぐ手立てがなく、フォンではリオーネを守りきれないため普段の役割をレキと交代することになった。

クローレンとフォンが前線で戦い、レキは少し離れた所でリオーネを守りつつ魔法で援護する。

しかしこのチャンスにレキと二人で話したくて必死なリオーネはレキの言うことを聞かず、戦闘中に話しかけたり「ここで待ってて」と指示された場所で待っておらず、危険な場所まで来てしまい、足を滑らせて流れが速い川に落ちてしまう。

それに気づいたレキもすぐさま飛び込んだが、なかなかリオーネに追い付けず、ようやく捕まえたと思ったらそこは既に滝の上で、二人は何十メートルもある滝を真っ逆さまに落ちていった。



第32話「山小屋での一晩」

レキはリオーネを庇いながら滝を落ち、落ちた先でなんとかリオーネを岸に上げることに成功した。

しかし既にリオーネは息をしておらず、死んでしまうと恐怖を感じたレキは無我夢中で人工呼吸をした。

その甲斐あってリオーネは奇跡的に息を吹き返したが安心したのも束の間、濡れて冷え切った体は低体温症の危険があるため、二人は近くの山小屋に身を寄せて体を温めることにする。

濡れた服を乾かすために服を脱ぎ、リオーネに促されて二人は裸のまま一緒に寝袋に収まった。

レキとゆっくり話す機会ができたのでリオーネは昨日から気まずくなっていた内容についてもう一度謝罪する。

当のレキはリオーネが溺れて死にかけたことによって一連のことは一旦頭から吹っ飛んでおり、思い出したものの自分の意志を少し無視されたくらいなんだかどうでもよくなっていた。

ただ、今後は呪縛をかけないということとレキの意志を無視して勝手なことをしないで欲しいということを約束する。

リオーネが約束してくれたことで安心したレキはそのまま眠り、くっつき合って眠った二人は体も温まった。

 翌朝には服も乾いていたため、森を抜けてラ・パルクへ帰ることにする。

ちゃんと話をすることもでき、トラブルを乗り越えた二人はなんだか少しだけ距離も縮まっていい感じのようにも見えた。



第33話「アクアフォース」

レキとリオーネがラ・パルクに戻ると町は騒然としていた。

レキ達が一向に帰ってこないことを心配したクローレンとフォンが今すぐ探しに行こうとするが「滝を落ちたのなら森を抜けるのに少し時間がかかるはず」と止めるサルビア。しかしそれをクローレンとフォンが振り切ったところで、帰って来たレキとリオーネを発見する。

二人が無事だったことにみんなとても安心し、レキとリオーネはそれぞれゆっくりと温かい湯に浸かり、冷えた体を温めて疲れをとった。

その後の夕食の席で、クローレンが封印を解いて入手してくれた氷の洞窟の本をレキは確認する。

五冊目となるフォースの本には、フレイムフォースとアクアフォースに関する真実が記されていた。

フレイムフォースとアクアフォースは、グランドフォースであるレキが「そうなって欲しい」と思う人物に力を分け与え、それに応えた人物がフォースとして目覚めるということだった。

つまり、クローレンがフレイムフォースに目覚めたのは、レキがクローレンにフォースの一人であって欲しいと願ったからだった。

そしてさらにこの本には、もう一人のアクアフォースをすぐさま目覚めさせることができる力があるようだった。

誰をアクアフォースにするのか、レキは誰にアクアフォースになって貰いたいのか、全員の関心が向く。

レキはしばらく考えると言って即答を避けようとしたが、興味津々のリオーネに促され、フォンにアクアフォースとなって欲しいことを白状する。

フォンもアクアフォースになりたいと思ってくれており、これでほぼ決まったのだが、念のためレキが今まで出会ってきた人達にその候補がいないか確認する。

ミーリ、ルーシィ、ゼット、カイル、クライヴ、シーラ……。

シーラの話になった際に、クローレンが茶化してリオーネに「ライバルだぞ〜」と言ったことで、リオーネはレキとシーラの仲を疑い少し不穏な感じになる。

だが結局その中にレキがアクアフォースとして目覚めて欲しい人物はおらず、さらに記憶を遡ることでティオへと思い至りはしたが、それは叶わないことにも気づいてしまう。

最終的な結論としてアクアフォースはやはりフォン一択だった。

レキはフォースの本を使い、フォンをアクアフォースに任命して、その思いに応えたフォンは三人目のフォースとして目覚めた。



第34話「婚約者」

夕食が終わり部屋に戻ろうとしたレキはリオーネに呼び止められた。

リオーネは先程“ライバル”と聞いたシーラの話が気になっているらしく、どういった人物なのかを詳しく聞きたいとレキ詰め寄る。

レキはリオーネと二人になり、シーラとの出会いから別れまでに起こった出来事を全て話した。

特別な相手ではないというレキの言葉に安心するリオーネ。ホッとしたリオーネは今日も一緒に寝る?とレキに冗談半分で尋ねてみる。

昨日のように命がかかっている状況ではないため当然断るレキ。でも婚約者同士なんだからいいじゃないと笑うリオーネに、レキはなんだか少しまずい雰囲気を感じてきた。

“仮の婚約者”というのは辞めようと話したはずだよね?と恐る恐る確認するレキの言葉に、リオーネは急に黙り込んだ。

そして沈黙ののち「子どもが出来ちゃったかも……」と告げる。

その言葉にレキは仰天。レキにその辺りの知識はあまり無く、一昨日に呪縛で眠らされた時に行った行為は子どもが出来る可能性があるものだとリオーネに告げられる。

呆然となるが、王女であるリオーネに子どもが出来るようなことをしてしまったのであれば取るべき選択肢は一つだと悟ったレキは、本当の婚約者となることを受け入れる。

ただ本意ではないレキは、これからのことを考えると頭が痛くなるほど悩みながらその日は眠りについた。


翌日、ラ・パルクに、セルフォードがフォースの書の一つを手に入れたという噂が舞い込んだ。

セルフォードはリオーネの国。どうやらリオーネを一度呼び戻すために大々的に噂を広めているようだったが、そんな噂がモンスター側にまで届いてしまっては非常に不味い。

レキ達はすぐさまラ・パルクを発ち、セルフォードを目指すこととした。

クローレン家族との別れで、レキはサルビアからクローレンにはレキによく似た弟がいたという話を聞いた。その弟は小さい頃に病気で亡くなってしまったらしく、クローレンはレキを本当の弟のように想って接しているはずだと教えてもらった。

普段そんな様子を一切見せないクローレンの想いに改めて感謝するレキ。

そんな想いを胸にラ・パルクを発った。


出発してすぐにレキはリオーネを呼び止め、子どもが出来てしまっているかもしれない件をクローレンとフォンにも話すべきではないかと提案する。

戦闘時にリオーネの体が万全ではないことを知ってもらっていたほうがリスクが少ない、と。

ただリオーネは、レキを婚約者として繋ぎ止めるためだけに出来るはずもない行為で子どもが出来てしまったかもしれないと嘘をついているので、あまり大ごとにはしたくなかった。

結局二人には言わないように誘導し、その分レキがリオーネの間近で常に守ることに決まった。

また、セルフォードに着いたら正式に父である国王にレキのことを紹介して、婚約の儀式をしたいというリオーネの希望をレキは承諾した。



第35話「セルフォードを目指して」

それからレキ達一行は大陸を横断してセルフォードを目指す長旅を始めた。

途中の中継地点「ルザン」という町に着いた一行は宿を取ろうとしたが、生憎二人部屋が二つしか空いていない状況だった。

いつも通り、レキとクローレン、リオーネとフォンの部屋割で分かれようとしたが、婚約者の立場の相手がいるのに別の男性と泊まる意味がわからないとリオーネが発言し、結局レキとリオーネ、クローレンとフォンの相部屋で泊まることになる。

レキとリオーネは宿の中にある浴場へと一緒に向かい、男女に分かれて汗を流した後、入口で待ち合わせをした。

宿の中はそれぞれが借りている部屋以外は他の旅人との共有スペースなので稀にいるガラの悪い旅人からリオーネを守るためだったが、自分達の部屋へと戻る途中、運悪くそのガラの悪い旅人達にレキ達は絡まれてしまったが、レキは難なく退けることができた。

そしてようやく自分達の部屋に戻って来たレキは、今日一日中ずっとリオーネを気にかけて戦っていたため疲れて眠くなっていたが、まだもう少し起きて一緒にお喋りしたいというリオーネの要望に応え、それぞれのベッドに寝転がりながら話をすることにする。

リオーネがレキのこれまでの冒険やエレメキアでのことを聞きたいと言ったので、いい機会だと思いレキも自分の過去の話をすることにした。

婚約するのであればリオーネとはこの先ずっと一緒に過ごすことになる。そのリオーネにはレキのこれまでのことも知っておいてほしいし、リオーネのことももっとよく知りたい。

こういう提案ならレキとしても歓迎なので、エレメキアで皇子だった頃の楽しかった思い出話を始めた。

リオーネも楽しく聞いてくれたが、次第にレキは話しながら眠くなってしまい、ついには途中で寝てしまった。

リオーネはレキがよく眠っていることを確認すると、そのままこっそりキスをする。

レキは婚約者になることは承諾してくれたものの、こういった愛情表現はまだしないと拒否していたので本人には気づかれないようこっそりと行ったが無事気付かれず、何度かキスできたリオーネはとても満足して眠りについた。



第36話「破綻」

それからも一行は大陸を渡ってラトル大陸を東に向かう旅を続けた。

旅の途中の雑談で、フォースの書はセルフォードにあるものを除くと残り一冊であることなどの話をする。

ただ、旅の終わりは本を全て集めることではなく“世界を破滅へといざなう者”を倒すことがゴールなので、果たして自分達の力はデストロードに通じるのかとレキは不安を口にする。

レキが「デストロード」という固有名詞を使うのを初めて聞いた仲間達は、それが「世界を破滅へといざなう者”の名前なのかと問い、プレゼナがそう呼んでいたということを伝える。

久しぶりにレキから出た“プレゼナ”の言葉に皆少し微妙な空気になるが、特にリオーネはそれが顕著でなんだか不安な気持ちを覚えていた。

そしてその夜、一行が立ち寄った町ではまた二人部屋しか空いてなかった。

約束していたためレキとリオーネはまた二人で一緒の部屋となる。

そしてまた寝る前にお互いの思い出話をし合って、かなり長く話したが、やはり途中でレキのほうが先に眠ってしまった。

例のごとく、リオーネはまた眠ったレキにキスをする。普段起きている時は拒否されてしまうので、この唯一の時間がリオーネの内緒の楽しみでもあった。

前回レキが全然気付かなかたので少し大胆なキスをするリオーネだったが、その直後レキは寝言で「プレゼナ」と呟いた。

その言葉を聞いて激しくショックを受けるリオーネ。

レキはまだプレゼナのことを忘れていない……そんなの嫌だ……レキの気持ちを完全に自分だけに向けたい、そう思ったリオーネは強硬手段に出ることにし、眠っているレキをさらに昏睡へと落とす呪縛をかけ、同じベッドに潜り込んだ。


翌朝レキは頭が異様に重いことを不思議に思いながら目覚める。リオーネも既に起きていたがなんだか不機嫌な様子だったため理由を問うと、レキが寝言で「プレゼナ」と呟いたことを責められた。

レキは自分でもどういう意図でその名前を寝言で呟いたのか分からず慌てるが、話の流れでリオーネがレキに勝手にキスしていたことが判明。

さらにレキの着衣は変に乱れており、それ以上の何かをされたことにレキは感づく。

恐怖と拒絶反応で気持ち悪くなり、リオーネを信用できなくなったレキは部屋から飛び出し、その後はリオーネを避けて日中も一緒に過ごせなくなった。


再び宿の部屋割では、もう絶対にリオーネと同室になりたくないレキはクローレンとの同室をなんとか取り付け、久しぶりに安心できる空間にホッとしたのも束の間、クローレンは大量に酒を買い込んで来てレキに一緒に飲もうと誘った。

断ったレキだったが、ジュースだと勧められたものが実は酒で結局酩酊状態になる。さらにその状態で最近リオーネとの仲がおかしいことをクローレンに鋭く追及され、言うつもりは無かったのに酒の力も相まってレキは全てをクローレンに白状することになってしまった。

だが全てを聞いたクローレンはレキの味方をしてくれ、さらにレキ達がラ・パルクでしたことでは子どもは絶対に出来ないと真実を教えてくれた。

リオーネに騙されていたのかもしれないとさらに不信感を持ったレキは婚約はおろか今後一緒に旅することも難しいと判断する。



第37話「条件」

翌朝、一行はまたセルフォードに向かう旅を再開するがその道中、レキはリオーネに話があると言って二人になり、婚約するのはやはり無理だということを告げる。

もちろんリオーネは納得しなかったが、ラ・パルクでの行為では子どもが出来るはずがないことや、約束を破ってまた呪術を使われたこと、眠っている間に勝手なことをされたこと等でもう信用できなくなったと告げ、さらには今後一緒に旅することも難しくなったと伝えた。

まさかそこまでの話になると思っていなかったリオーネはふらつき、ショックで気を失ってしまう。

その姿を見ると、やはり自分の対応は酷すぎるかもしれない……と精神的に落ち込むレキだったが、それでもやはりもう一度婚約者の立場に戻るということは無理だった。

それからセルフォードに着くまでの数日はリオーネと何も話さない日が続き、リオーネはずっと暗い顔で何かを考えながら泣いているようだった。

フォンには状況を掻い摘んで話し、リオーネとトラブルがあり婚約する話はなくなったこと、セルフォードに送り届けたら四人一緒の旅も終わりであること、ただフォンはアクアフォースなのでその後も旅についてきてほしい旨などを伝えた。

フォンはかなり驚いており、一体どんなトラブルがあったのかと尋ねたが、その部分をレキが言うのも憚られるため、トラブルについて詳しく知りたいのならリオーネに尋ねてもらうこととした。

フォンがどう判断してこの先旅について来てくれるかはわからないが、全てはまずはセルフォードに着いてからということになる。


そして一行はついにセルフォードに到着。

セルフォードは無事だった。

まずはリオーネとフォンが一足先に国王に謁見し、無事戻った旨とグランドフォースを見つけた件を報告する。

その後レキとクローレンも謁見し、セルフォード国王にフォース書についての噂を流す行為を直ちに止めるべきだと言うことを伝え、国王もその忠告を受け入れてくれた。

ひとまず安心し、国王によりしばらくセルフォードに滞在するよう提案を受けるレキ。ここまで旅するのに少し疲弊していたためその提案は有り難く、もちろん素直に頷く。

そしてクローレンがフォースの書について言及し、早く見せて欲しいと言うと、国王は本を渡すには条件があると切り出した。

まさか条件を提示されるとは思わなかったが、大変な思いをして手に入れてくれたことは理解できるため、レキはできる限りのことはしたいと思って条件を尋ねる。するとその条件とは、レキとリオーネが婚約することだと国王はとんでもないことを提示してきた。

どうやら国王は王女であるリオーネの我儘を聞き、レキとの婚約を強行しようとしているようだった。

婚約の儀は明日。司祭による魔法の元、婚約の誓いを正式に結べばその時に本を渡してくれるとのことだった。

まさかそんな条件を受け入れたくないレキは反論し、それ以外の条件に変えてもらうことはできないか打診するもそれは認められず、なぜか国王にまで気に入られてしまったレキは、意志に反して決して逃れることの出来ないリオーネとの婚約を決められてしまった。

その後、なんとか婚約をしない方法はないか、クローレンと共に考えるが有効な手段は見つからず、日程までハイスピードで組まれてしまったため、熟考することも出来ず、レキは観念してリオーネとの婚約を受け入れることにした。



第38話「婚約の儀」

翌日、不本意ながら婚約することになったレキは、早くも王族並みの扱いで侍従をたくさんつけられ、朝から婚約の儀に備えて大いに着飾られた。

数時間かけてようやく準備は整い、完全にキラキラの王子様モードになったレキの所へクローレンが様子を見に来る。

クローレンも儀式に参列するため正装しており、普段とは違うお互いの格好に少し楽しくなるが、今後レキが王族へと戻ることでクローレンとは気軽に会ったり出来なくなる立場になることに気付き、二人は唐突になんだか寂しくなる。

感傷的になってしまったが、これがレキの選んだ道なのでもう仕方がなかった。


その後レキはクローレンと一旦別れ、挨拶をするために国王の私室へと向かう。

催事前の顔見せのためだったが、レキは念の為もう一度だけ、条件を婚約以外に変えてもらことが出来ないか尋ねてみる。

会って一日にしか満たない自分に大事な王女との婚約を許していいのか?→おk、懸念なし。王女が長く旅を共にして寄せた信頼を信じている。→「……」

これ以上説得出来なかったレキは、既に覚悟してこの場に挑んでいたため、国王の「これからも王女のことは任せた」という言葉に仕方なく承知した。


そして国王の私室を後にし、次は儀式の控室へと向かう。そこには既にリオーネがおり、人払いして一人でレキを待っていた。

どうしてこんな無茶な要求をするのかレキは不満を口にするが、だからといってもうリオーネとの婚約を覆すのは出来ないことは理解していたので、あとはいかに再び円滑な関係を築き直すかにレキは思考をシフトする。

レキの性格上、そうやって気持ちを切り替えて前向きに考えてくれることをリオーネは知っていたため、“今度こそ絶対に呪術をかけないこと”、“眠っている間に勝手なことをしないこと”というレキの再三の願いを聞き入れ、二人は関係改善を目指すことにした。

ただリオーネは、レキにもリオーネのことを好きになる努力をして欲しいと訴え、いろいろ言いくるめられたレキは承諾し、婚約の儀の練習として何故かキスすることになった。

結局レキからは出来ず、リオーネにキスされるが拒否しなくなった(出来なくなった)レキに、リオーネは非常に満足そうだった。


その後、時間になり婚約の儀が始まった。

レキとリオーネは司祭の作り出した魔法陣の中で祈りの言葉が終わるのを待つ。それが終わり光り輝いた魔法陣の上で二人があらかじめ定められた動作を行うと、正式に婚約の誓いが体に刻まれ、婚約が成立するというものだった。

決められた動作とは、まずレキが誓いの言葉を宣誓し、次にリオーネも宣誓し、最後にレキがリオーネにキスすると、その瞬間魔法陣が発動して二人に魔法の誓いが刻まれるという流れだ。

ちなみに、本来であればリオーネが宣誓した時点で婚約は成立するはずだったが、リオーネのご要望の元、最後にレキがキスする動作が余分に組み込まれての儀式となっていた。→「……」

もうやるしかないと腹を括ったレキは、順調に誓いを宣言し、次のリオーネは感極まって少しつっかえてしまったが無事宣誓を終えることが出来た。

あとは最後のキスだけというところになり、まさにレキがリオーネにキスしようとした瞬間、唐突に儀式の間の静寂は破られた。

爆音と共に扉が破壊され、大群のモンスター達が部屋の中に雪崩れ込んできたかと思えば、さらにはデストロード直属の臣下“悪魔王・ゾディアック”と名乗る巨大な悪魔までやって来た。

どうやら彼等はセルフォードが流したフォースの書についての噂を聞いて攻めて来てしまったようだった。



第39話「ゾディアック襲撃」

**あらすじ作成中**



第40話「セルフォード王城戦」

**あらすじ作成中**



第41話「連戦!リバースフィールド」

**あらすじ作成中**



第42話「光と闇」

**あらすじ作成中**



第43話「プレゼナのお願いごと♡」

**あらすじ作成中**



第44話「鍛冶屋」

**あらすじ作成中**



第45話「鉱山攻略」

**あらすじ作成中**



第46話「キャンプにて」

**あらすじ作成中**



第47話「生誕祭」

**あらすじ作成中**



第48話「闘技大会」 ←現在最新話




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