光宗薫(2)「健康面は考えていない」30キロ台ダイエット


2011年3月、神戸コレクションモデルオーディションでグランプリを受賞した光宗薫は、12月にAKB48の13期生となった。

研究生という立場ながらも、注目を浴びたのは、モデル出身ならではの容姿によるところが大。

本人もかなり努力していたようで、そのダイエット方法をブログで明かしたりもしていた。

9月上旬、ショーを間近に控えていた時期の、

「健康面は考えていないので、そのまま参考にはしない方が良いかと!!」

という、エクスキューズ付きの「けっこうきつめ」のダイエットだ。


「朝は毎日決まっていて、フルーツとボウルに多めのサラダ」

「ドレッシングはカロリーオフのもので、よくささみも入れています」

「昼は12時頃に、大体トータルで400~500kcalくらいだろうなという範囲で好きなものを食べます。今日は魚でした~!」

「そして夜は18時頃に、凍らせたゼロカロリーゼリーを食べたりダイエットドリンクを飲んだりします。ゼロカロリーコーラはお腹が空いた時に合間で飲んでいます」

「個人的にパンやご飯等の炭水化物は何か無い限り全く食べませんが、甘いものは抜くとストレスになるのでたまに食べています!」


また、母親と野菜バイキングに出かけたときの写真を添えて、

「ダイエットを始めてから野菜がびっくりする位大好きになって、一人暮らしを始めても野菜料理は作れるようになりたい!と思い 本も買って帰りました」

という文章も。

家族にも協力を依頼して、誕生日をケーキではなく、フルーツで祝ってもらうなど、細かい工夫もしていた。


夏休みには韓国にダンス留学をして、体重が2キロ、体脂肪率が3%落ちたという。

公式サイズは、身長168センチ、B82W61H82。

これがいつ計測されたものかは不明だが「W61」というあたりから、サバ読みなしの実測値っぽい気もした。

なお、AKBに加入した12月、このサイズはもっと小さくなっていたのではないか。

というのも、彼女はその時期、30キロ台になっていたことをのちに明かしている。

ひとり暮らしやレッスンを理由にしていたが、ダイエットモードからの切り替えが上手くいかなかったというのもあるかもしれない。


そんな彼女には、さまざまな声が飛び交った。

僕のブログの読者のあいだでも、

「美人さんだなぁ!キラキラしてますねぇ王子にも姫にもなれる感じで羨ましい限りです」

という絶賛もあれば、

「初めて見たときAKBにはもったいないくらいのレベル高い人材だと思ってかなり気になってました!!モデルの麻里子さまやボーイッシュキャラの宮澤佐江の立場が

危なくなるかなぁって…でもAKB公式HPのプロフィール写真だと黒髪で地味な感じがして個性がないかなぁなんて」

と、せめぎ合うもの、さらには、違和感や危惧を示すものもあった。

「確かにAKB48っぽくないかも。正直まりこ様は健康的な細さだけどこっちは少し病的な細さがある気がします…AKBの衣装とかミニスカートや少し露出系だからある程度健康体でないと似合わない気がするなぁ~間違いなく男性ファンにはうけなさそうですね 辛口になってしまうけど ダイエット頑張るならAKBじゃなくてモデルになれば良かったのにって思います。ダンスや仕事はhardなのに1日1000カロリーあるかないかの食事じゃ体調崩しそうだし良いパフォーマンスをする体力がないと思います」


ちなみに、宮脇咲良が選抜総選挙に向けたダイエットで話題になったのは、この7年後。

当時のAKBでは、細いことをよしとする感覚はそれほどでもなかった。

むしろ「AKBに入ると太る?」というネットニュースが配信されたり――。

これは「すぐ太っちゃう」体質がコンプレックスだという前田敦子が、メンバーもみんな食欲旺盛なので困るとして、

「これ以上私たちにえさを与えないでください」

などと言い合っている、と雑誌で語ったものだ。

また「大日本アカン警察」で、メンバーのアカン飯が紹介されたこともある。

板野友美は、おでんにとろけるチーズをのせた「とろとろチーズおでん」。

柏木由紀は、食パンにバナナとマヨネーズを合わせる「バナナマヨサンド」。

高橋みなみは、カツ丼に生クリームを混ぜる「カツ丼生クリーム掛け」。

たかみないわく「衣の脂と生クリームの脂が最高にマッチする」とのことだ(苦笑)

あと、松井玲奈はとんこつラーメンのスープに、大好物のアレをひたして食べる「とんこつひたメロンパン」。

芸能人はある程度、肉食系じゃないとやっていけないとはいえ、動物性脂肪へのこだわりがここまでとはと驚かされた。

それこそ、自宅の冷蔵庫にマヨネーズがない僕としては、ちょっとしたカルチャーショック。

ただ、高カロリーで高脂肪のマヨネーズはもともと、大航海時代の保存食として発達したそうで、今でも山などで遭難した際、非常に役立つらしい。

芸能人、特に平成以降の女子アイドルグループなんて、完全に体力勝負というか、芸能界という戦場にいるようなものだから、マヨネーズのような食品が不可欠というのもわかる気はした。

ただ、こうした食嗜好を共有するAKB的空間に、光宗薫はうまく馴染めるのだろうかと、心配もしたものだ。


それでも、このグループでは、けなげな頑張り屋タイプが人気を得るという傾向もあり、意外と気に入られるかも、という期待感も。

篠田麻里子を超えるモデルっぽさで新風を吹き込みつつ、AKBっぽさにこだわるファンにも受け容れてもらえる可能性は十分あるはずと、そんな希望もこめて、コメ返記事のなか、こんなことも書いてみた。

「正式にメンバー昇格したとき、アイドル仕様の生活への切り替えが、うまくできるかどうか、がカギなのでは」


実際、本人も周囲も、時間をかけてやっていくつもりだったのだろうが――。

筆者がダイエット法を紹介する記事を書いた翌日、彼女はある意味、時の人状態になってしまう。

12月20日に開催された「AKB48紅白対抗歌合戦」に登場して、島崎遥香や山内鈴蘭とともに「ハート型ウイルス」を披露。

そこで「健康面は考えていない」ダイエットによる超スレンダー体型が、ファンに衝撃をもたらしたのだ。


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