私の世話を焼いてくれる幼馴染がヤンデレらしい……。いや、勘違いでしょ。

ハゲダチ

第1話 幼馴染との朝

「ほら、起きて!今日も学校だよ!」


 私、白峰しらみね陽菜ひなの朝は、この世話焼きな幼馴染に起こされるところから始まる。


「うぅん、後十分だけでいいから寝させて~」

「そう言って時間通りに起きたことないでしょ!いいから起きる!」


 そう言って、私を包んでいた布団を無理やり引き剝がすのは幼稚園の頃からの仲である白石しらいし翠月みづき、私はみーちゃんって呼んでる。

 そんなみーちゃんに布団を奪われた私は渋々ベッドから起き上がり、トボトボと洗面台へと向かっていく。


「朝食の準備は出来てるから、顔洗ったらリビングに来てね」

「わかった~」


 顔をあらい、軽く寝癖を直すと、朝食が用意されているリビングのテーブルへと向かう。

 リビングにはおいしそうな朝食と私と一緒に食べるためにまだ朝食に手を付けていないみーちゃんがいた。

 みーちゃんをあまり待たせないために、私はそそくさとみーちゃんの向かい側にある椅子に座る。


「「いただきます」」


 手を合わせ、朝食を食べ始める。

 今日のメニューはご飯に味噌汁、卵焼きにウィンナーと和食の定番が並んでいた。


「みーちゃんってホント料理上手だよね~。いいお嫁さんになるよ」

「陽菜にそう言ってもらえるなら良かったよ(陽菜のお嫁さんになるために頑張ってるんだし)」

「?、みーちゃん何か言った?」

「いや、何でもないよ。あ、お味噌汁おかわりいる?」

「うん、お願い~」


 本当に、みーちゃんと将来結婚する相手が羨ましいよ。みーちゃんの幸せのためにも相手は私がしっかり見極めてあげないと!

 そんなことを思いながらみーちゃんが持ってきてくれたお味噌汁を啜る。

 うん、今日もおいしい!


「ごちそうさまでした。みーちゃん、いつもありがとね!」

「どういたしまして。じゃあ、学校に行こうか」

「うん!」


 朝食を食べ終えた私たちは学校指定のカバンを持ち学校へと向かう。


「そういえば、みーちゃんって毎朝私のこと起こしに来てくれるけど、大丈夫?別に無理に来なくてもいいんだよ?」


 通学中、私はみーちゃんに心配に思ったことを問いかける。

 さっきまでのやり取りを見た人の何人かは同棲していると勘違いした人もいるかもしれないが、私たちは一緒に住んでいるわけではない。わざわざ私の家まで起こしに来てくれているのだ。神かな?神なんだろうね。


 でも、私はみーちゃんに迷惑をかけたいわけじゃない。みーちゃんが嫌なら、無理して来てもらわなくても……、そう考えていたのだが、


「え?え?え?陽菜には私が必要でしょ?なんで来なくていいとかいうの?なんでなんでなんでなんでなんでなんで?私がいなかったら陽菜はどうするの?ちゃんとご飯食べられるの?朝起きられるの?誰が陽菜のそばにいるの?誰が陽菜を守るの?ねえ、答えてよ」

「え、あ、あの……」

「私より陽菜のこと知ってる人なんていないよね?陽菜の全部を理解してあげられるのは、私だけだよね?というか私以外いちゃ駄目だよ。他の人なんかに陽菜のこと分かるわけないよ。私の私だけの陽菜なんだから。だからこれからも私が、私だけが陽菜のことを起こしに行くから。それでいいよね?ね?ね?ね?」

「う、うん……」


 怒涛の勢いでまくし立てられた私は、困惑しながらも頷いた。正直早口で何言ってるのか全然聞き取れなかったけど、こういう時はとりあえず頷いたら大丈夫なはず……。


「よかったぁ!じゃあ、明日もちゃんと起こしに行くね!」


 そう言ってみーちゃんは満面の笑みを浮かべた。

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