第4話◆オーダーは古き良き和朝食
フィオの森に突如開いた
農場を守るべく呪穴の王サイクロプスに挑むノエルの前に現れたのは―
「シヴァさん!!ジェイさん!!」
スチャッと目の前に降り立ったのは転生の箱舟で一緒だったウェアウルフで大剣使いの獣人族“シヴァさん”と、ガリガリで幽鬼のように青白い顔をしているけれど、れっきとしたヒューマンで黒魔導士の“ジェーンドゥ”こと通称“ジェイ”さんのお二人。
箱舟でご一緒したということは即ち、そう、お二人ともレベルキャップ解放者。
「っっ!!剣聖獣王と深淵の魔術師…だと…?」
「超越者とノエルがなぜ!?!?」
アンジーさんとリアムさんがガバッと効果音がしそうな勢いで私を振り返る。
二人のこぼれそうな目玉が「お前もか!?」と物語っているが私は苦笑交じりにフルフルと首を振って
「違いますよ。私と彼らの強さを一緒にしたら失礼です」
としっかり否定。
二人の疑いの眼差しを感じつつも私は久々に会ったシヴァさんとジェイさんに向き直り
「なんでアレが今日出るってわかったんですか?確かシヴァさん達ってリス地違いましたよね?」
と、従魔達が足止めしてくれているサイクロプスを指差しながら単純に疑問に思ったことを聞いてみた。
「それはこいつの星詠みで」
「え?ジェイさんって黒魔導士でしょ?」
「そうだけど、こいつ聖職者も解放してるから。ちなみに俺は剣士と侍ね」
コソッと私にだけ耳打ちされた驚愕の事実。
ギギギとブリキのように見上げたジェイさんの顔は口角だけが吊り上がった不気味な笑顔だった。
これ、絶対聖職者になっちゃダメな人の顔!!!
「さてと、来たからにはそろそろ殺りますか!飛翔」
「………。」
そう言ってサイクロプスの元に飛んでいく二人に向かって慌てて
「何か食べたいものありますかー?」
と声をかける。
シヴァさんからは大声で「白米と味噌汁~」。
ジェイさんは…消えた!?と思ったら「甘い卵焼き」と私の耳元で囁いてまた消えた。
転移の無駄遣い!!!!
その後、サイクロプスはシヴァさんの剣で切り刻まれ、その肉塊をジェイさんの黒魔術がすり潰し、一方的なワンサイドゲームで幕を閉じた。
神に選ばれる人達というのはここまで極まっているのだなと、自分との力量差に眩暈がしそうです。
「俺たちあいつらには荷が重そうな残党狩りしたらノエルんち向かうからご飯よろしく!」
そう言うとシヴァさんはアンジーさんが苦戦している方向に走り去っていった。
サイクロプスを斃したというのに息一つ切らしていない。
(もう大丈夫そう。それならお家へ帰ろうかな)
そう思って踵を返すと目の前にジェイさん。
「うわぁ!?ビックリした!!」
「……梅干しも」
ブンッ。
また転移して消えてった。
だから高等技術の無駄遣い!!
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さて、リクエストのご飯を用意しますか。
お家に帰ってエプロンを付けてキッチンに立つ。
用意したのは錬金窯。
たくさん斃した魔猿のドロップ品をポイポイ入れて、まずは白米にチェンジ。
次はイリコ、そして豆腐、ワカメ。
この錬金窯は錬金術スキルを取らなくても錬金術が使えちゃう課金アイテムで、箱庭の公式ショップで思わずポチってしまった商品。
但し、本職の錬金術師と違い、等価交換はできない。
錬金窯の方が交換レートが高いのだ。
ま、それは仕方ないよね。本職と同じ性能で売ってしまったらスキル取る必要なくなっちゃうからね。
とは言え、転生してからすっごく役に立ってる。これなかったら色々詰んでるレベルで。
かつて箱庭重課金者だった私に感謝。
ウノちゃんに竈に来てもらって土鍋でお米を炊いている間にイリコで出汁を引き、お味噌汁の準備。
具は定番の豆腐とワカメ。アイテムをたくさん落としてくれた魔猿に感謝だね。
お味噌は自家製。
と言ってもこれも課金アイテムで作ってて、農場ゲームとかによくありがちなアレですアレ。「熟成樽」。
茹でた大豆と塩を大量に樽に入れれば時間経過であら不思議、お味噌になってるんですねー。
それと同系列で「醸造樽」と言うものもあってですね、こちらは茹でた大豆と塩水を入れるとあら不思議、お醤油になってるんですねー。
で、次はジェイさんリクエストの甘い卵焼き。
卵は市場で大量に買っておいたのがチェストにあるのでそれを。
このチェスト、ゲームの仕様をそのまま引き継いでるみたいで容量は決まってるんだけど時間経過は全くない神アイテム。
と言うか、この農場の敷地全てがゲーム仕様のまま。
かつて購入しまくった課金アイテムもそのまま使えてしまうので、もはやここが私の生命線みたいになっちゃってる。これらがない生活はぶっちゃけ考えられない。
あと、プレイヤーの常設機能だったインベントリもゲームのまま。アストレイリア風に言えば「空間収納」ってことになるのかな?
神様本当にありがとう!!!毎日快適です!
さて、そうこうしているうちに甘い卵焼きも完成。
ついでに出汁巻き卵も作っちゃおう。
梅干しは…、よかった、去年漬けておいたものがまだ残ってる!
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≪100話まで毎日更新中≫
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明日のエピソードは「第5話◆やっぱりお魚は生よね」です。
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