【2巻2月12日発売】女神のつくった世界の片隅で従魔とゆるゆる生きていきます
みやも
第1章 春
第1話◆私の名前はノエル
「いらしゃいませ~。本日のおすすめはバフ盛りミートスティックパイと苺のロールケーキです!」
「では私はこの体力バフのスティックパイをもらおう」
「あ、アンジーさん!いつもありがとうございます。ではお包みしますね」
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私の名前は“ノエル”。なんと!異世界転生して3年目。
毎日がすっごくすっごく楽しくて「創造神様ありがとうございます」って毎朝お庭の祠に感謝を捧げているの。
このお店は私が転生前にVRMMO「女神の箱庭」で課金と汗と時間を垂れ流して作り上げたもの。
そう、転生のきっかけは人気VRMMO「女神の箱庭」だったのです。
仕事でどっぷりと疲れたある日、信号待ちで見てたビルの電光掲示板から流れるCMに目が釘付けになって、気付けばそのビルの1Fのゲームコーナーで一式揃えてた。それが「女神の箱庭」との出会い。
自分でもあの時は何かに憑りつかれていたんじゃないかって思う。
でも結果、こうして人生で一番幸せを感じられているのだからこれもきっと創造神様のお導きだったのだろう。
ゲーム「女神の箱庭」の世界観をざっくり説明すると、女神が丹精込めて作った自然あふれる煌びやかな星「アストレイリア」が舞台で、「アストレイリア」に嫉妬するあまり邪神落ちしてしまった男神がラスボスという設定。
ラスボスによって「アストレイリア」の地表に呪いの噴出口【
とは言っても、私は戦闘プレイヤーではなく生産職だったのだけれど。
私の職業は「ファーマー」。いわゆる農家ね。
めっちゃ不人気だった第一次産業の従事者です。
反対に生産職ですごく人気が高かったのは「薬師」や「鍛冶師」なんかの二次産業職。
それもそのはずで、お芋1個の買い取り価格は10ルーブ。ルーブって言うのは通貨の単位で1ルーブ1円ね。
それに対して低級ポーションは大体市場価格が1本500ルーブ。
しかも、お芋は作るのに土地も畑も種芋も必要で、収穫までに時間だって必要。それに引き換えポーションなら初心者の調薬セットを買ってNPCや冒険者から材料を買い付けさえすれば初日から稼ぐことができる。
要は一次産業は労力と報酬が嚙み合わないので完全に「趣味枠」扱いだったのである。
「女神の箱庭」には職業の他にも「種族」と「スタイル」という選択枠があり、「種族」は言わずと知れたファンタジー定番のアレ。
私は自然と親和性が高くて弓の補正が付くハーフエルフにしたんだ。
エルフの方が能力値は高いけど、お肉食べられなくなっちゃうからね。
だってこのゲーム、味覚が再現されているんだもん。お肉の味は譲れない。
次に「スタイル」って言うのは「戦闘スタイル」のこと。
職業が生産職の人はスタイルの選択肢が二つ。
職業が戦闘職の人はスタイルの選択肢が三つ。
私は生産職なのでスタイルは二つ。「弓」と「テイマー」を選択したの。
「弓」は毎日ログインして5年目でやっとカンストできた!!
運動音痴は戦闘音痴なのだ。
でも恐ろしいことにこのゲームには更に上、「レベルキャップ解放」というステージが用意されている。
もちろん私はレベルキャップは解放していません。戦闘音痴には到底無理だもん。
で、「テイマー」の方なんだけど、これもレベルキャップの解放とまでは至ってないかな。
従魔の訓練とかもあんまりしなかったし、と言うか、うち農家だし。
そんな私がなんでゲームの世界に転生したかと言うと、リリース後10年間ずっと愛されてきた「女神の箱庭」が突然サービス終了しちゃって…。
どんなに忙しくても毎日ログインしてきた私には箱庭の中の従魔達が何よりも大切な家族だったし、作り上げてきた農場が生き甲斐だったから、ゲーム最終日、それでも最後の晩餐は家族と笑顔でお別れしようって思ってみんなの好きな物たくさん作って挑んだんだけど、あの子たちの顔を見たらもう耐えられなくなって、「離れたくない」ってわんわん泣いちゃって…。
どれくらい泣いてたかわからないんだけど、そしたら目の前が真っ白になってゲームからキックされたんだって絶望してたところに何か知らないお爺ちゃんの声が聞こえてきて―
「アストレイリアを、そこに住まう生き物を、こんなに愛してくれてありがとうのぅ。この星を創り上げた儂の孫娘もお主のような者が星に住まうことを心から歓迎してくれるじゃろうて」
そのお爺ちゃんがなんと現在私が毎日お祈りする創造神様だったの!
私が日々プレイしてきた「女神の箱庭」は広い宇宙の星の一つとして実在していて、今尚邪神の呪いに苦しめられているそう。
そしてアストレイリアを創り上げたという女神はその邪神の呪いを抑えるのに精いっぱいで地表に噴出した呪いの浄化や討伐まで手が回らないどころか星の管理すらできず、そこで、かわいい孫娘のあまりの惨状を見ていられなくなった創造神様が一計を案じたのがVRMMO「女神の箱庭」。
邪神討伐適正のある者を他の惑星からピックアップするための篩でもあり戦士の培養装置でもあったんだって。
だから本当はレベルキャップ解放者の中から更に適正値の高い者だけを連れて行くつもりが、従魔達を抱きしめながらわんわん泣いている私が目に留まり、しかもアストレイリアへの適正値が異常に高かったらしく、急遽ノアの箱舟ならぬ転生の箱舟に乗せてもらえることになったの!!!!
現実世界で親と呼べる人達は「妹だけが我が子」みたいな感じだったし、私が自立してからは縁も切ってるので、転生には一も二もなく即了承。
ただやっぱり私はレベルキャップ解放者じゃないから邪神討伐は無理らしく、でもその代わりアストレイリアを、そしてそこに住まう生き物たちを今まで通り愛し、時には救い、生活して欲しいと、そういうお約束でそっくりそのまま農場ごとゲームと同じ土地に転移させてくれたのです!
そう、それからちょうど三年目。
お庭の祠に今日もお礼を言って手を合わせ、私のお店「魔法のハーブガーデン ノエル」を開店!
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お読みいただきありがとうございます。
そしてはじめまして。“みやも”と申します。
本日より連載を開始しました。
次のエピソードは「第2話◆あのイベント」です。
100話まで毎日更新で頑張ります!
この作品が「面白い」「続きが気になる」と思った方は“フォロー” “応援”
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この物語があなた様の癒しになれば幸いです。
では、また明日。
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