第41話 ブレスレットの力


ブレスレットを取得したので地上まで上がってきた。


今すぐにでも試してみたい気分だが、肝心の使い方がわからん。


「どうやったら使えるんだこれ」


:知るかよ

まさぐってみたらなんかわかるだろ


色々いじってみると、ブレスレットについている飾りに触れたとき、何か違和感を感じた。


その違和感は30秒ほどほど続いて、ぱったりと止んでしまった。


「なんだ?いまの」


:何か見つけた?

:10秒くらいぼーっとしてたけどどした?


もう一度飾りに触れてみたが、今度は違和感が現れない。何度もトントン指で飾りに触れていると、少ししてまた違和感が現れた。


「なんだ?リキャストみたいのがあるのかな?」


:ダンジョンの中じゃないと効果発揮しないとか無いか?

:↑裕司が違和感感じても何も無いの、それがあるかも


「ためしてみるわ。効果が発動したのを確認するために、ゴブリンは殺さずに拘束して検証だな」


ということで、ダンジョンの中に入る。ゴブリンが一番弱くて、拘束から抜けられても大丈夫なよう、第二フロアで検証をすることにした。


第一フロアだと30分経ったら消えてしまうし、そうなったらもう一度クリアしないといけなくて面倒だから、第二フロアを選んだ。


しかし、ここにはゴブリンが複数いる。複数捕えようとすると魔力が足りなくなるかもしれないし、少し困る。


別にゴブリンを何体も拘束する必要は特に無いので、適当に1匹拘束するやつを見繕ったら、後は全部倒してしまった。


魔力錬成で紐を作って、生き残ったゴブリンをぐるぐる巻きにして身動きを取れなくしたが、うるさい。


「ゲギャ!ギャギャギャ!ギャッギャッギャッ!」


何を言ってるのかは理解できないが、おそらく『俺を離せ!お前は何者だ!早くしないと俺の仲間が黙っていないぞ!』的なことを言っているのだろう。ゴブリンは仲間が殺されても気付かないくらい鈍感なので、最後のは言っててもおかしくない。


「まあ、うるさいのは時間を止めた時に分かりやすいならそれでOKだけどな」


ブレスレットを着けている左手を上げて飾りに触れようとすると、ウィンドウが現れた。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

時間停止のブレスレット


残り使用回数 3回

現在残りリキャスト時間 0秒


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「おいちょ待て。え、これ使える回数限られてたの?まじかよ、後3回って厳しいな。検証するにしても1,2回かな?でも、さっき違和感を感じなかったのはここに書いてあるリキャストでほぼ確定だろ」


:これ凡ミスできないな

:まあでも、残り回数がわかったから知らないうちに使えなくなったりとかなくて良かったじゃん?


確認はできたので、ウィンドウはそのままにして早速効果を確認してみる。

タイマーを準備して、右手で飾りを触ったと同時に左手でタイマーを始めた。


ブレスレットを触ると、ずっと騒いでいたゴブリンの声が全く聞こえなくなった。


「ブッ!」


顔を観察すると変な表情で固まっており、思わず吹き出してしまった。


「これ笑わないわけないでしょ」


:やべ、おもろい

:今年で一番笑ったわ


そして、タイマーが30秒を回ると同時にゴブリンは動き出して、ウィンドウのリキャスト時間がカウントダウンを始めた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

時間停止のブレスレット


残り使用回数 2回

現在残りリキャスト時間 29秒


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


リキャストは大体30秒か。長いのか短いのか分かりずらいが、これは一度のタイムアタックで一回しか使えないということなので正直微妙だ。

しかし、これがあればおそらく1分を切れる。そう考えると、早く試したくて仕方がなくなってきた。

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