第20話 説明


「由香さん、説明をお願いできますか?」


これまでに出てきた情報を噛み砕き、頭の中で整理がついた俺は、更なる情報を求め由香さんに説明をお願いした。


「そうね。こちらも大丈夫よ。どこから知りたい?」


「そうですね、今わかってること、そして俺がどうすればいいかを教えて下さい。」


彼女は、少し考えた後、話を始めた。


「まず、ダンジョンはこの国だけではなく、世界中に散らばっているの。ダンジョンは全て同時に出現してて、構造は同じ。スタンピートは、1年間全く人が入らなかったダンジョンで起きると聞いてるわ。これらの情報は、ダンジョンを一度更新して、AIが使えるようになったら聞くことができるわ。更新をすると、AIが使える他にダンジョンが変わって新しい構造になるの。更新するほどAIに聞けることが増えて、構造が変わるたびにモンスターも強くなっていくわ。今わかっているのは以上よ。」


「由香さんはもう少なくとも1度はクリアしてるということですか?」


尋ねると、すぐに答えが返ってきた。


「そうね。でも、これは私が他のもっと先へ進んでいる人達から聞けた話で、私はたくさんのダンジョンに潜って途中で抜けているからクリアした回数はまだ1よ。」


なるほど、他にもダンジョンを攻略してる人は2人以上いるということか。


「そういえば、由香さんって従魔は居るんですか?コラボでも、他の配信でも見たことないですけど。」


「いるわよ。でも、私の従魔は戦闘向きじゃなくてね。小さくて戦えないから普段はここにいるのよ。」


そういうと、由香さんは胸から小さい生き物を取り出した。

つい目を背けてしまった俺は、目線を謎の生物に向けた。

ソレは、5センチほどの大きさで、背中には羽がついており、ぺちゃくちゃと喋り始めた。


「ふーっ、やっと出れたわ。由香、あんたのデカすぎるわよ。もっと慎みをもちなさいよね。大丈夫?さっきの戦闘で怪我してない?何かあったら私が治してあげるからね。」


一通り喋ったと思ったら、今度は由香さんの周りをグルグルと旋回し、身体中をペタペタ触りだした。


「ちょっと、くすぐったいからやめてよね。そして、特に怪我とかもしてないから、余計なお世話よ。」


「由香さん、あの、それ、由香さんの従魔ですよね?なんで喋ってるんですか?」


「え?この子、ピリーちゃんは、最初からしゃべってたいわよ?普通じゃないの?」


「俺のティーダが猫だから喋らないだけかもだから分かんないですけど、多分、どんな姿でも喋る従魔は珍しいと思います。ってか、治癒ってなんですか。ヤバすぎるじゃないの。」


「そうかしら?普通だと思うけどね。治癒って、攻撃出来ないから使えなすぎてやばいってことよね?」


あれ?この人こんな天然だったの?なろう主人公みたいなこと言ってるんだけど。何故流行ったのかわからないあの。


なんだか自分にブーメランが返ってきそうな気がするからこのネタはやめよう。


「マジレスすると、治癒ってチートですよ?どのくらい回復できるのかは知りませんけど、回復ができる時点で最強格ですから。」

 

「そうなの?攻撃出来ないからゴミ能力かと思ってた。」


もしかして、このまま放置してたらこの妖精を追放して、ザマァされてたんじゃない?危なかったなおい。


「ピリーちゃんのこと、大事にしてあげてくださいね?いやほんと。」


「え?うん、よくわからないけどわかったよ。」


よくわからない問答をした後、俺たちは少し雑談をして解散した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る