第26話 N2
次の日 ベース034は朝から騒がしかった。
「出航は午前11時だ!それまでには装備を艦に載せておけ!」
『本艦はこれより出航する、今回の作戦は、失敗すれば民間人へ核兵器の被害が及ぶ可能性がある。なんとしてもここで核兵器の脅威を食い止める、みんな力を貸してくれ、この作戦の名前は、UN2作戦である!』
『全艦!出航ォ!』
ヴァルキリーはとてつもなく大きな警笛をあげ、港をゆっくりと出航していった。
「ソラ、大丈夫か」
「うん!頑張る!」
オサムの心配とは裏腹に、昨日のテンションを忘れるほど機嫌が良かった。
「アキ、ソラの昨日のはなんだったんだ?」
「う…うん、まぁ良かったんじゃない?」
「ふーん、変な奴ら」
--キラーホエール艦内
「艦長、核はもう一発なんだよな?」
「あぁそうだが」
「攻撃に使うのか?あまりにもやり過ぎだと思うが」
オルカは、核兵器についてあまり前向きではなかった、過去に国連防衛軍がしてきた悪行と比べると、少し納得がいかなかった。
「実は今回の核実験は、メイフライ基地の大型アーマーフレームの動力源を、核兵器にした場合の威力の実験だそうだ」
艦長はオルカに一枚の写真を見せた、そこには30mはある大型のアーマーフレームが肩部榴弾砲を構えている写真だった。
「はぁ?この兵器で何処潰すんだよ」
「恐らく、国連防衛軍総司令部ベース001だ、詳細は私にもはっきりしていない、ただいつでも何処でも爆発出来るそうだ」
「やられたら核爆発か、なんて奴だ」
「死なば諸共…大和魂だな」
「ふん!バカバカしい!俺は降りるぜ!こんなもん破壊されればいいんだ!」
オルカは、愚痴を溢しながら艦橋を出た、それを見送った艦長は、キャプテンシートに深く座り込んだ。
「核は…私も嫌いだよ、オルカ」
(核だと!?こんなの無茶苦茶だ!国連のゴミ共と同じじゃねぇか!)
「このクソがぁ!」
オルカは我慢ならず、壁を殴った、本気で殴ったため壁には少し凹みが出来た。
--第6艦隊
第6艦隊はベース034から150km前進し、第8、第9艦隊と合流しようとしていた。
「艦長、まもなく第8艦隊及び第9艦隊と合流します」
「わかった、そのままいつも通りに頼む」
「ホンダ艦長、ちょっと良いかしら」
「ん?あぁ」
ナナセ大尉が写真を見せてきた。
「これは?!」
「これ、私達が極秘に作っていた衛星軌道兵器なの、軌道上から鉄の針を発射するの、名前はASWS-100ギャラルホルン、宇宙から落下の運動エネルギーを利用して攻撃、地下基地や空母、もちろん戦艦も一撃、精度も抜群だわ」
「これも、この前実戦に使った荷電粒子砲と同じASW(対超兵器用兵器)か?」
「そう、あのASW-25はまだプロトタイプだけどね、この子は一応最終段階は終了してるわ、使うならいつでも言って、上層部から許可も取ったわ」
「助かる、遠慮なく使わせてもらうよ」
「第8、第9艦隊接近、合流します!」
奥から第8艦隊、第9艦隊が接近してきた。
「よし!」
『各員!現在第8及び第9艦隊と合流!第二種警戒態勢から、第一種警戒態勢へ!』
「第8艦隊は旗艦はなんだろう」
「戦艦らしいよ、600m級戦艦デュランダル改」
「改?」
「元々48cm砲だったらしいけど、レールガン作戦の時、オサムくんが撃った500mm高出力荷電粒子砲ASWが実験で搭載されてるみたい」
「へぇ〜!交代の時に見よう!」
「そうだな!」
目標まで250km切った頃だった。
「そろそろ、アーマーフレームを出撃させるか」
「了解」
『アーマーフレーム隊へ、直ちに発艦準備せよ』
「おし!303行くぞ!」
「了解!うわっ!」
AFが歩き始めようとすると、突然爆発音と共に艦が揺れた。
「攻撃だな!どこからだ!」
「おそらく正面から!砲撃と思われます!」
「遠すぎる、まだレールガンがいるのか!?アーマーフレーム隊はなにをしている!」
第二射もヴァルキリー付近に着弾、水柱が大きく上がりまた艦が大きく揺れた。レーダーには複数の反応が出てきた。
「敵!アーマーフレームです!こっちに来ます!」
「インターセプトは!」
「およそ80秒!」
「機銃撃て!アーマーフレームは直ちに発艦!シーケンスは飛ばしても構わん!」
--軽戦艦らいきり
「敵機こっちに来ます!」
「目標はヴァルキリーだ!ぶつけてでも止めろ!」
らいきりは副砲を発射しながら前進、壁になろうとしていた。
「各機散開!あの戦艦を沈めろ!」
敵AFは散開、3手に分かれた後らいきりに機銃とランチャーを発射した。
「対空機関砲の弾薬に引火!消火班!急げ!」
らいきりの甲板からは、大きな黒煙が聳え立っていた。
同時、303は甲板エレベーターで、飛行甲板へ向かっていた。
「オサム!ソラ!軽戦艦が燃えてる!」
「まずいなこっちにすぐ来るぞ」
「お前ら!今すぐ発進しろ!」
各機はブースターを緊急点火、その場で発進する異例の出撃になった。
「敵艦隊!両側から展開!」
「やはり核を全力で守るつもりだな!」
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