.



彼の射抜くような真っ直ぐな眼差しに、私は抵抗する事も忘れ、頬を真っ赤に火照らせながら、だだ、彼を見上げる。




なぜか、じわじわと滲みだす涙に、きゅっと眉を寄せ彼を見つめると、彼も同じく、困った様に眉をひそめながら、優しく口元を緩め、表情を崩す。





「あいしてるよ」




「……っ」





私をまっすぐ見下ろしたまま、彼の口から唐突に発せられたその言葉に息を飲み込む、私。




その直後、すっと身体を寄せ、私の耳元に唇を近付けると、吐き出す息とともに、再度同じ言葉を呟く。




“あいしてる”と……




耳元で響いた声の振動に、反射的に肩をピクリと揺らした私に、敏感に気がついた彼が「ふっ」と息を吹き出す音がして。


そのまま、私の耳元に音を立てて口づけを落とした後、舌先で耳の輪郭をペロリとなぞる。




………っ…!!




咄嗟に体を強ばらせ、あやうく漏れそうになった、甘い悲鳴を、すんでのところで歯を食い縛り飲み込む。



ドクンと大きく音を立てた心臓が、そのまま、小刻みに震えながら、熱を帯びて……



どうしよう。


身体が…熱い……





「ずっと一緒だからね?」




心臓がどくどく暴れて苦し過ぎて、とっさに声がでてこなくて。そのかわりに、涙がぼろぼろと溢れ出す。


私は返事の代わりにコクコクと何度も頷きながら、彼の背中に腕を伸ばしぎゅうっと強くしがみつく。




「……うん、嬉しい」




やっとの事で喉の奥から出てきた言葉は、なんとも率直すぎるシンプルな返答。



嘘偽りない本音とは言え、なんかもう少し、ロマンチックな返しができなかったものかと、割れながら情けなく、思わず苦笑した、その時。



彼が、私の肩にすとんとおでこをのせ、細く長い息を吐きした。




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