/第一の洞(ホール)これぞ灼熱蛇竜道也!\
「う、うわっ! なんか天井↑↑から、声が聞こえてきたような……?」
『うむ! コースの声が聞こえたのじゃ。なかなか見込みがあるのう、お主』
洞窟の中にある謎ホールに連れ込まれた
『さ、いいから早ようせい、スロープレイはマナー違反なればな』
「後ろの組とかいねぇじゃねぇか! てか俺クラブ外に置いてきたよ」
『安心せい、ワシがちゃんと持ってきておるぞ』
そう言ってイーカラハがバッグを渡す。瀧は「ちっ」と嘆いて仕方なくPWを手に取ると、カゴの中からボールを取り出し、ティグラウンド(岩肌)に置いてアドレスを取る……が。
「改めて構えてみると……なんちゅう無理ゲーだよこれえぇぇ!」
嘆くのも無理はない。カップまでの32Yにはフェアウェイもグリーンも無い、ただ虚無の空間があるだけで、その下には煮えたぎる溶岩。ダイレクトチップイン以外は全て池ポ……もとい溶岩ポチャが待っているだけである。
『いいから早ようせい』
巨体筋肉ムキムキの
「できるかこんなん!」
『案ずるな、まだ九十九個もあるではないか……お主の命が』
「こんな無理ゲーで寿命削りたくないわあぁぁぁ!」
そう、手持ちの百個のボールを使い終わった時、瀧の命も尽きる……らしい。
『ふ、仕方ない。特別にアドバイスをくれてやろう……見えざるものを見よ!』
「なんだそのギャンブル漫画みたいなアドバイスわ!」
ツッコミもいい加減アホらしくなってきた瀧は、イーカラハを無視して2個目のボールをセットする。
(フン、バカバカしい。なんでこの球が無くなったら俺が死ぬんだよ……チャッチャと使い切ってさっさと帰ろう)
開き直ってテキトーにショットする。が、身の入っていないその一打は、近距離にも関わらずに球を浮かせず、モロに芯を食って勢いよく飛び出す。いわゆるホームラン(ミスショット)というヤツになり……
ゴォン
何もない空間にぶつかって、弾かれる様に溶岩に叩き落された。
「な、何だ……今のは?」
明らかに普通ではないその球の動きに、瀧は思わず目を丸くする。イーカラハに顔を向けるが、彼は口角を少し上げて薄く笑い「ふ」と息をつくのみであった。
(なんだ……何かある、この空間、今当たった所に……)
目を凝らして、さっきボールが当たった所を見据える。すると……?
「な、なんだあれ? 透明な何かが、壁? い、いや……
意識して見ると、確かに空間にアクリルか何かの透明な管が走っている。そう、練習場とかでよくある、ボールを販売機まで送り込む配管みたいなのが、あのピンの上から螺旋を巻いて上へ上へと昇っている。
「透明な……球の通路。いや、あれが……このホールが言ってた”蛇竜道”か!」
見えてしまえば明らかだ。カップの真上をゴールに、そこから透明な管がとぐろを巻いて上に上にと続いており、その先にはまるで酒や燃料などをビンとかに移し替えるためのジョウゴのように、大きく口を広げて上を向いている。
「あ、あれに……上から入れろってコトかよ!」
思わぬ仕掛けに気勢を上げる瀧。どう考えても無理ゲーかと思っていたが、あの上にある入り口を通せば、そのまま曲がりくねった透明パイプを転がり続け、やがてはカップに……。
「なるほどなぁ、見えたぜ妖精さんよぉ!」
ピッチングを仕舞い、サンドウェッジを取り出す瀧。ハイティーに球をセットし、フェースを出来るだけ寝かせて上方の入り口に狙いを定める……ほぼ真上への打ち上げになるが、あそこに入りさえすれば!
カツゥン……外れ。
カキッ、バン……弾かれた。
そして三回目……カツゥンと上方に打ち上げられた球は、見事に特大ジョウゴの中に入り、コン、コンと弾みながらその下のパイプ部分に落ち込んで行く。
「いよっしゃぁーっ!」
そのまま螺旋の通路をゴロゴロと転がり落ちつつ、ついにはピンの真上に到達する。あとはそのまま真下に落下すればカップイン……
バシッ!
と、なると思ってたら、いきなりピンの旗が勢い良く動いて球をしばき飛ばし、打たれた球はそのままカップの脇をかすめて溶岩に落下していった……。
『残念、役物に弾かれたのう』
「パチンコかあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
結局その後6球を使い、内3球はジョウゴに入らず、2球はまた旗に蹴っ飛ばされ(明らかに狙っているっぽい)、トータル10球目でようやく旗の妨害をすり抜けてカッコーン、とカップインを果たした。
「つ……疲れた」
『見事である! ゴルフとは自然との闘いなれば、風など目に見えぬ物を見切る事も肝心である!』
「思いっきり不自然な人工物じゃねぇかあぁぁぁぁぁっ!」
とにもかくにも、
――残りの
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